尿漏れはなぜ起きる? 意外に知らない“排尿の仕組み”を女医が解説
大切なことなのに意外に知らない“排尿の仕組み”について、女性医療クリニック LUNAグループ 理事長の関口由紀先生に詳しく教えていただきました。
Let’s study! 排尿の仕組み
Q.そもそも尿って何?
A.老廃物を含む、体に余分な水分
「尿の材料は血液。体内を巡る血液は腎臓でろ過され、必要な物質は再回収されますが、老廃物や毒素、余分な水分などは尿として体外に排泄されます。尿の役98%は水分で、ほかには、たんぱく質の代謝によって作り出される老廃物などが含まれています」
Q.尿はいつ、どうやって出るの?
A.尿が膀胱の壁を押し広げた刺激が脳に伝わると尿道が開いて排泄する
「腎臓で作られた尿は尿管を通って、いったん膀胱にためられます。通常、150〜250mlの量がたまると、膀胱の壁が押し広げられて、その刺激が脳に伝わって尿意を催します。その後、トイレに入って脳が“出してOK”のサインを送って恥mて、尿道が開いて排尿に至ります」
女性の尿道は4~6cmと短く、一直線なので、男性よりも腹圧に対する尿道の抵抗が少なく、尿漏れしやすい。
Q.健康的な排尿の目安は?
A.1回200~600mlを1日3~8回、計1~2L
「排尿という行為は、実は私たちの意思とは無関係に働く自律神経によってもコントロールされています。尿を漏らさず膀胱にためるのは交感神経、たまった尿を残さず排出するのは副交感神経の働き。そのため、頻尿や尿漏れなどのトラブルを回避し、1日3〜8回の正常な排尿を維持するためには、自律神経のバランスを整えることも重要です」
Q.頻尿や尿漏れはなぜ起きる?
A.骨盤底筋の筋力低下や靭帯の緩みが大きな要因に
「膀胱や尿道は。骨盤内の臓器を支える『骨盤底』というプレートの上に乗っかっています。この骨盤底を構成するのは、骨盤底筋という筋肉と靭帯、筋膜など。加齢や妊娠・出産などが原因で骨盤底筋が緩み、靭帯や筋膜が傷つくと、その上に乗っている膀胱や尿道は不安定な状態に。そのため排泄をコントロールする力が低下して、尿漏れや頻尿などのトラブルを招いてしまいます」
骨盤底筋は、恥骨から尾ていに至るプレートで、膀胱や尿道、子宮、直腸などの臓器をハンモックのように支えている。
教えてくれたのは…
女性医療クリニック LUNAグループ理事長 関口由紀先生
せきぐちゆき/横浜市立大学医学部泌尿器科で女性泌尿器外来を担当後、2005年に「横浜元町女性医療クリニック・LUNA」を開設。現在は大阪・心斎橋にも展開するグループの総帥を務める。
www.luna-clinic.jp
『美的』8月号掲載
イラスト/小迎裕美子、きくちりえ(Soffydesign) 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。