美的GRAND
健康・ヘルスケア
2021.11.10

40代以降は誰もが「乳がん予備軍」!9人に1人が乳がんになる時代、その原因は?【美的GRAND】

会社の健康診断だけでOK? 自己診断はしていない?発見から治療の流れを知れば怖くない!

40代以降は誰もがみんな乳がん予備軍!さあ、早く見つけて早く治そう!

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がん研有明病院乳腺外科医長

片岡明美先生

美容ジャーナリスト

山崎多賀子さん

コロナで検診に行かなくなっている。乳がんの「検診控え」昨年は3割増!

乳がん検診を受けていますか? 『美的GRAND』読者へのアンケートでは、およそ90%が受けたことがある、または定期的に受けている、という結果に。年齢的なこともあってか、乳がんへの関心は非常に高いよう。一方、日本全体で見ると、乳がん検診の受診者は、欧米に比べてまだまだ少ないのが現状。さらに、コロナ禍で検診を受ける人が大幅に減っています。昨年がん検診を受けた人は前年に比べ約3割減となったという事実も!(「日本対がん協会」調べ)

これは深刻な事態というのは、乳がん治療が専門の片岡明美医師。
「コロナ禍に見舞われてから、超早期のステージ0(ゼロ)で発見できる人がかなり減ってしまって、代わりに病気が進行してから駆け込む人が増えています。かつて日本は受診率を上げることが課題でしたが、ピンクリボン運動などにより、検診を受ける人が順調に増えていました。それが、コロナ禍で一気に10年分くらい逆戻りしてしまった感じです」。

乳がんは早く発見し早く治療するのがべスト。不要不急の外出が控えられているけれど、乳がん検診は誰がなんといおうと必要火急! 今のところ自覚症状がなくても、検診は可能な限り続けていきたい!

『美的GRAND』読者に聞きました

Q. 乳がん検診を受けていますか?

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検診を受けない理由は「私は胸が小さいから大丈夫」「マンモグラフィが痛そう…」「お金がかかる」「がんが見つかったら怖い」など。

Q. どんな検診を受けていますか?

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会社や自治体の検診はマンモグラフィだけということも。その場合は、超音波などを乳腺専門クリニックでプラスする手も。

9人に1人が乳がんになる時代!!
その原因はハイカロリーな食生活!?

乳がんにかかる人は年々増加していて、現在、日本人女性が生涯で乳がんにかかる確率は、10.6%。ざっくりと9人にひとりは可能性があるといえます。日本人の女性がかかるがんで最も多いのが乳がん。
「ピンクリボン運動が日本で始まった20年前は、23人にひとりといっていましたが、あれよあれよという間に9人にひとり。急激に増えています。それが、このコロナ禍でさらに急増しているのです。考えられる原因はいくつかありますが、最も注意しなければならないのが、食生活の欧米化。脂質や糖分がたっぷりの高カロリーな食事です。アメリカでは乳がんは6人にひとりと非常に多いですが、日本も食事の欧米化によって猛烈に追い上げている状況です」(片岡先生)。
乳がんが予想以上のペースで増えているという衝撃の事実。いつ誰が乳がんになってもおかしくはないのです。

【がん罹患数順位(女性)】

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今や2人に1人ががんにかかる時代。乳がんは9人に1人と多く、さらに、増え続けている。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)(2018年)

40代は乳がんピーク年齢!!
肥満や出産経験も大きく関係!?

乳がん発症年齢のピークは、ずばり40歳代後半から50歳代前半。60歳代で再び増加します。グラン世代は、まさに乳がん適齢期!?
「乳がん増加の大きな原因のもうひとつが、女性のライフサイクルの変化です。今の女性は出産が高齢化し回数も減っています。出産機会が少ないまたはないことで、女性ホルモンの影響を受ける時間が長くなると、乳がんリスクが上がります。一方、閉経すると卵巣からのホルモン分泌はなくなりますが、今度は皮下脂肪で女性ホルモンが作られるようになります。脂肪をたっぷり蓄えているということは、がんにエサを与えているようなもの。乳がんにならないためにも適切な体重コントロールは必要です」(片岡先生)。

乳がんに影響を及ぼすホルモンが脂肪で作られる!? これは…今すぐダイエットを始めないと。コロナ太りを放置している場合じゃない!?

【年齢別罹患率】

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乳がんが多いのは、閉経が近づく頃。だが、閉経後も全く油断できない。
出典:国立がん研究センターがん対策情報センター(2015年)

ウィズコロナ生活でリスク増大!?
命を守るため検診は受けて!!

ジムも退会し運動もほとんどせず、買い物も控え食事は宅配で調達。これは、もしや乳がんになる生活!?
「コロナがもたらした生活の変化が、乳がんに悪い影響を与えることは、ほぼ確実です。さらに、コロナで病院に行きづらくなり検診を受けない人が増えたことで、早期の発見と治療が難しくなっています」(片岡先生)。

命を守るためには、何より早く気づくこと。そのためには、やはりセルフチェックと検診です。
「自分でリスクが高いと自覚している人は、念入りな検診を受けた方がいいです。肥満体型の人や出産経験がない人、それから、家族に乳がんを発症した人がいる人。ひとつでも心当たりがあれば自分はリスクがあると思って検診を受けてください」(片岡先生)。

実は、乳がんにおいては、遺伝子検査の選択など、検査も治療も進化しています。自分の命を守るために、この機会に新しい情報をチェックして。

ウソ?ホント?乳がんにまつわる都市伝説

インターネットでいろいろな情報にアクセスできる今だからこそ知っておきたいウソとホント。検索してみると、正しい情報のみならず、根拠のないデマや憶測も散見されて玉石混交です。「こんな人は乳がんになりやすい!なりにくい!」のウソ・ホントを片岡先生に聞きました。

Q. 胸の大きい人は乳がんになりやすい?小さいければなりにくい?

「ウソ。大きさは関係ないです。胸が小さい人も乳がんになります。ただ、小さい人は“しこり”を見つけやすいメリットはありますね。胸が大きい人は触っても小さな乳がんはわかりにくいかもしれません」

Q.がん家系というけれど、家族に経験者がいるとなりやすい?

「ホントです。家族にがんを発症した人がいる場合は、自分もがんになるリスクが高いと思った方がいいです。検診はくれぐれも怠らないようにして。リスクが気になる場合は、遺伝カウンセリングも視野に入れて」

Q.豆乳やサプリイソフラボンのとりすぎは、乳がんリスクを上げる?

「ウソ。もし豆乳を毎日1lも飲んでいても、それが原因で乳がんになることはないです。イソフラボンも同じです。それより、家族にがんの人がいないか、肥満していないか、出産経験がないか、の方が現実的なリスクです」

Q.鶏唐揚が大好物だと乳がんになりやすい?

「ホント。材料の鶏の飼育に使われるホルモン剤が気になりますね。ほかにも、チーズなどの乳製品が良くないなどといわれますが、特定の食物というより、高カロリーの食事で肥満になる方がマズいですね」

『美的GRAND』2021年秋号掲載
イラスト/komugi 構成/木更容子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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