健康・ヘルスケア
2021.2.17

ネット依存症って何?ネットやスマホから距離をおくにはどうしたらいい?【女医に訊く#146】

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入浴中や食事中もSNSなどでつながっていないと不安を感じたり、インスタなどの「いいね!」の数にヤキモキしたりしたことはありませんか? 体や心の健康に支障をきたす「ネット依存」について、精神科専門医の松島幸恵先生に教えていただきました。

ネット依存になりやすいのはどんな人?

SNSを見ていて気づいたら深夜」「ベッドでもスマホを見ちゃう」「ついつい歩きスマホ」「仕事中や家事中もスマホをつい見ちゃう」…ハッとした人は要注意! ネットやスマホに夢中になるあまり、 体や心の健康に支障をきたす「ネット依存」になりかけているかもしれません。

「依存とは『快楽』や『達成感』を手軽に得られるもので起こりやすいといわれています」 と語るのは、精神科専門医の松島幸恵先生。つまり、日々の暮らしでの充足感が得られにくい人ほど、ネットやスマホへの依存が起こりやすいのです。

あなたの「ネット依存度」をチェック!

スマホやタブレットの普及に伴い、ネット依存に陥る人は増えています。平成20年にネット依存傾向のある成人は271万人(出典:厚生労働科学研究)だったのが、平成25年には421万人(出典:同および久里浜医療センター)に。さらに、コロナ禍の現在、外出することが減りストレスを感じる人が増えており、その数字は爆発的に増えていることが予想されます。

まずは、あなたの「ネット依存度」をチェックしてみましょう。

1)ネットに夢中になっていると感じる(ネットでしたことを思い出し、次に接続することを楽しみにしているなど)
2)ネットの使用時間を長くしていかないと満足できなくなっている
3)ネットの使用時間を減らしたり、やめようとしたりして失敗したことが度々ある
4)ネットの使用時間を短くしたり、やめようとしたりすると、落ち着かなさや不機嫌、落ち込み、イライラなどを感じる
5)使い始めに意図したよりも、長い時間オンラインの状態にいる
6)ネットのために大切な人間関係、仕事、勉強や出世の機会を台無しにしたり、危うくしたりするようなことがある
7)ネットへの熱中しすぎを隠すために、家族や他人に嘘をついたことが
8)問題から逃げるため、または絶望感、罪悪感、不安、落ち込みなどの嫌な気持ちから逃れる方法としてネットを使う

チェックが5個以上あったら「ネット依存の疑い」。チェック3~4個は、「ネット依存予備軍」と考えられます。

出典:キンバリーヤング「診断質問票(DQ)」(翻訳:久里浜医療センター、引用:樋口進『ネット依存症』PHP新書)

デジタル機器を長時間使用することで、睡眠の質が悪くなったり偏頭痛が悪化したりなど体への影響や、不安になりやすいなど心に対しても影響もあります。さらに、スマホを常に気にしていることで、実際の関係性が悪化してしまうことも示唆されています。心や体、人間関係を壊してしまう前に、デジタルデトックスを始めてみましょう。

デジタルデトックスを始めてみましょう

デジタルデトックスとは、デジタルデバイスを一定期間手放し、心身の疲労やストレスを「解毒する」というアメリカ発祥の取り組み。ネット依存症の疑いがある方やネット依存予備軍の方、スマホの使用による心身の不調を感じている人に有用だといわれています。

「とはいえ、現代社会ではネットやスマホは不可欠ですから、社会生活や体調に問題ない範囲で使うようにすればいいのではないでしょうか? ゼロにするわけではなく、無理のない範囲で徐々に行います。今流行りのキャンプにいくのも良いですね。デジタル機器から離れる目的で山登りを始めて、山登りにはまった知人もいます。星野リゾートの『星のや』では、脱デジタル滞在を提供しているそうです。いずれの体験も、現実から離れて自分に向き合う時間をもつことで、ストレスが軽減するのです」(松島先生)

まずは、スマホのスクリーンタイムで使用時間をチェックしましょう。メモやノートなどに1日の行動記録(起床、仕事、就寝などの日常生活に加え、SNSなどの使用状況をかんたんに記入)を1週間分書き出してみるのもおすすめ。自分が考えている以上にスマホやデジタル機器に触れていることがわかると思います

無理なくできるデジタルデトックス術

「デジタルデトックスで大切なのは継続。すぐに挫折しそうなやり方はNG! 無理なく生活に取り入れましょう」と松島先生。

オンラインの代わりにリアルでやりたい行動や趣味をイメージするのもおすすめ。家族や友人に「今日から始める」宣言をするのも有効です。下記を参考に、無理のない範囲ではじめてみましょう。

1)SNSやメールの受信通知をOFF
2)スマホアプリのタイマー機能で使用時間を制限
3)使っていないアプリを削除
4)食事中など人と一緒にいるときは見ない

精神科専門医

松島幸恵先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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