健康・ヘルスケア
2020.10.21

「健診」は2種類あるって本当? 健康診断、特定健診、がん検診、人間ドック…どう違う? どれを受けるべき?【女医に訊く#130】

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健康かどうかを判定する「健診」、毎年きちんと受けていますか? 会社で受ける健康診断、地域で受ける特定健診、がん検診、人間ドックには、どのような違いがあるのでしょうか? 消化器内科を専門とし、人間ドックでは主に内視鏡検査を担当している医師の宮崎郁子先生に教えていただきました。

会社で受ける「健康診断」と地域で受ける「健康診査」の違いって?

健康かどうかを判定する「健診」。実は、「健康診断」と「健康診査」の2種類があるって知っていましたか?

「健康診断」とは労働安全衛生法第66条に基づき事業者が労働者に対して実施している、医師による診察および各種検査のこと。雇い入れ時に行われる「雇入時健康診断」や1年以内ごとに1回実施される「定期健康診断」などがあります。

「一方、自営業者やフリーターなど、国民健康保険に入っている方は、国が保健所を通じて地域の住民に対して実施をしている『特定健診(特定健康診査)』を受けることができます」と語るのは、消化器内視鏡専門医の宮崎郁子先生。ただし、特定健診の対象は40歳から74歳まで。健診項目も腹囲を含めた身体測定や血液検査など、メタボリックシンドロームに着目したものになります。

「がん検診」などの「検診」は「健診」とどう違う?

では、「がん検診」などの「検診」は、上記の「健診」とどう違うのでしょうか? 「健診」の目的が健康かどうかを判定し、生活習慣を見直すことであるのに対し、「検診」の目的は特定の疾患を拾い上げること。早期発見、早期治療によって、病気の進行や障害への移行を予防します。

「検診には、がん検診、歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診などがあり、健康増進法に基づき市町村が行っています。例えば、がん検診は、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんという5つのがんを早期発見することで、集団全体の死亡率を下げることを目的としています」(宮崎先生)

ただし、がん検診には対象年齢や受診間隔が設定されています。胃がん検診は50歳以上(胃部エックス線検査については40歳以上)で2年に1回、肺がん・大腸がん検診は40歳以上で1年に1回、乳がん検診は40歳以上で2年に1回、子宮頸がん検診は20歳以上で2年に1回と、美的世代が受けられるものは限られていますので注意しましょう

健康診断をベースに、より詳しく調べたい人には人間ドックがおすすめ

上記のように法律のもとで実施されない自由診療の検査には、生活習慣予防健診や人間ドックがあります。

生活習慣予防健診は、会社員の人が年に一度、受診することを義務付けられているもの。利用者が個人負担する金額はほとんどありませんが、基本健診+胃がん検診+大腸がん検診などの検査が一般的で、それほど複雑な検査や専門的な検査は受けられません。

一方、人間ドックは受診する年齢も間隔も検査項目も自分次第。生活習慣病予防健診には含まれない検査、例えば、胸部CT検査や頭部MRI検査、乳腺超音波検査、腫瘍マーカーなどを追加することも可能です。

「自治体で実施している健康診断の内容や料金は、各自治体によって異なりますが、無料のものもありますし、助成により費用はかなり安く抑えられています。人間ドックは自己負担金はかかりますが、会社や自治体の検査で調べられなかった検査も行うことができます。健康が心配な方は、ときには人間ドックもプラスして自分に必要な検査を経時的に受け、健康管理を行うことも大切だと思います」(宮崎先生)

消化器内視鏡医

宮崎郁子先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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