揚げものはサラダ油よりオリーブオイルを使ったほうがローカロリーになるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「ダイエット」について。サラダ油よりオリーブオイルで揚げたほうがカロリーは減るってホント? 「食べるダイエット」を基本とし、食事コンサルティングも行っているパーソナル管理栄養士の三城円さんにお話を伺いました。
Q:サラダ油よりオリーブオイルで揚げたほうがカロリーは減るってホント?
ひと昔前までは「油はダイエットの敵」と言われていましたが、近年では摂取したほうが良い油も多い、という考えが一般的。とはいえ、カロリーは気になるもの。そもそも油は種類によって、カロリーは変わるのでしょうか? 例えば、体にいいと言われるオリーブオイル。揚げ物に使えば、サラダ油のときよりカロリーは減るのでしょうか。三城さんに聞いてみました。
A:ウソ
「食用油はどの油でも1gあたり9kcalです。種類によってカロリーの差はありません」(三城円さん・以下「」内同)
ダイエット中も油は摂るべき?
「カロリーに差がないとはいえ、オリーブオイルがいい油であることは間違いありません。食事に揚げ物を取り入れたい場合、オレイン酸を多く含むオリーブオイルで調理するのはおすすめです。
その一方で、一般的にサラダ油は、なたね油、綿実油、大豆油、ごま油、ベニバナ油、こめ油などをブレンドした調合油を指します。どんな料理にも使いやすい油としてサラダ油は便利です。脂質の摂取量は、エネルギー摂取量に対して20〜30%程度とされています。例えば1日2000kcal程度のエネルギー摂取量の場合、脂質からは600kcal以内となります。そのうち、油からは1日大さじ2〜3杯程度、つまり30g程度(200〜300kcal程度)の摂取が理想です。普通の食事をしている場合は、オーバーすることは少ないですが、お惣菜、冷凍食品、外食、テイクアウトなどが多い場合は、少し気にしてみるといいと思います」
Point
1日の脂質の理想摂取量は、エネルギー摂取量に対して20〜30%程度体に良い油も取り過ぎはNG?
「油は細胞ひとつひとつの膜にも使われているため、美肌のためにも大事な要素。また、女性に多い便秘は、ダイエットによる油不足が原因というパターンもあります。なので、断つことはやめて欲しいです。
油への意識が高まっていることで、さまざまな料理にいろいろな油を添加する人もいますが、体にいい、体に必要、と言っても、何でも摂りすぎは良くありません。油をいっぱい摂り過ぎると、下痢をしてしまう人もいますから、上述した通り、摂取量には気をつけてください」
上手な油の選び方&使い方
「サラダ油、オリーブオイル、MCTオイル、体に良いとされているオメガ3系のオイルでもカロリーはすべて同じです。オイルの特性を知って、使用目的に合ったものをいくつか常備するのがおすすめです。
油脂には分類があり、常温で固形の“脂”と常温で液状の“油”があります。今回は“油”についてお話します。
油の中でも、化学構造式のどこかに、何か所、酸素が不足しているか(二重結合の位置)によって“一価不飽和脂肪酸”と“多価不飽和脂肪酸”に分類されます。一価不飽和脂肪酸はオメガ9系といわれ、オリーブオイルやこめ油がここに含まれます。多価不飽和脂肪酸は、オメガ6系とオメガ3系の2つにわけられます。オメガ6系はごま油、オメガ3系はアマニ油やEPAなどの油が含まれます。
オリーブオイル、ごま油、こめ油は常備している人も多いと思いますが、油にはそれぞれ特性があるので、使い分けしてみましょう。
オリーブオイルには、LDLコレステロール値を低下するはたらきがあるオレイン酸が多く含まれています。熱にも比較的強いため、揚げ物や炒め物などにも使いやすい油です。ただし、エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブ独特の風味があります。それを生かしてほしいので、サラダや料理の仕上げに使うのがおすすめです。
こめ油は、米ぬかを原料にした油のため、ポリフェノールの一種である“γ–オリザノール”が含まれています。これは自律神経のはたらきを調整するはたらきがあります。また、オレイン酸や必須脂肪酸のリノール酸がバランス良く含まれていたり、コレステロールの吸収を抑えるはたらきも期待できます。酸化や熱に強いことや、高温でも焦げ臭がしにくいため、揚げ油として最適です。味や香りもないため、料理の素材の風味を生かせますね。
ごま油は“ゴマリグナン”というごま特有の抗酸化作用が多いという特徴があります。香りや風味も良く、餃子など料理の下味にも活用できます。また、加熱にも強い油のため、料理の種類問わずに使うことができます。ただし、脂肪酸の中でも過多になりがちといわれるオメガ6系が多く含まれるので、摂り過ぎには注意しましょう。
上記以外に新しい油を買うのであれば、オメガ3系のアマニ油やエゴマ油などの油がおすすめです。アマニ油は、必須脂肪酸であるαリノレン酸などの脂肪酸も摂取できますし、“リグナン”という女性ホルモンに似たはたらきがある“植物性エストロゲン”とも呼ばれているポリフェノールの一種も摂取できます。
オリーブオイルやごま油の味と香りにちょっと飽きてしまった、なんていうときにも、クセがなく、使いやすいです。ただ、オメガ3系のオイルは熱に弱く、酸化しやすい油です。非加熱で摂取することで健康への効果が期待できるものなので、加熱には使用せず、光に当たらない暗所で保存しましょう。また、油は余ったからといって一度使用した油を揚げ油に使うという方法もおすすめできません。そのため、使い切れる量の小さめの瓶のものなどを買うのがおすすめです。
アマニ油などオメガ3系の油は、納豆や味噌汁に垂らしたり、サラダのドレッシングに使うなどが一般的です。でも、ついつい余らせてしまうという人や積極的に取り入れたいという人はヨーグルトにちょっとコクが足りないときに、お砂糖の代わりに入れるという方法もおすすめです」
- オリーブオイルはサラダや料理の仕上げに使うのがおすすめ
- こめ油は揚げ油として最適
- ごま油は摂り過ぎに注意
- オメガ3系のオイルは揚げ物には使わない
- オメガ3系のオイルは小瓶で買うのがおすすめ
- オメガ3系のオイルは納豆やみそ汁に垂らすのがおすすめ。ヨーグルトにプラスしても
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
大学卒業後、病院勤務に従事。その後、筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。自身のダイエット・摂食障害の経験から、食べる恐怖や罪悪感を持ち、苦しんでいる人のサポートをするため、2011年にパーソナル管理栄養士として独立。食べるダイエットを基本とし、ダイエットや摂食障害、アスリートなど、一人ひとりの目的に沿った食事コンサルティングを行っている。「健康なときこそ、食の相談は管理栄養士にするのが当たり前な社会づくり」を目指し、さまざまな活動にも取り組んでいる。著書は『一週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法』(サンマーク出版)。
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