「更年期=暗黒」って発想がもう古い!閉経を迎えたら…|幸せな「更年期」の世界【美的GRAND】
「生理が終わるって、女じゃなくなるってこと…?」。生理に振り回される人生が終わったら、次に待っているのは更年期…。でも、それからはじまるシーズンには、面白いことやいいことが待っている!
先輩たちに聞く、幸せな「更年期」の世界
上がるってどういうこと?
今まさに更年期でツライ人、そろそろ閉経の予感がしている人、ホルモンに左右されるのがグラン世代。でもホントに更年期って苦しいだけ?閉経は女の終わりなの?世の中には閉経を経て、なお美しく輝いている先輩方はたくさんいます。そんな幸せなアフター閉経ライフを迎えるには……。日本の女性医療の第一人者対馬ルリ子先生に伺いました。
閉経=「上がる」じゃない!
更年期の10年間を無事に乗り切って初めて「上がる」!

『美的GRAND』読者の多くは40~50代。今まさに更年期真っただ中でツライ人もいれば、そろそろ閉経して「私はもう上がり」という人もいます。「閉経したからって上がりではないですよ。閉経の前後5年合わせて10年が更年期なのだから。そこを抜けてやっと『上がる』ですよ。更年期という期間は誰にでもあるもので、更年期がない人はいないの。更年期特有の不調が出るか出ないか、それは人それぞれだけれど。何も症状がないという人もあまりいないんですよ」と対馬ルリ子先生。
生理や更年期がツラいから上がりたいという人がいる一方で、まだまだ上がりたくないという人もいます。その女性の生き方やライフステージにもよりますが……。
「でもね、誰でもいつかは『上がる』んですよ。その後をどう生きるかは本人次第。上がったら女性でなくなるなんてありえません。閉経してからも恋愛している人はたくさんいます。ヨーロッパやアメリカでは70代でも結婚するでしょう。日本でも閉経後を第二の人生と捉えて生き直す人が増えていますよ」

それを聞くと「上がる」のもなんだか悪くないと思えてくる一方で、閉経すると一気に老けるという都市伝説もあるので恐怖を煽ります。
女性ホルモンの急激な減少に体が驚き体調不良に。閉経は玉手箱なのか!
「女性の体と心はずっと女性ホルモンに守られているんです。でも、更年期になると女性ホルモンが一気に減って、閉経以降はほとんどゼロに近い状態になってしまう。更年期に入りたての時期は、女性ホルモンがない状態に体が慣れていないから、体中のいろいろなところで指令ミスが起きてトラブルが発生することも。でもね、急な変化を少しだけゆるやかにすることで、体を徐々に慣らしていくこともできるんです。今はその方法がいろいろあるんですよ」
更年期のツラさを軽減する方法があるのにそれを知らずにやり過ごしている人も多いようです。
「急激に減ってしまう女性ホルモンをほんの少しだけ補ってカーブをゆるやかにする治療。HRT=ホルモン補充療法があります。だから、更年期や閉経後の不調を、耐え忍ぶのは、もう完全に時代遅れ。年だからしょうがない、女だからしょうがない、そうじゃないんです。更年期をツラくしない方法はいくらでもあるの。人生100年時代なら50代は道半ばでしょう。上がった後もたっぷり40年はあるんです。更年期で体と心をボロボロにしてしまったら、人生がもったいないじゃないですか」
更年期=暗黒って発想がもう古い!どうせ「上がる」なら緩やかなほうがいいというのが今の考え。
「更年期や閉経を迎えたら、自分のことは自分で守る!自分の状態を知るために検査もしっかりやるし、必要な治療は進んでやる。更年期って改めて自分の体と向き合う自分探しの時間なんです。やがて、女性ホルモンがない状態に体が慣れて、新しいバランスに落ち着いてくる。それが、本当の『上がる』ですよ」
こんな生理なら上がったほうがまし!?
暴言吐きまくりからの退職(残念だけどコレ実話です)。
『美的GRAND』2021年春月号掲載
撮影/金野圭介(静物) イラスト/小迎裕美子 構成/木更容子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長。産婦人科医・医学博士。日本における女性医療(ウィメンズヘルス)の第一人者。女性のココロとカラダ、社会との関わりを総合的に捉え、女性の生涯にわたる健康を推進するNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立。女性医療(ウィメンズヘルス)を広く知ってもらうための啓蒙活動や政策提言を行う。