スマホやPCの使いすぎによる“目の不調”が増加! 1日の目の使い過ぎポイントは?
スマホやPCの使いすぎによる“目の不調”が美的世代にも増加!『美的』読者への調査では、約75%の人が「新型コロナウイルスの影響でスマホやPCの使用時間が増えた」と回答。使いすぎ場面をチェックして今すぐ対策を! 吉祥寺森岡眼科 院長の森岡清史先生にお話を伺いました。
手放せないスマホ、PCでの長時間作業で朝から晩まで目を酷使しています!!
スマホの使いすぎで眼瞼下垂になることも!
コロナ禍の自粛生活をきっかけに急増したリモートワークは、今後も継続される可能性大。さらに、プライベートでもSNSやオンライン飲み会などPCやタブレットを使用する時間が増え、目のトラブルはますます深刻に。
「疲れ目はひと晩ぐっすり眠れば回復しますが、悪化して眼精疲労になると睡眠だけでは回復しません。眼精疲労の人はドライアイを併発していることが多く、ドライアイが進行すると目に傷ができやすくなり、視力に影響することもあるので注意が必要です」と森岡先生。
さらに、近年はスマホの使いすぎにより、上まぶたが垂れ下がる“眼瞼下垂”が美的世代にも増えているというから驚きです。
「スマホを凝視することでまぶたをもち上げる筋肉が疲弊してしまうのが原因です。私のクリニックでは、10~30代の患者さんの手術を行いましたが、今後は若い世代でも注意すべき病気かもしれません」と森岡先生。
とはいえ、現在の生活でスマホやPCを手放すことはできません。そこで、「読書は電子でもできますが、目のためには紙の本も読むなど、スマホを見ない時間を作ることも必要です。こうした工夫に加え、日々のセルフケアで目を労わりましょう」(森岡先生)
通勤
通勤電車の揺れる車内は目への負担が増加
電車での移動中は、スマホを見ている人が大多数。しかし、「揺れる車内でスマホを見ていると、揺れに合わせて視点が常に動くため、目への負担が大きくなります。また、暗い地下から地上に出る電車などで車内の明るさが急に変わると、スマホによる目への刺激が強くなるので注意しましょう」(森岡先生)
仕事
長時間同じ姿勢で画面を凝視すると目の筋肉がフリーズ
「長時間、同じ姿勢で画面を見ていると、眼球が固定され、毛様体筋や目の周りの筋肉(下図参照)がこり固まって、目の疲れを引き起こす原因になります。さらに、まばたきが減るので涙の分泌が少なくなり、ドライアイにもなりやすくなります」(森岡先生)
食事
画面を正面で見ない“ながらスマホ”は目の疲労を助長
ひとりで食事をしていると、スマホを横に置いて、ついチラチラ見てしまうなんてことも多いはず。
「本来、私たちの目は正面のものにピントを合わせるのが正しい見方です。横目で画面を見るのは、片目を優位に使うことになり、負担が偏るため目に良いとはいえません」(森岡先生)
入浴
リラックスすべき入浴なのにスマホの刺激で交感神経が優位に!
リラックスすべき入浴タイムにスマホをもち込んでいると、交感神経が優位のままに。
「本来は、ゆっくりお湯につかることで副交感神経を優位にすべきなのに、スマホの刺激でリラックスできません。入浴中は血流も良くなるので、目の疲れを癒すのにもベストなタイミングですよ」(森岡先生)
就寝
暗い室内では画面のブルーライトの刺激が増大
「スマホが発するブルーライトは、強いエネルギーのため角膜や水晶体を通過して網膜まで到達し、疲れ目などの原因になりますが、暗い部屋でスマホの明るい画面を見ると、そのダメージが増大します。さらに、寝る前にブルーライトを浴びると、睡眠の質を低下させる原因にもなります」(森岡先生)
〈check〉目のピント調節の仕組み
毛様体筋の収縮がピント調節をサポート
物を見るときに、カメラのレンズのような役割を果たすのが水晶体。遠くを見るときは毛様体筋が緩まり、近くを見るときは毛様体筋が緊張することで、水晶体の厚さを調節しピントを合わせている。
眼球を動かす外眼筋
外眼筋のこわばりが疲れ目の原因に
眼球を動かす外眼筋は、上図の6つの筋肉からなり、これらがこわばると疲れ目に。外眼筋の一部でもあるまぶたの筋肉は、首の筋肉とも連動しているため、これらの疲労が肩や首こりの原因にもなる。
『美的』読者に聞きました!
Q.新型コロナウイルスの影響でスマホやPCの使用時間が増えましたか?
「ビデオ会議が増えて目が疲れやすくなった」「リモートワークになって視力の低下を感じる」など、使用時間の増加と共に、目への負担も増えたと感じる人が多数。
Q.スマホやPCを1日何時間くらい使っていますか?(’20年4~5月の場合)
回答した144人中、半数以上の76人が1日8時間以上もブルーライトを浴びているという結果に。利用時間が長い人の中には、頭痛や肩こりなど目以外のトラブルに悩む人も。
教えてくれたのは…
吉祥寺森岡眼科 院長 森岡清史先生
もりおかきよし/医学博士。日本眼科学会眼科専門医。院内に眼精疲労治療室を併設し、眼精疲労の専門的治療を行う。そのほか視力回復やレーザー治療など最新の医療技術を用いて幅広い治療を行う。
『美的』2020年9月号掲載
イラスト/Nobby 構成/青山貴子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。