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ヘアのお悩み
2024.4.20

頭皮もたるむ?「菌」の影響って? 頭皮マッサージのコツは? ヘアメーカーの開発者に聞く大人頭皮のあれこれQ&A集【2】

プロ専用のヘアプロダクツを数多く手がける日華化学株式会社 デミ コスメティクスの研究員・藤井義宣さんとPR・菅野麻衣さんに、大人の髪や頭皮の疑問を2回にわたり、うかがいます。第2回は、頭皮マッサージのコツや頭皮の「菌」が及ぼす影響など、ちょっと深いあれこれを教えていただきました。

頭皮ケアの実践的なこと、たるみ問題や「菌」について…ちょっと深い話。髪と頭皮のプロが正しい「頭皮の情報」を伝授!

美髪の土台作りとして大切な頭皮ケア。でも、意外と自己流で行っている人も多いのでは? せっかくやるなら効率よく、効果アップを狙いたい。そこで髪と頭皮を知り尽くすデミ コスメティクスのおふたりに気になる疑問をぶつけてみました。Q&Aの形式でお届けします!

第2回は、知っておきたいマッサージ法や、まさかの“頭皮のたるみ”、紫外線や常在菌が及ぼす影響など、9つの質問にお答えいただきました。

Q1:頭部の筋肉はマッサージで動かすしかない?
A1:筋肉は連動性があるので顔の筋肉を動かすと頭筋も動きやすくなります

「筋肉は単体で動くわけではありません。たとえば、Aの筋肉はすごく凝り固まっていてもBの筋肉が動く場合、Bを動かすと徐々にAも動きやすくなる…という筋肉の連動性があります。側頭筋は顔を動かす筋肉とつながっているため、目を大きく開けてぎゅっとつぶるとか、口を大きく開けたりすることを意識すると側頭筋も動きやすくなります。また、頭頂部の帽状腱膜は、つながっている前頭筋・側頭筋・後頭筋をしっかり動かすことで伸び縮みします」(藤井さん)

Q2:頭皮マッサージで気をつけることはありますか?
A2:ゆっくり、優しく、“面”で押すこと

「筋肉には内臓などを守る働きもあるため、強い刺激をグンと一気に与えると固まってしまう性質があります。鋭く速く強い刺激は避け、ゆっくり、優しく、“面”で押してあげるのがコツ。表層にある筋肉がキュッと固まることなく、その下にある2層目3層目の筋肉も押して緩めることができます」(菅野さん)

資料提供/イーラル株式会社

Q3:頭も顔と同様、加齢で皮膚は薄くなる?
A3:薄くなります

「顔も頭も、年齢とともに筋肉を動かす量が減って筋肉が薄くなり、真皮も薄くなります。また、加齢により細胞を作る力も細胞そのものの力も衰え、真皮ではコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸なども減って厚みも失われます。頭部に関しては、もともと脂肪層も筋肉も少ないので、より薄く感じるんです。顔のほうが脂肪も筋肉も厚い。脂肪層も加齢で減って乾燥しやすくなるため、育毛剤にオイル成分を入れて潤いを補給することもあります」(藤井さん)

Q4:加齢で頭皮もたるみますか?
A4:たるみます

「多くの人の頭皮を見てきた体感として、加齢で頭皮はたるみます。頭の皮膚は顔の約4倍の厚さがあり、顔で乾燥を感じたときに頭皮はその4倍の水分蒸発を起こしている可能性が考えられます。それなのに、顔以上に重要性をもって保湿している人が少ないんです。

頭皮は、つむじから放射状にたるんで、出っ張っているところに溜まるように感じます。まず、眉骨の上に溜まって、おでこに横ジワができます。そこから外に向かってたるむと、頰骨の上でダブつくようになって目尻にシワが。そして、頰骨で支えられなくなったら、耳の上のあたりに溜まる…という傾向を感じます。頭皮を保湿してふっくらさせたら、おでこの横ジワが目立たなくなった、ということもあるんですよ」(菅野さん)

Q5:頭皮のたるみは髪に影響しますか?
A5:毛穴が潰され、うねり毛になることも

「これも私の体感ですが、たるんで下がってきた頭皮の重みで毛穴が潰され、生えてくる毛の形状に影響することがあるように感じます。丸い毛穴からまっすぐの毛が生えていたのに、毛穴がつぶされて楕円状になり、そこから捻転毛(ねんてんもう・コイル状にねじれた毛)が生えてきます。顔周りやもみあげに変なクセのある毛が生えてきたら、頭皮のエイジングサインかもしれません」(菅野さん)

Q6:紫外線を浴びると、顔同様、頭にもシミはできますか?
A6:できます

「髪に隠されているとシミの有無はわかりませんが、髪をめくってみると、シミができている人が結構います。紫外線ダメージの蓄積によるシミで、顔にシミができるのと同じことが起きています」(藤井さん)

Q7:紫外線の頭皮や髪への影響とは?
A7:髪の健康状態に直結します

「頭皮も日焼けすることは知られていますが、分け目を変えない人は要注意。分け目部分をマイクロスコープで見ると、頭皮が乾いて茶色くなり硬くなっていることが多いです。日焼けによる頭皮の乾燥や紫外線による細胞へのダメージで健やかな髪が育ちにくくなるとともに、ツヤがなくなる、硬くなる、手触りが悪くなる、カラーが退色しやすくなるなど、髪そのもののダメージも大きいです」(菅野さん)

「脳を日光(紫外線)から守るために髪があるといわれており、赤道に近い地域の人ほど黒くて密集した縮毛を持っています。逆に極地の近くは紫外線の影響が少ない。そのため、北欧ではメラニン色素が少なくブロンドの人が多いのです」(藤井さん)

Q8:頭皮の常在菌の役割について教えてください
A8:菌バランスが良好なら、頭皮環境を健やかにし、いい循環を保ちます

「頭皮の常在菌は、顔の常在菌と同様で、いわゆる善玉菌のグループは、皮脂を分解して肌にいい保湿成分を作ったり、肌を弱酸性にする働きがあります。菌全体のバランスがうまく保たれれば、悪玉菌の繁殖が抑えられ、頭皮状態が健康に。ところが、睡眠不足、運動不足、ストレス、食生活の乱れや脂質の摂りすぎ、さらには加齢によって菌のバランスがくずれると、頭皮環境の悪化につながります」(藤井さん)

「シャンプー剤も頭皮の常在菌に影響します。たとえば、頭皮の状態に対して洗浄力が強いシャンプーを使うと、頭皮の乾燥が進んでバリア機能が低下し、良い菌が少なくなって悪い菌が優勢に。かゆみやベタつきなど、頭皮が気になるときは、しっかり洗おうと思って洗浄力の強いシャンプーを使いがちですが、かえって乾燥が進んでバリア機能が低下すれば、悪玉菌が住みやすい環境にしてしまうことにも。自分の肌質や、頭皮の状態に合うアイテム選びが大切です」(菅野さん)

Q9:頭皮の常在菌のバランスがくずれると…?
A9:頭皮トラブル全般の原因になりかねない。とくにフケ、ニオイなど

「常在菌は大きく3つ、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けられ、全体としてバランスを保って共存していますが、なんらかの理由でそのバランスがくずれたときに皮膚トラブルに発展してしまいます。特に善玉菌の中で美肌菌といわれる菌は保湿成分を作り肌を弱酸性に保つので、それが劣勢になると乾燥してバリア機能が低下します。

また、頭皮がアルカリ性に傾くと悪玉菌が繁殖しやすくなります。なかでも悪名高いのがマラセチア菌。カビの一種で、フケ菌とも呼ばれています。これが増えると頭皮のターンオーバーが乱れてフケが多くなります。顔の皮むけと一緒ですが、頭皮は顔より角層が厚いため剥がれる量が多くなり、フケになるのです。

頭皮のニオイも菌の影響が考えられます。たとえば加齢臭は、皮脂に含まれる成分が菌によって分解されることで生じるニオイ。酸っぱいニオイも、脂が分解されて酸の成分になって出るニオイです」(藤井さん)

濡れた髪を乾かさないと臭くなるのも菌の影響です。髪と頭皮を自然乾燥させるのは、頭の上に“生乾きの洗濯物”を乗せているのと同じことで、雑菌が増殖してニオイが発生。洗髪後はドライヤーで根元→髪の順できちんと乾かしましょう」(菅野さん)

頭皮ケアを始めるならいつ? シャンプーの選び方は? 産後の抜け毛は戻る?
ヘアメーカーの開発者に聞く大人頭皮のあれこれQ&A集 第1回は コチラ

 

日華化学株式会社 デミ コスメティクス 化粧品研究部 グループリーダー

藤井義宣さん

日華化学株式会社 デミ コスメティクス PR

菅野麻衣さん

写真/Getty Images 構成・文/斉藤裕子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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