健康・ヘルスケア
2018.6.27

女医に訊く#19|紫外線ダメージはシミだけじゃない!注目すべきは「光老化」

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「紫外線は美肌の大敵」ということはすでに広く知られていますが、改めてその理由を聞かれるとよくわかっていないという人も多いのでは? 夏本番はもうすぐそこ。強い日差しが降り注ぐ前に、今回の美的保健室は紫外線ダメージについて、皮膚科医の高瀬聡子先生に教えていただきます!

紫外線は「UV-A」「UV-B」の2種類

太陽の光=紫外線というイメージがありますが、厳密にいうと“紫外線は太陽光に含まれる特定の波長の光”を指します。地表に届く紫外線は、主に2種類あるそう。

「紫外線 A 波(UV-A)と、紫外線 B 波(UV-B)の2種類です。紫外線 B 波は表皮に到達し、赤みやヒリヒリ感などの炎症を引き起こします。夏の日焼けの原因になるのが、この紫外線B波ですね。もう一つの紫外線A波は、肌のより深い部分である真皮層まで到達します。長期間浴び続けると、コラーゲンやエラスチンなど肌の土台を支える組織にダメージが蓄積し、シワやたるみの原因となります」(高瀬先生)

紫外線A波(UV-A)

地表に届く紫外線の約9割を占めます。真皮層まで到達し、長期浴び続けるとシワやたるみの原因に。年間を通して降り注ぎ、雲や窓ガラスを通過して室内にも侵入します。

紫外線B波(UV-B)

表皮層まで到達し、大量に浴びると赤みがヒリヒリ感など炎症を起こします。日焼けやシミ・そばかすの原因となる紫外線です。一年のうち4~8月に照射量のピークを迎え、カーテンなどである程度はカットできます。

シミだけじゃない!?紫外線(特にUV-A)は「あらゆる肌老化の原因」

紫外線が原因の肌悩みとして、すぐに思い浮かぶのは「シミ」なのでは? 前述の通り、実際に紫外線はシワやたるみなど、あらゆるエイジングサインの引き金になります。

「特に紫外線 A 波は肌深部まで到達し、肌の奥でハリ感を支えるコラーゲンなどにダメージを与えます。皮膚科学の分野では有名な症例として、長年自動車の運転手をしていた男性の顔写真があります。それは、顔の半分だけシワがくっきりと刻まれ、皮膚もごわついているもの。これは長期にわたって自動車の窓側から紫外線を浴び続けた結果です。近年はこのような紫外線によるエイジングを“光老化”と呼んでいます」(高瀬先生)

シワやたるみなど真皮のダメージはUV-Aが原因です。UV-Aがやっかいなのは、雲だけでなく窓をも透過して降り注ぐこと。しかも1年中続くため、曇りの日はもちろんのこと、室内にいても油断はできません。

疲れや免疫低下など「紫外線による体調不良」にも注意

海辺でバカンスを楽しんだり、屋外でバーベキューをしたり、1日中太陽のもとで過ごした日の夜は、体がぐったりしたことはありませんか? これは肉体的な疲労だけでなく、紫外線の影響もあるそうです。

「目に紫外線を浴びると、脳の視床下部からTGF-βやIFN-γという物質が分泌されて、疲労感を感じやすくなります。また紫外線を浴びると体内で活性酸素が大量に発生するため、本来は細胞のメンテナンスに使う抗酸化物質を消費してしまうんですね。その結果、新陳代謝が低下したり、免疫力の低下に繋がることも。紫外線を大量に浴び続けると、感染症にかかりやすくなったり、ヘルペスの発生につながる可能性があります」(高瀬先生)

さらに、紫外線は皮膚がんや白内障の発生にも関与しています。赤道直下など紫外線照射量が多い地域に住んでいる人ほど、上記疾患の発生率が高いという報告も。無防備に太陽の光を浴び続けるのは、注意が必要ですね。

赤ちゃんの成長やうつ防止のためには「太陽を浴びたほうがいい」?

太陽を浴びると、体内でカルシウムの吸収を促すビタミンD の合成が促されます。ひと昔前の母子手帳には、赤ちゃんには適度に太陽に当てるようにと日光浴が推奨されていました。

「現在は紫外線のダメージが立証され、母子手帳から日光浴の項目が削除されています。そもそもビタミン D の合成には、手のひらに20分間紫外線を浴びれば良いといわれています。長時間、無防備に紫外線を浴び続けるリスクのほうが、注意が必要といえるでしょう」(高瀬先生)

もう一つ、太陽を浴びることで、幸福ホルモンと呼ばれる“セロトニン”の分泌を促すという説もあります。昼間に太陽を浴びると体内のセロトニン分泌量が増え、そのセロトニンが夜になって“メラトニン”に変わり、良質な睡眠を促すという説です。

「明るい光がセロトニンの分泌量に関与しているのは本当です。人間は本来、太陽のリズムにそって生活するように、体内時計やホルモンのバランスによってコントロールされています。朝起きて太陽の光を浴びると活動のスイッチが入り、心身のリズムが整いやすくなる面はあるでしょう。その一方で、“紫外線の肌ダメージ”はまた別の問題です。太陽を浴びることは悪いことではありませんが、その際は日焼け止めをしっかり塗って、ダメージを予防していただきたいですね」(高瀬先生)

紫外線以外も要注意?「ブルーライト」も老化の原因?

買い物や情報収集、そして何よりSNSなどのコミュニケーションツールとして、現代の生活に不可欠な存在となったスマートフォン。実は最近スマホやパソコンなどが発するブルーライトが、メラニン生成に関与しているという説がありますが……。

「近年の学会で、ブルーライトによって、肌のサーカディアンリズムが影響を受けるという報告がありました。このブルーライトに加え、スマホのモニターが放つ“光”を直接見つめると、交感神経が優位になりやすい。特に就寝前は、体が覚醒して入眠を邪魔する可能性があるんですね。睡眠の質が低下すると細胞の修復や成長ホルモンの分泌に影響しますから、そういう意味でスマホの光は、肌老化や体調不良に関係しているかもしれません」(高瀬先生)

できることなら、寝室にスマホは持ち込まないのがベター。特に照明を消した暗闇の中で直接モニターを見つめるのは避けたほうがよいそうです。

太陽の光を浴びると開放的な気分になりますが、紫外線を無防備に浴びるのはキケンですね。次回は“光老化”を防ぐ最も効果的な方法、“UVケア”についてお届けします。

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皮膚科医
高瀬聡子先生
ウォブクリニック中目黒 総院長。1995年慈恵会医科大学卒業後、翌年より慈恵会医科大学付属病院皮膚科に入局。2007年ウォブクリニック中目黒を開業。ドクターズコスメ『アンプルール』の開発・プロデュースも。
■ウォブクリニック中目黒 https://wove.jp/

文/宇野ナミコ 撮影/田中麻以(小学館)

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