ヘアのお悩み
2025.7.5

白髪 枝毛・切れ毛 うねり くせ…悩み解決のために知っておきたい【美髪に効く成分図鑑】

ここは美髪になるために、選ばれしものが通う「美髪成分学園」。今日も美髪に一歩近づくため、生徒たちが実力を競っていますー知っているようで意外と知らない、どう取り入れるのが正解なのか、学園モノ仕立てでご紹介します!

一般社団法人国際毛髪皮膚科学研究所/IRIHASS 代表理事

本山典子さん

スキンケア・サイエンス コミュニケーター 博士(工学)

次田哲也さん


関連記事をcheck ▶︎

ミルボン 開発本部 研究開発部

長谷部未来さん

美容師・ rrcid取締役

木村直人さん

花王ヘアケア研究所 主任研究員

山崎直幸さん

まずは美髪成分学園の教訓をご紹介!

1.成分だけでアイテムを選ぶなかれ
ひとつの成分だけでなく、他成分との配合バランスやメーカー独自の技術など、アイテム選びのポイントはさまざま。使ったときの“使用感”や“肌との相性”も考慮して選びましょう。

2.洗髪後は髪を自然乾燥させない
どんなに良い成分を補給しても、無駄になる可能性があるのが洗髪後の自然乾燥。水に濡れた毛髪は“守りがなく、攻められたらもろい”状態。その状態を回避するために、ドライヤーでのヘアドライは美髪を育むのに必須。

3.ひとつの成分に名称はいくつもある

パッケージにある成分表示名は、化粧品表示名だったり医薬部外品表示名だったり。ときには、愛称の方をよく知っていたりと、いくつもある場合も。この企画では、表示から見つけられるよう、別名も同時に掲載。

4.美髪には食事と血流アップも重要
髪の成分は約8割が“ケラチン”というたんぱく質。ケラチンは血流に乗って運ばれる栄養分を材料に作られているので、その材料となる食事からとる栄養と、血流アップが美髪のカギに。

【赤色の食べ物】肉やサケなどの魚、トマト、にんじん、パプリカなど
【緑色の食べ物】ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草などの緑黄色野菜
【黒色の食べ物】黒ごま、プルーン、きのこ類、ワカメやヒジキなどの海藻類
【黄色の食べ物】納豆、みそ、油揚げ、柑橘系の果物
【白色の食べ物】山芋、パン、牛乳、豆腐、豆乳、大根、カリフラワー

【1限目】毛髪の運命を握るのはここ! 「頭皮ケア」に効く成分

まずは、毛髪の老化を左右する“頭皮”についてお勉強。教えてくれるのは、毛髪診断士の本山さん。

「髪の毛は頭皮の奥にある毛球の中で作られます。血管から血流に乗って、毛髪の材料となるアミノ酸やミネラルなどを受けとると、毛球の中で“毛母細胞”という髪のもとが誕生。毛母細胞が増えて押し上げられて出てくるのが髪の毛です。つまり、血流の流れが悪いと髪の成長が鈍くなるということ。抜け毛が増えることも…。だからこそ、大切なのが血流促進に直結する“頭皮ケア”。頭皮が硬いと血流の流れが悪くなるので、まずはしっかり保湿を。さらにブラッシングや頭皮マッサージを行うのもおすすめです」(本山さん)

誰にでも優しいお嬢様♡【シア脂】


保湿作用 抗酸化作用 抗炎症作用抗酸化作用

シアの果実からとれる油脂で、希少価値が高いお嬢様(実は高級素材♪)。刺激が少なく酸化もしにくく、とても穏やかな性格です。

「彼女の特性は、皮脂に含まれるオレイン酸やステアリン酸が豊富なため、肌なじみが良く、高い保湿作用が期待されること。水分蒸発を防ぎ、ツヤを与えることが得意なので、頭皮だけでなく、スタイリング剤にもパワーを発揮しています」(次田さん)

●ほかの呼び名は…シアバター

優等生だけれど、実は気難しい!?【セラミド】


保湿作用
角層の細胞と細胞の間を埋めるスフィンゴ脂質。乾燥や外的刺激から守る“バリア機能”として力を発揮する実力者だけれど、実は水にも油にも溶けにくい気難しい面もあり。分子構造の違いで分類されていて種類も豊富です。

「頭皮や髪にも存在する縁の下の力もち。減少すると頭皮にはフケやかゆみが発生し、髪はハリやコシが失われることも…。健やかな頭皮環境を維持するのに必要不可欠な存在です」(木村さん)

●ほかの呼び名は…セラミドEOP、セラミドNG、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、セラミドNP、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、セラミドAP、ヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン

さっぱりした性格が人気【ホホバオイル】


保湿作用 抗酸化作用
ホホバの種子から抽出した液体の油性成分。脱臭や精製をされると無色透明になるのが特徴。皮膚への浸透性が良く、ベタつかずさっぱりとした質感。

「皮脂や汚れを吸着するパワーをもち、頭皮につけてマッサージをすれば頭皮クレンジングに。酸化や乾燥から守ってくれる“ワックスエステル”というオイルの一種なので、加齢で減少していく頭皮の皮脂量をカバーするのにも最適です」(本山さん)

●ほかの呼び名は…ホホバ種子油、ホホバ油

[CLOSE UP!]早めの頭皮ケアで白髪が予防できる!?


写真提供/ミルボン

\この3つの成分ブレンドで!/
葛根エキス・カモミラエキス・タイムエキス

白髪が出てきても諦めることなかれ。

「初期段階の白髪は、髪に色をつけているメラニン色素が実はまだ存在することも。数年前に、毛母細胞までメラニン色素を輸送する遺伝子・メラノフィリンの発現量が減ったのが原因のひとつとミルボンが突き止めました。有効な成分を早く取り入れれば、白髪を未然に防げる可能性も」(長谷部さん)


頭皮の毛穴から出てくる毛は、通常2〜3本。1本だと、か弱いのに対し、多い方は互いに支えあいながら元気! たんぱく質を破壊するのが、水に含まれる塩素。頭皮があれやすい人は、塩素カットのシャワーヘッドにシフトするのもおすすめ。

【2限目】ヘアケアの基本はこれ!たんぱく質をチャージせよ

2限目の“美髪の基本”について教えてくれるのは、ミルボンの長谷部さん。「毛髪の約8割がたんぱく質。そのため、日々の食事でこまめにたんぱく質を摂取し、さらにヘアケアで外側からの補給を行うのが“美髪を育むこと”に直結します。まず補給したいのが、髪の主成分で、ケラチンというたんぱく質。シスチンを多く含むのが特徴です。たんぱく質を加水分解した “PPT”も、たんぱく質と同じようにアミノ酸で構成されており、似た働きをしてくれます。あと、髪の油分はヘアカラーなどの際に流されやすいので、植物オイルなどのオイル成分が配合されているものを使うのがベターです」(長谷部さん)
\1年で約15cm伸びる/\表面の硬いたんぱく質がキューティクル/\内側にある柔らかく弾力性があるたんぱく質がコルテックス/\中心にあるたんぱく質がメデュラ。細い毛にはないことも…/

たんぱく質と水分を同時にチャージできる成分【シルクPPT】


抗酸化作用 抗ストレス作用 
加水分解によって低分子化された、シルクのたんぱく質。吸水性に優れ、毛髪に対する浸透性を保つことから、特技は損傷した毛髪に水分を補給すること。「洗髪後、ドライヤーをするまでに時間があいてしまう人におすすめの成分。さらに、キューティクルの凹凸をなめらかにし、髪のパサつきをセーブ。毛髪の水分量をアップしてくれるので、ハリやツヤがよみがえります」(本山さん)

●ほかの呼び名は…加水分解シルク、加水分解シルク液、加水分解シルク末、水解シルク液、水解シルク末

ケラチンのベストパートナー【シスチン】


髪のホールド力
硫黄を含むアミノ酸。髪のケラチンたんぱく質の中に多く存在し、ケラチンの生成をサポートする大の仲良しさん。だが、元気がないと育毛の妨げにも。「毛の硬さ、耐久性、弾力性、伸び広がりに重要な役割を果たすキーマン。体内に存在するものなので安全性は高いと考えられますが、原料には動物の羽毛を使用するものもあるので、アレルギーがある人は事前に確認をしましょう」(次田さん)

●ほかの呼び名は…ジアセチルシスチンジメチル(N,N’-ジアセチル-L-シスチンジメチルエステル)。

我が校に一番多く在籍する、髪の主要成分【ケラチン】


髪の補修 保湿作用 
髪や爪を構成する、繊維状のたんぱく質。外的刺激から内部を保護する防御力があり。毛髪の場合、構成するアミノ酸の中にシスチンを含むものが多いのが特徴。シスチンとタッグを組むと、ハリやコシが出て元気に。「ケラチン不足は抜け毛や細毛の原因となったり、髪の柔らかさを左右するので、欠けてはならない存在。亜鉛(ナッツや牛肉など)はケラチンの合成を手助けしてくれるので、積極的に摂取を!」(木村さん)

●ほかの呼び名は…加水分解ケラチン液、加水分解ケラチン末

[CLOSE UP!]毛髪にはこんな成分も含まれます

たんぱく質以外に、髪のツヤやしなやかさを保つのが水分と脂質。このふたつは紫外線の影響でも失われるので、日々の食事でこまめに摂取しましょう

【3限目】紫外線、カラーリング、ヘアアイロンなど原因はいろいろ ダメージには保湿&補修成分をプラス

3限目は “ヘアのダメージ”について。教えてくれたのは、美容師の木村直人さん。

「毎日のヘアアイロン、紫外線、カラーリングなど、美的世代は特に髪を酷使しがち。とはいえ、ライフスタイルは一気に変えられないので、保湿と補修がかなう成分をヘアケアで取り入れるのが得策です。また、知らぬ間に髪にダメージを与えているのが、髪を触ること。頭皮はどんどん触ってOKなのですが、髪は触れる度にキューティクルを摩擦しているようなもの。触るクセのある方は、それをやめるだけでも髪の美しさは上がるはず」(木村さん)

育毛&保湿もお任せ♪【パンテノール】


保湿効果 補修作用
ビタミンB群のひとつで、パントテン酸のアルコール型誘導体。髪に浸透すると、パントテン酸に変化し、持続性がある保湿効果を発揮するすご腕くん。

「その保湿力で、髪のパサつき、損傷、枝毛から髪を守るだけでなく、ハリやコシも与えてくれます。また、髪の毛の中の毛母細胞を活性化して毛髪の成長を促す底力もあるので、細毛や薄毛で悩んでいる方にもおすすめ」(木村さん)

●ほかの呼び名は…DL-パントテニルアルコール、D-パントテニルアルコール

ヘアケアギガの熱を味方につける【γ(ガンマ)-ドコサラクトン】


抗酸化作用 補修作用
めくれたキューティクルの補修に効力を発揮するお姉さん。ドライヤーなどの熱を一緒に加えることで毛髪が結合し、毛髪表面のなめらかさ、滑り、ツヤ・光沢も与えてくれます。

「毛髪を熱でつぶして、中身をスカスカにしてしまうヘアアイロンの救世主。シャンプーを洗い流した後でも、その効果が持続する驚きのパワーをもっています。うねりを抑えることも得意」(本山さん)

●ほかの呼び名は…エルカラクトン

表面も内側も素早く補修【ペリセア®】

®旭化成ファインケム

補修効果
毛髪と親和性の高い、天然のアミノ酸と脂肪酸からできた成分。微細な分子構造のため、毛髪に素早く浸透し、キューティクルやコルテックスを補修することができる優等生。しかも、持続性も高いので、人気度はかなり高め!

「ダメージを受けた毛髪の補修に優れているため、ヘアカラーやパーマ後のシャンプーなどで取り入れるのもいいですね」(木村さん)

●ほかの呼び名は…ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液

キューティクルのヴェール【18-MEA】


補修効果
キューティクルの表面を覆う、脂肪酸の主成分。加齢やカラーリング、紫外線などで失われると表面の手触りが悪くなるのがポイント。

「18-MEAが傷んで失われると、自然には元に戻らないため、疑似18-MEAとしてクオタニウム-33、脂肪酸(C14-28)、分岐脂肪酸(C14-28)、ラノリン脂肪酸、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクなどが使われることも」(次田さん)

●ほかの呼び名は…18-メチルエイコサン酸

【4限目】我が校の生徒まだまだおります!知っておきたい注目成分はこれ!

4限目は各先生イチ推しの生徒をご紹介。中でも大注目なのが“髪のうねり”にアプローチをする新人たち。花王の山崎さんによると「髪のうねりの原因は遺伝による先天性のもの、加齢、ホルモンバランスの変化等。さらに最近では、コルチゾールというストレスホルモンが原因で髪が硬くなったり、うねりが発生することがわかっています。そのため、またさらなるアプローチ成分が増えました」(山崎さん)

大注目のニューカマー!【5-ALA】


\頭皮環境の向上にも期待大!/
“生命の根源物質”とも呼ばれる、細胞の中で作り出されるアミノ酸の一種。加齢に伴い生産量はダウン。謎のヴェールに包まれた、年齢不詳の転校生。

「まだまだ研究段階の成分ですが、血行促進効果や抗酸化作用が期待されると聞き、注目しています」(本山さん)

●ほかの呼び名は…5-アミノレブリン酸

硬い髪もしなやかに【コハク酸】


\傷んだ髪の表面を修復する機能もあり/
動植物に広く存在する有機酸で、水やアルコールなどに溶解する。酸性の環境で毛髪表層に溜まりやすい性質があり、髪に浸透することで髪を柔らかくすることができる。うねり髪の一因である硬さへアプローチしてくれる、と注目されている。

●ほかの呼び名は…なし。

コハク酸配合のシャンプーはこれ

酸性のうねりケア成分配合。まとまりにくい髪をとろけるようなツヤ髪へ。
右/花王 メルト スムースシャンプー 480ml ¥1,760、同 トリートメント 480ml ¥1,760(編集部調べ)

スムースシャンプー / 同 トリートメントの詳細はこちら

髪にハリやコシが欲しいなら【タンニン】


\髪にハリコシを与えボリュームアップされた印象に/
赤ワインやカキなどに含まれる渋み成分で、ポリフェノールの一種。髪のたんぱく質と結合することで、キューティクルの硬度を上げ、髪にハリやコシを与えてくれる。同時に、キューティクルを引き締める収れん効果も期待できるので、表面もなめらかに。

●ほかの呼び名は…カキタンニン

カキタンニン配合のシャンプーはこれ

髪のボリュームダウンにつながる皮脂をすっきりとオフ。根元からふんわり立ち上がる髪へ。
ミルボン ボリューマイジングシャンプー 200ml ¥2,420(美容室専売品)

髪質改善ケアで使用される成分【レブリン酸】


\高濃度だとダメージを受ける可能性も。濃度は4%以下に/
パパイヤなどに存在するデンプン由来の成分。保湿&抗菌力に優れているため、頭皮ケアにも使用されています。髪質改善トリートメントに用いられる酸のひとつ。髪に含ませてヘアアイロンの熱を加えると、たんぱく質と結合して内側からハリやコシ、ツヤを高めてくれる。

●ほかの呼び名は…なし。

レブリン酸配合のヘアケアはこれ

ハチミツやレブリン酸、生ケラチンなどの保湿や保護成分を配合したヘアオイル。仕上がりはサラツヤ。
ヴィークレア &honey カラーコントロールリペア ヘアオイル3.0 100ml ¥1,540

髪の栄養を運ぶ配達屋さん【CMC】


\補えばしっとりした質感の髪に/
髪の内部で、水や栄養分などを運ぶ、髪を形成する成分のひとつ。“細胞膜複合体”といわれる。紫外線やアイロンなどの外的刺激やストレスなどの要因によって、CMCが不足すると、髪のハリやツヤが減り、ダメージも受けやすい。自ら生成できない成分なので、ヘアケアアイテムでプラスして。

●ほかの呼び名は…セルロースガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースNa、CMC・Na

抗酸化作用で髪のダメージをセーブ【ヘマチン】


\パーマのダメージケアでも使われる/
血中のヘモグロビンを分離して合成される、有機鉄錯化合物。髪のたんぱく質と結合し、髪にハリやコシを与える。抗酸化作用も高く、活性酸素の働きを抑制して髪のダメージを軽減。最近では、毛髪のメラノサイトを活性化する可能性があると考えられていて、白髪ケアアプローチとしても注目を集めている。

●ほかの呼び名は…ヘマチン液

ヘマチン配合のシャンプーはこれ

ヘマチン配合で、ヘアカラー後のダメージを補修する髪の導入美容液。カラーの色落ちも防ぐ。
ネイチャーラボ マイブースターズ ヘマチンブースターミスト 90ml ¥1,980

これから来る!?最新成分はこのふたつ

抗老化作用が期待できる【NMN】

ニコチンアミドモノヌクレオチドの略で、ビタミンB3の一種。抗老化作用で頭皮細胞の老化を抑制するかもしれないと期待されている。“血管新生を促進する可能性あり”という点にも熱視線が送られている。

髪のうねりにパワーを発揮【トステア】Ⓡオリエンタルケミカル

トステアⓇ×ヘアアイロンなどのギアの熱により、髪内部の水分保持を実現。髪のうねりや広がりを抑えることでも話題の成分。熱を加えることで、ツヤやコシが出て、まとまりやすい髪へ導いてくれる。

トステア配合のヘアケアはこれ

トステアⓇを高配合。髪密度を満たすと共に髪の水分量もアップ。
Hair Theory Lab セラムイン シャンプー 300ml ¥4,400

セラムイン シャンプーの詳細はこちら

『美的』2025年7月号掲載
イラスト/カツヤマケイコ 構成/むらなかさちこ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

twitter LINE Threads

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事