がんになるまで無症状…「子宮頸がん」ってどうしてなるの? メカニズムを専門家が解説
20~30代の『美的』世代にも子宮頸がんが増加傾向…。子宮頸がんのメカニズムを知って、今からできる予防や対策を視野に入れて!
クレアージュ東京 レディースドック クリニック 婦人科顧問
大島乃里子先生
おおしまのりこ/医学博士。東京医科歯科大学周産・女性診療科講師。婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、女性の生涯におけるヘルスケアを担う。日本産科婦人科学会・日本婦人科腫瘍学会専門医。
【子宮頚がんのメカニズム】子宮頸がんは 性交渉 で HPVに感染 してできるがん
がんになるまで無症状なので、水面下で進行しやすい!
「子宮頸がんの原因の9割以上は 性交渉によるHPVの感染 。つまり一度でも性交渉の経験があるすべての女性に子宮頸がんのリスクがあるということです。ただし、感染しても 90%の人は自身の免疫の力でウイルスを排除 します。一方で、 10%は感染が持続 して、その一部は自然治癒できないまま 『異形成』と呼ばれる前がん病変 に進行します。日本では、異形成が軽度~中等度なら自然治癒を見込んで経過観察するケースが多く、 高度異形成からは治療が必要 とされています。それでも前がん病変では自覚症状がほとんどないため、検診を受けない限り、気づかずに放置しがち。そうなると、異常細胞が基底膜を越えて皮下組織まで浸潤し、 子宮頸がん になってしまいます」(宮城先生)
HPVの中でも20~30代が多く感染するのは高リスク型の16型・18型
HPV感染から子宮頸がんになるまでの期間は数年~数十年と幅広いものの、16型・18型は比較的進行が早いのが特徴。20~30代で発見される子宮頸がんの原因は大半がこのふたつの型。
核の大きい異常細胞が密集
浸潤がんになると、病変が子宮頸部に留まらず広がっていくため、子宮ごと、あるいはその子宮周辺組織まで広範囲に摘出する手術を行う場合が多い。
※資料/日本産婦人科医会研修ノートNo.90より
高度異形成・上皮内がん治療の選択肢のひとつ、「円錐切除術」で懸念される後遺症は…
早産のリスク
「病変周辺を円錐状に切除する『円錐切除術』は、子宮は残せるものの早産のリスクが高くなったり、月経血が出にくくなるなどの症状が現れることがあります」(宮城先生)
「広汎子宮全摘出術※」では、足のむくみや排尿障害などが残ることも。
※子宮、卵管、卵巣、膣の一部や子宮周辺の組織のほか、骨盤内のリンパ節も含む広い範囲で切除する手術。
『美的』読者のリアルボイス
「現在妊娠中で、助産院での出産を希望していましたが、手術歴があるのと高齢出産を理由に許可が下りませんでした。早産のリスクや子宮頸部が固くなっている可能性など、7年前の手術が今でも影響するとは」(PR・39歳)
『美的』2023年12月号掲載
イラスト/ito aya 構成/つつみゆかり、長島理子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
みやぎえつこ/医学博士。’13年、日本産科婦人科学会特任理事に就任。婦人科腫瘍の集学的治療、子宮頸がん予防の研究などに携わる。婦人科腫瘍専門医.細胞診専門医。