便秘、むくみ、生理不順の原因に!? 内臓脂肪を貯める生活していない?
【内臓脂肪】『美的』世代は、体型を左右する「皮下脂肪」ばかりを気にしがちだけれど、実はたまると怖いのは、体内に悪玉物質を増やす「内臓脂肪」の方。内臓脂肪が体内に蓄積すると、便秘、冷えやむくみ、血行不良、生理不順、婦人科系疾患など、さまざまなトラブルの原因に!今からすべきことは? 予防医学に詳しい内科医の奥田昌子先生にお話を伺いました。
内臓脂肪がたまる前に、生活習慣のリセットを!
見た目ぽっちゃりの原因「皮下脂肪」とは違って、外から見えない「内臓脂肪」については、普段、意識していない人が多いのでは?
「実際、女性の体は、女性ホルモンの分泌が盛んな30代くらいまでは内臓脂肪をためにくいとされるため、健診などで注意される人は少ないでしょう。でも、内臓脂肪がたまりやすい習慣を続けていると、近い将来、ツケが回ってきますよ」と、予防医学に詳しい内科医の奥田昌子先生は警鐘を鳴らします。
「内臓脂肪がたまると、その周りの臓器を圧迫して、便秘や腰痛、むくみや冷えなどのトラブルに。また、高血圧や高血糖、乳がんなどを引き起こす悪玉物質を作り出すため、たまればたまる程、体への弊害は大きくなります。今のうちに内臓脂肪をためない生活習慣を身につけて、未来の“メタボリスク”を減らしましょう!」
内臓脂肪が蓄積すると、体内に悪玉物質が増加する!!
そもそも内臓脂肪って何?
>>内臓を覆うようにつく脂肪=内臓脂肪。おなかの深い部分なので、外からはわかりにくい
「体の脂肪は、大きく『皮下脂肪』と『内臓脂肪』に分けられます。皮下脂肪は全身の皮膚の下、浅い部分につく脂肪。内臓脂肪は腹部の深い所で内臓を覆うようにつく脂肪です。実はこのふたつ、場所だけでなく、脂肪の性質にも違いが。皮下脂肪はたまっても病気に直結しませんが、内臓脂肪は蓄積すると悪玉物質を作り出し、さまざまな疾患の引き金になり得ます。ただし、1度つくとなかなか落ちない皮下脂肪に比べ、内臓脂肪は生活改善で落ちるという良い面もあります」(奥田先生)
皮下脂肪型肥満
皮膚のすぐ下で、筋肉を取り囲むようについているのが皮下脂肪。浅い部分にあるので指でつまむことができ、その厚さでもたまり具合を推測できる。
□ 皮膚のすぐ下の浅い部分につく
□ 男性より女性につきやすい
□ いったんつくと、なかなか落ちない
内臓脂肪型肥満
腹筋よりも深い部分で、内臓と内臓の隙間を埋めるように増えていくのが内臓脂肪。外から見えないので、一見やせていてもたまっている場合が。
□ おなかの深い部分の腸間膜につく
□ 欧米人より日本人につきやすい
□ 簡単につくが、落としやすい
(写真は社団仙齢会はりま病院より)
内臓脂肪がたまる原因は?
>>食べすぎと運動不足が2大原因。さらに睡眠不足やストレスも…
内臓脂肪を顕微鏡で見ると、脂肪細胞がたくさん集まる中に、どろっとした脂肪の塊を確認できます。
「その正体は、食べた後、利用し切れずに余ってしまった脂肪。つまり、内臓脂肪がたまる大きな原因は、食べすぎ(脂肪のとりすぎ)と運動不足(脂肪の燃焼不足)のふたつです。また、睡眠不足も、食欲増進ホルモン、グレリンを増やし、食欲抑制ホルモン、レプチンを減らすため、食べすぎを促す要因に。さらに、ストレスも、内臓脂肪を増やすように働くホルモン、コルチゾールを多く分泌させます」(奥田先生)
摂取エネルギー>消費エネルギーの状態が続くと、内臓脂肪が増加
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る日が続くと、体内に脂肪が余って内臓脂肪もじわじわと増えていきます。反対に内臓脂肪を減らすには、脂肪の摂取量を減らして、運動をすること!
「内臓脂肪」について教えてくれたのは…
内科医 奥田昌子先生
おくだまさこ/医学博士。京都大学大学院医学研究科修了。健診並びに人間ドック実施機関で20万人以上の診察に当たるほか、大手化学メーカー産業医を兼務。著書も多数。近著『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』(幻冬舎)が話題。
『美的』10月号掲載
イラスト/やましたともこ 撮影/フカヤマノリユキ 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。