ストレス、運動不足…etc. 今話題の“ゴースト血管”になってしまう4大要因とは?
毛細血管は加齢や生活習慣の乱れによって劣化・減少してしまいます。今話題の“ゴースト血管”になってしまう原因は日常生活に潜む生活習慣にあったんです! 4大要因をチェックして早速今日から見直しましょう。ハーバード大学・ソルボンヌ大学 医学部客員教授の根来秀行先生にお話を伺いました。
交感神経>副交感神経の日常が血流低下を招く!
血流ワル子さんの日常には、忙しく働く女性にありがちな血流低下要因がいっぱい! 大きく分けると、(1)食生活の乱れ、(2)ストレス、(3)運動不足、(4)睡眠トラブルの4つが上げられます。
「血流の善し悪しを語る上で、流れる血液そのものの質を無視するわけにはいきません。血液の質をつかさどるのは毎日の食事。そもそも栄養をしっかりとれないような食事を続けていたら、血液の質も血流も悪くなって当然です。また、(1)~(4)のすべてに関わる問題が、自律神経のバランス。夜遅くまで脳や神経を使ったり、ストレスを抱えていることの多い現代人は、交感神経が優位な状態が長く続き、末梢の毛細血管が緩む時間が少なくなりがち。そのため各細胞への栄養や酸素補給が不充分になり、ひいては全身のさまざまな不調につながってしまうのです。裏を返せば、副交感神経が高くなる時間を増やすことこそ、毛細血管力及び血流UPのための重要なカギになります」(根来先生)
【食生活の乱れ】欠食、偏食、食べすぎは良質な血液を作れない
【朝】朝食をとらない
体内時計が乱れる上、血液が栄養不足に
「朝食は脳や体を覚醒させ、全身が地球に合ったリズムで動きだすようにするスイッチ役。そのため朝食を抜くと、体内リズムが乱れて自律神経のバランスもくずれ、それが血液の滞りにもつながります。また、そもそも朝何も食べないと、血流のもととなる血液自体に栄養が不足してしまうことに。血液の質が低下すると、当然血流も悪くなります」(根来先生)
【昼】ランチは単品になりがち
栄養のバランスが悪く、血液の質が下がる
「朝食と同様、昼食も血液への栄養補給のためにしっかりととることが大事。ただし、外食の単品ランチは糖質過多になりやすく、栄養バランスが偏るので要注意です。血管内に糖が過剰になると内皮細胞がダメージを受けて、毛細血管に負担がかかります。おなかがすいていても、血糖値を急激に上げるごはんやパンをいきなり食べるのはNGです」(根来先生)
【夜】遅い時間におなかいっぱい食べちゃう
体内時計やホルモンの乱れにダメージが!
「本来は副交感神経が優位であるべき時間帯、21時以降の食事は、体内時計を狂わせて、毛細血管の劣化につながります。睡眠の質を下げ、不眠や肥満の要因にも。また、食べすぎる習慣も、アディポサイトカインという悪玉ホルモンを増やして、血圧を上げたり、インスリンの働きを阻害したり…、毛細血管にダメージを与えてしまいます」(根来先生)
【ストレス】過度のストレスや緊張で、交感神経優位に。毛細血管が縮こまる
「ストレスを感じたり、緊張している時間が続くと、ストレスホルモンのコルチゾールの過剰分泌を招きます。そうすると、体内の免疫機能が低下して、血糖値が上昇。毛細血管もダメージを受けます。しかも、ストレスや緊張は交感神経を高めるため、その状態が続くことで毛細血管が収縮し、血流が悪化してしまいます」(根来先生)
【運動不足】座りっ放しの仕事や運動ゼロの習慣は、血流を滞らせる
「デスクワークで日中ほとんど体を動かさない、普段から運動をする習慣がないという人は、“第2の心臓”と呼ばれるふくらはぎを動かす機会が極端に少ないといえます。ふくらはぎは、心臓から遠い部分の血液を循環させ、かつリンパを流すポンプ役。長く動かさないと、当然、血流は低下します。しかも、運動不足は筋肉を固くするため、それによっても血行は悪くなります」(根来先生)
【睡眠トラブル】睡眠の量が少なく、質も悪いと、末梢の毛細血管が開かず、血流が悪化してしまう
睡眠中に末梢の毛細血管が開かないと、体の修復のための血液が不足
「通常、睡眠中は1日の中でも副交感神経が最も高い状態。毛細血管が緩んで、末梢の細胞に必要な栄養がたっぷり送り込まれ、ダメージの修復や再生が行われる時間帯です。ところが、夜の入浴をシャワーだけですませる、就寝直前までスマホをいじるなど、交感神経を高める行動ばかりをとっていると、脳や神経系など体の中枢に血流を奪われて、末梢の毛細血管は閉じたままに。寝ていても眠っていないような状態で、血流は低下する一方です」(根来先生)
就寝前に交感神経を高める行為はNG!
湯船につからず、シャワーですます
寝る直前までスマホを使用
ほかにも…激しい運動、明るい照明、夜更かし、etc.
教えてくれたのは…
ハーバード大学・ソルボンヌ大学医学部客員教授 根来秀行先生
ねごろひでゆき/医師、医学博士。東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士過程修了。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など。最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活躍。著書も多数で、近著に『超呼吸法』(KADOKAWA)。
『美的』12月号掲載
イラスト/小迎裕美子、 きくちりえ(Softdesign) 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。