夜遅い時間でも食事はしたほうがいいってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「ダイエット」について。夜遅い時間でも食事はしたほうがいいってホント? 「食べるダイエット」を基本とし、食事コンサルティングも行っているパーソナル管理栄養士の三城円さんにお話を伺いました。
Q:夜遅い時間でも食事はしたほうがいいってホント?
夕飯を食べそびれて夜中になってしまったとき、食事をするかどうか迷ったことはありませんか?そのあと寝るだけなら食べないほうがいいのか、お腹が減っているなら食べるべきか…。夕飯は遅い時間になっても食べるべきなのでしょうか? 三城さんに聞いてみました。
A:ホント
「寝る前にいわゆる“しっかりとした食事”をすると、眠りが浅くなるなどの弊害もあるので、基本は避けたほうが良いです。しかし、夜遅くになっても、1日の必要なエネルギーや栄養素が足りていない場合は、食事を抜くと、栄養不足に加え、寝付きが悪くなる可能性もあるので、食べるべきです」(三城円さん・以下「」内同)
夜遅い時間でも夕食を食べる必要があるのはなぜ?
「食事の目的のひとつとして、みなさんが認識していることのひとつに“内臓を動かすこと”があると思います。そのため、夜、寝る前に食事をすると、ムダに胃が動いて胃もたれしてしまうのではないか、と考えますよね。また、寝る前に食べたら、エネルギーが消費できずに太るのでは…と考える人もいるでしょう。しかし、人は1日に必要な栄養素を分割して、3食で摂っています。そのため、夕食が夜遅くなってしまった場合でも、食事を摂っていただかないと、栄養不足になってしまう可能性も出てきます。その点からも、夜遅い時間になってしまった場合も、必要量が足りていない場合は夕飯を食べていただきたいです。
1食ぶんを減らせば、摂取エネルギーも減るから良いのでは?と考える人もいるかと思いますが、その生活に体が慣れてしまうと、少しのエネルギーでも足りるように体が適応させてしまいます。そうすると、多く食べていなくても太りやすい体になってしまいます。
こういった理由からも、ダイエット中も1日3食をコンスタントに摂るほうが、効率的にエネルギーを摂取、消費ができると言えます」
基本となる1日の食事スケジュールは?
「人によってライフスタイルが様々なので、“夜遅い時間”の設定も人それぞれだと思います。そのため、ライフスタイルは別とした、食事スケジュールの基本となる、時間の考え方をお伝えします。
まずは朝でも昼でもよいので、その日、1回目に食べた食事を朝とします。そこから5〜6時間空けて、昼ごはんに当たる2食目を食べます。そこからまた5〜6時間空けて、夕食となる3食目を食べる。これが基本の3食になります。理想の時間は、朝6時とか7時に1回目の食事、お昼は12時や13時、そこから5〜6時間空けて、18時から19時あたりに3回目の食事という具合です」
夕飯が21時以降になってしまう…という人におすすめの食べ方
「実際に理想の時間である18時や19時に夕食を食べられる人は少ないと思います。そのため、夕食が21時以降になってしまう人におすすめなのが、夕食を2回に分けるという方法です。
まず理想の時間と言われる18時や19時に『夕食1』として、おにぎりでもゆで卵でも野菜ジュースでもいいので、少しだけ食べ物を口にしておく。そして、21時以降などの夜遅くと言われる時間に『夕食2』として、消化の良さそうなものを食べていただきます。『夕食2』は、できれば0時までには食べていただいて、次の日の朝ごはんまで時間を空けていただくのが良いです。
21時以降の夕食でも、完全に抜いてしまうと、オレキシンという覚醒物質の分泌が増えます。そうすると、寝付きが悪くなる、食欲がより増してしまうなどということが起こり、不調につながります。夕食を2回に分けて食べることで、食事をせずに寝て、栄養不足になることも避けられますし、空腹の状態で眠りにつくというストレスや不調の原因も減らすことができます」
夜遅い食事をするときの注意点
「朝も昼も、夕方もバタバタしていて、やっと夜に落ち着ける、というライフスタイルの人であれば、夜遅くの食事をリラックスタイムという位置づけで、摂ってもらうのもいいと思います。しかし、美容と健康のためにも、食事量は少なめに、しっかり噛んでゆっくり食べる、ということを意識してもらいたいです。
夜遅くに食事を摂る場合は、寝るまでの時間が少なくなりがちです。そうすると、内臓が活発に動いている状態で眠ることになるため、眠りが浅くなってしまい、疲れが取れにくくなってしまいます。良い睡眠を得るためにも、食事から睡眠までの時間は2時間程度あけるべき、と言われていますから、消化の負担を減らすためにも少量&ゆっくり食べることが大事です」
Point
・食事量は少なめに・しっかり噛んで、ゆっくり食べる
・食事から睡眠までの時間は2時間程度あける
寝る2時間前までに夕食を食べられない人は
「夕食を寝る2時間前までに食べられないからと言って、本当はお腹が空いているのに、何も口にせず、眠ろうとするのも良くありません。お腹が空いていることが気になって落ち着かず、寝付きも悪くなってしまい、結果的に眠る時間が遅くなってしまいます。軽めにゆっくり食べる食事であれば、睡眠までの間は1時間ほどでも大丈夫なので、食べることをおすすめします。その代わり、翌日の朝食と昼食はしっかり食べていただく、というライフスタイルにシフトしていくと、痩せやすい体をつくることができますよ」
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
大学卒業後、病院勤務に従事。その後、筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。自身のダイエット・摂食障害の経験から、食べる恐怖や罪悪感を持ち、苦しんでいる人のサポートをするため、2011年にパーソナル管理栄養士として独立。食べるダイエットを基本とし、ダイエットや摂食障害、アスリートなど、一人ひとりの目的に沿った食事コンサルティングを行っている。「健康なときこそ、食の相談は管理栄養士にするのが当たり前な社会づくり」を目指し、さまざまな活動にも取り組んでいる。著書は『一週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法』(サンマーク出版)。
■HER-SELF女性の健康プロジェクト
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