頻尿、ちょい漏れ、膀胱炎…“おしっこトラブル”大丈夫? 症状や原因を詳しく解説
トイレに行けない状況になると“とにかく不安”、就寝中何度もトイレに起きてしまう、あとちょっとが我慢できず、ちょい漏れ…etc.ひとりでこっそり悩んでいませんか? 骨盤底筋を鍛える、冷えを取る、食生活を見直す…など今からできる対策はあるんです! 女性医療クリニック LUNAグループ 理事長の関口由紀先生に詳しく教えていただきました。
放置は絶対にNG! 「おしっこトラブル」は治せます!
尿漏れや頻尿などの「おしっこトラブル」は、何もシニア世代に限ったことではありません。ここにあげた川柳のような悩みは美的世代にもありがち。あなたもこっそり経験しているのでは? 誰かに相談するにはちょっと恥ずかしいし、病院に行く程でもないと、つい放置してしまいがちだけど、この先年齢を重ねる程、もっと悪化・習慣化してしまう可能性は大! そうならないためにも、日常生活の中で今すぐできる予防と対策をスタートしましょう。
その「おしっこトラブル」の原因は、細菌感染? 筋力低下? 心の問題?…ホントの所を知ることが改善への一歩!
<急性細菌性膀胱炎>
尿道内に侵入した細菌で膀胱に炎症が。
主な症状
・数日前から排尿時や排尿後に痛みがある。
・トイレが急に近くなる。
・残尿感がある。
原因
尿道から細菌が侵入して繁殖する感染症。通常は、多少細菌が侵入しても感染症になる程繁殖はできないけれど、疲労やストレスなどで免疫力が低下していると発症しやすくなります。性行為が原因になることも。
<過活動膀胱>
尿が少したまっただけで、トイレに駆け込む。
主な症状
・突然、強い尿意を感じる。
・トイレに行く回数が多い。
・夜中もよくトイレに起きる。
原因
主な原因は、排尿をコントロールする骨盤底筋の衰えや、膀胱と尿道を支える靭帯や筋膜の損傷。最大の要因は妊娠と出産です。また、女性ホルモンの減少によって骨盤底を構成するコラーゲンが減少することも一要因。
<膀胱痛症候群>
おしっこを我慢すると膀胱に痛みや違和感がある。
主な症状
・膀胱付近に痛みや違和感がある。
・その痛みが半年以上続いている。
・頻尿や尿意切迫感がある。
原因
細菌以外のなんらかが原因で膀胱粘膜に障害が起こり、尿に含まれる刺激物質が膀胱粘膜下の間質に侵入。間質に炎症が起きるため「間質性膀胱炎」とも称されます。不調が続き、病院に行って初めて病名を知るケースが多い。
<腹圧性尿失禁>
おなかに圧がかかると尿が漏れてしまう。
主な症状
・咳やくしゃみをする瞬間に漏らす。
・重い荷物を持った瞬間に漏らす。
・スポーツで力んだ瞬間に漏らす。
原因
通常は、腹圧がかかった瞬間に骨盤底筋が収縮して尿道を閉鎖させるため、尿漏れは起こりません。ところが、骨盤底筋の力が衰えていると、尿漏れに。なお、腹圧性尿失禁のある女性の9割は妊娠出産経験者です。
<神経性頻尿>
緊張や不安が尿意に変わる社会不安障害のひとつ。
主な症状
・緊張するとトイレに行きたくなる。
・行けないかも? の不安が尿意に。
・いつでも行ける環境では普通。
原因
原因はあくまでもメンタル。精神的な緊張や不安によって起こる頻尿で、検査をしても膀胱や尿道などに原因となる病気は見つかりません。普段から緊張やストレスを感じやすい、自律神経が乱れがちなタイプは要注意。
<多飲多尿症>
水分のとりすぎによる多尿・頻尿。
主な症状
・1日に9回以上トイレに行く。
・1日の尿量が2リットル以上。
・水分を頻繁に大量に飲む。
原因
原因は水分のとりすぎ、と単純明快。のどの渇きにかかわらず、水分をたくさんとることが習慣になっている人は頻尿になりやすい。水分のとりすぎは、体を冷やすことにもなり、冷えもまた頻尿や尿漏れの要因になります。
教えてくれたのは…
女性医療クリニック LUNAグループ理事長 関口由紀先生
せきぐちゆき/横浜市立大学医学部泌尿器科で女性泌尿器外来を担当後、2005年に「横浜元町女性医療クリニック・LUNA」を開設。現在は大阪・心斎橋にも展開するグループの総帥を務める。
www.luna-clinic.jp
『美的』8月号掲載
イラスト/小迎裕美子、きくちりえ(Soffydesign) 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。