夏場の寝苦しい夜はもう嫌…快適に過ごす快眠法を眠りのプロが解説!
「暑くて寝苦しい」でも「エアコンをつけると寒い」。そんな葛藤から解き放つ快眠法とは!? 眠りとお風呂の専門家 小林麻利子さんに詳しくお話を伺いました。
「夏冷え」レスキュー 睡眠編
Q.寝苦しくて睡眠不足…夏冷えにつながる?
A.YES!
「睡眠不足や睡眠の質が低下すると、自律神経の乱れを引き起こします。交感神経が優位な状態が続いてしまうので、末端の血管が収縮し、血行不良が起こりやすくなります。すると、夏でも冷えを感じる原因に」(小林さん)
Q.暑すぎず冷えすぎず快適に寝るには?
A.クーラーは必ずつけっ放しに。睡眠に最も重要な90分をベストな環境にすること
「寝始めの90分は深部の体温が急激に下がり、発汗もしやすいタイミング。このときに最も快適に寝られることは良質な睡眠をとる上でとても重要。タイマーは使わずエアコンはつけたまま、温度は一定に保ちましょう」(小林さん)
Q.じゃあ冷房は、何℃に設定したら寝やすい?
A.室温が26℃になるように。風量は自動に設定。湿度にも要注意
「温湿度計を用意して、設定温度ではなく室温が26℃になるのがおすすめ。風量は自動で。睡眠の質が低下するので風が直接体に当たらないよう風向きにも注意を。また、湿度が高いと中途覚醒が増えるので、蒸し暑い日はエアコンの除湿モードを使ってみて」(小林さん)
Q.でも、クーラーをつけて寝ると朝方寒い…
A.明け方の寒さ対策に、タオルケットではなく夏でも布団がマスト
「早朝4時頃は、深部体温が最も低くなりますが、寝具とパジャマで備えれば大丈夫。おすすめは布団を縦に折り、抱き枕のようにして寝ること。寒くなると無意識で自分で布団をかけられ、また横向き寝は体が安定し、熟睡しやすいというメリットも」(小林さん)
Q.扇風機を使う場合は?
A.基本はエアコン使用。扇風機の風は体に当てず、天井に向けて空気を対流させて
「扇風機やエアコンの風邪が直接体に当たると、睡眠の質が格段に低下するという研究データがあります。基本的にはエアコンの使用を推奨しますが、扇風機を使う場合は天井に向けて固定し、室内の空気をかき回す目的で使ってください」(小林さん)
Q.夏は何を着て寝るのが正解?
A.パジャマは長袖長ズボン!足首が冷えやすいのでレッグウォーマーがあると安心
「蒸し暑い中、半袖半ズボンで寝る…という人は、エアコンで涼しい中、長袖長ズボンを着て、布団をかけて寝るよう改めてみて。足首は特に脂肪や筋肉が少ないので冷えやすい部分。レッグウォーマーをはいて寝るのがおすすめです」(小林さん)
Q.では、パジャマはどんな素材がいいの?
A.通気性、放湿性、汚れ吸着、吸水性に優れた綿100%がおすすめ
「シルク素材でもいいですが、メンテナンスが必要なので、1年通して綿100%がおすすめ。長袖長ズボンでも、冬なら5重ガーゼ、夏なら2重ガーゼというように季節に応じて使い分けるといいでしょう」(小林さん)
3重に織り上げた独自のガーゼ素材を使用し、柔らかで優しい触感と、吸湿・吸水性、保温性、通気性を兼ね備えた快眠パジャマ。
マシュマロガーゼレディスパジャマ ピンク S〜LL ¥15,000(UCHINO)
Q.寝るときに冷えを感じているのに汗をかくのはなぜ?
A.寝室の気温が高すぎるか、眠りが安定していないから
「寝る前から明け方にかけて深部体温が下がっていくので放熱の際に汗をかくのは自然なこと。しかし、朝に汗をかくようなら室温が高すぎるか眠りが不安定な証拠です。二度寝をすると交感神経が低下し、体温が下がっているというケースも」(小林さん)
Q.靴下をはいて寝る方がいい?
A.足先からの放熱を妨げるのでNG
「良い眠りには、深部体温が下がっていくことが重要。足先は体の熱を最も放出する出口なので、靴下で蓋をするのはNG。足先は覆わず、レッグウォーマーで足首を冷えから守って。裾がめくり上がらないようにパジャマの上からの装着が正解」(小林さん)
Q.湯冷めしないように入浴後すぐに寝る方がいい?
A.お風呂上がりから1時間程空け、汗が引いてからの就寝がおすすめ
「お風呂上がりにいつまでも汗だくの状態でいると湯冷めしやすくなります。入浴で上がった深部体温が約1時間で下がり、スムースな眠りにつながるので、涼しい部屋で汗が引いてから、入浴の1時間後に就寝するのが理想です」(小林さん)
Q.ひんやり寝具や保冷まくらを使ってもOK?
A.快適に寝られるならOK。でも冷房をつけて寝れば不要
「寝始めでは、肌に触れる部分がひんやりと感じますが体の芯まで冷やすものではありません。しかし綿などの天然素材に比べると通気性、吸水性、放湿性が低いので、ムレを感じる場合も。おすすめはエアコンをつけて天然素材の寝具で寝ること」(小林さん)
Q.じゃあ夏はどんな寝具を選んだらいい?
A.天然素材がおすすめ。麻や綿、意外にもウールのマットが汗の吸湿に優れていて快適
「夏は、麻のリネン素材が涼しくて柔らかなのでおすすめ。暑そうでも、ウールはコットンの2倍、ポリエステルの40倍の吸湿性があるのでマットに取り入れるとGOOD。また、綿100%素材もホコリが立ちにくく汚れを吸着するので一年中重宝します」(小林さん)
教えてくれたのは…
眠りとお風呂の専門家 小林麻利子さん
『美的』10月号掲載
イラスト/平松昭子、きくちりえ(Softdesign) 構成/村花杏子、つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。