「ダメうんこ」脱却!元気なうんこが出ない4つの要因
「便」は腸や体のコンディションを映し出す鏡。うんこができるメカニズムや腸内環境を乱す要因を知って、体の中からすっきりキレイに!
うんこの量や質を操る腸内フローラ
うんこの量や質は腸内環境の現れ。悪玉菌が多いと「ダメうんこ」に!
「大腸内に棲む腸内細菌は、大きくは、体に良い働きをする善玉菌、悪影響を及ぼす悪玉菌、状況によってどちらかに味方をする日和見菌に分けられます。元気なうんこを排泄するためにはこの集合体『腸内フローラ』を善玉菌優位に保つことが大切です」(内藤先生)
腸内フローラが善玉菌>悪玉菌の良好な腸内環境なら、元気なうんこがどっさり!
日和見菌
・バクテロイデス
・大腸菌(無毒性)
・ユーバクテリウム
・連鎖球菌 etc.
悪玉菌
・ウェルシュ菌
・ブドウ球菌
・クロストリジウム
・大腸菌(毒性) etc.
善玉菌
・ビフィズス菌
・酪酸菌
・乳酸菌
・腸球菌 etc.
腸内環境を乱す要因
(1)食生活の乱れ
「腸内環境を左右する最大のファクターは食事。特に、便の量が少ないのは、明らかに食物繊維の摂取不足です」(内藤先生)
食物繊維の不足
「日本人の平均的食物繊維摂取量は14〜15g/日で、欧米の24〜25gと比べてもかなり少ない。ダイエット目的で、食物繊維が豊富な穀物類を極端に減らすのは考えものです」(内藤先生)
砂糖と塩分のとりすぎ
「砂糖や塩のとりすぎは、腸内フローラを悪玉菌優位に変えることがわかっています。節制しすぎてストレスになるのは良くないけれど、なるべく控える意識が大事」(内藤先生)
動物性脂肪のとりすぎ
「レッドミートと呼ばれる牛肉、豚肉、羊肉など動物性脂肪の多い食品や、揚げ物など脂っこい食事は、腸内環境を悪化させる要因。便の色も黒くなり、ニオイも不快に」(内藤先生)
人工甘味料、加工食品、添加物の摂取
「人工甘味料や食品添加物、保存料などをとりすぎると、善玉菌がダメージを受けて消滅し、悪玉菌が増加。腸内環境が乱れることが、国内外のさまざまな研究で明らかになっています」(内藤先生)
(2)運動不足
腸周りの筋力が弱いと、便をスムースに外へ押し出せない
「デスクワークが多く、日常的に体を動かすことが少ないと、腸への刺激も少ないため、ぜん動運動が鈍化します。また、運動不足で腸腰筋の力が弱まると、便を押し出す力も低下して、すっきり出せなくなります」(胃腸さん)
(3)ストレス
脳の疲れは腸内環境を乱し、逆に腸の不調も脳へ悪影響
「脳と腸は『脳腸相関』といって、強く影響し合っています。ストレスを感じると消化機能が低下して腸内環境が悪化。便秘や下痢の要因に。逆に、腸内環境の乱れが気分の落ち込みを招くといった報告も」(内藤先生)
(4)睡眠リズムの乱れ
睡眠の質が悪く、体内リズムが乱れると、腸の働きもダウン
「腸の活動のピークは副交感神経が最も高い睡眠中。眠っている間に便が作られるので、睡眠時間が短かったり、眠りが浅いと、翌朝の排便時に向けて準備が整いません」(胃腸さん)
うんこができるメカニズム
便を形作るのは大腸の仕事!
「小腸で消化・吸収された後の食べカスは、消化液に混ざったまま液体として大腸に入ります。大腸のぜん動運動によって進みながら、水分と電解質が吸収されて固形化。S状結腸から直腸に移動すると、脳からの指令で便意が生じて排出されます」(内藤裕二先生)
大腸の働きが低下するとうんこの量も質も
Point
・腸のぜん動運動が弱いと、うんこが停滞・ストレスなどで腸がけいれんを起こすとコロコロ便に
・直腸に便が詰まって固まると、排泄しづらくなる
「便が大腸内をスムースに進みながら固形化していくのは、腸のぜん動運動があってこそ。この働きが低下すると、便が停滞して水分がなくなり、固くなったり、コロコロ便になったり、直腸に充満することに」(胃腸良子さん)
腸に残ったうんこを放っておくと、腐敗細菌が悪さをし始める
- 肌あれ・ニキビ
- 体調不良
- 抜け毛・体臭
- 血行不良・冷え
- 大腸がんのリスクUP
「腸内は38℃程度で高湿度。便が溜まったままだと、腸内細菌が腐敗して悪玉菌が増加します。肌や体の調子が低下したり、将来的に大腸がんのリスクも高まります」(胃腸さん)
ナースキュア代表 看護師・内視鏡検査技師
胃腸良子さん
いちょうよしこ/15年間で延べ13,000人の胃腸を看てきた知識と経験を活かし、2015年11月起業。NRサプリメントアドバイザーの資格も取得。腸内フローラからのエイジングケアを指導している。
『美的』2021年9月号掲載
イラスト/スケラッコ 構成/つつみゆかり、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
ないとうゆうじ/医学博士。消化器内科専門医として診療に当たる一方、最新医学に精通。消化器病学や消化器内視鏡学、生活習慣病のほか、腸内フローラや脳腸相関についても長年研究を続けている。