短時間で体が温まるエクササイズとは?背骨が歪むと体が冷える!?【女医に訊く#219】
「冷えを改善するには運動も大切」なのは、わかっていてもなかなか続かないもの。体を効果的に温めるには、いつ・どんな運動をすればいいのでしょう?医学博士で内科専門医の伊東エミナ先生に、冷えを防ぐ入浴法と運動法、そして冷えの原因になる背骨の歪みについて教えていただきました。
40℃前後の湯船に15〜20分浸かりましょう
冷えを取るには、太ももや腰など、大きな筋肉があるところを温めるのが重要。夜はしっかり湯船に浸かって、下半身を温めましょう。
「ただし、熱いお湯は交感神経を刺激し過ぎるため、かえって逆効果。体温が36℃ある人は40℃くらいがベストです」と話すのは、伊東エミナ先生。
伊東先生によると、42℃の湯船は「さあ、これから仕事をやるぞ!」というようなシーンにはいいですが、冷え性を改善したいという場合は、40℃前後の湯船に合計15〜20分ぐらい浸かるのがいいそう。
「できれば、お湯に浸かりながら、深くゆったりした呼吸をしてあげるといいですよね。アロマを垂らすなどリラックスして、うれしいことや楽しいことイメージしながら、深呼吸してみましょう」(以下「」内、伊東先生)
入浴後は水分補給も忘れずに!長湯になりがちな人は、入浴前に水分と塩分を摂るようにしましょう。
短時間で体が温まるエクササイズとは?
冷え性を改善するためには、もちろん運動も大切です。短時間で効果の出るエクササイズを伊東先生に教えていただきました。
「冷えを防いで一日を元気に過ごすために、毎朝、出かける前にスクワットをしましょう。椅子の背もたれやシンクに掴まってもOK!最初は10回から始めて、慣れてきたら20〜30回行います」
電車で脚を開いて座っている女性をときどき見かけますが、あれはインナーマッスルが緩んでいる証拠。スクワットは太ももだけでなく、腸腰筋など大きな体幹筋を使うため、体も温まりますし、インナーマッスルも鍛えられるから、キレイ女子をめざす方にはおすすめです。
ほかにも、手軽にできて、すぐに体が温まる運動を教えていただきました!
【手ブラブラ運動】
①腕を前に伸ばして肩の力を抜く
②手を洗った後、水滴を振り落とすように手首を20〜30回ブラブラ振る
③両腕の力を抜いて下ろす
「ポイントは肩の力を抜くこと。この運動をすると、すぐに指先がビンビン痺れるような感じがして温まります。夜冷えるわという人は寝る前にやってもらってもいいですし、いつでもどこでもできるのがいいですね」
【足ポーン運動】
①片足の腿を上げて膝を曲げる
②そのままボールを蹴るようにポーンと前に伸ばす
③片足ずつ交互に10回行なう
「膝から下を投げ出すようなイメージ。座ったままでもいいですし、慣れたら立ってやってみましょう。太ももとふくらはぎの筋肉を使いますし、片足立ちをするのでインナーマッスルも鍛えられますよ」
背骨が歪むと体が冷える!?
靴下を何枚もはいたり、体が温まるものを食べたりしても、冷えが取れずに困ったことはありませんか?ひょっとすると、その冷えには背骨の歪みが影響しているかもしれません。
背骨は24個の骨が連なってできており、上から頚椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)に分類されます。背骨の中には脊髄が通っていて、脳からの指令を手足へ伝える大事な役割も果たしています。
「自律神経の乱れが冷えにつながるというお話をしましたが、実は、自律神経は背骨の中を通っており、腕を動かしたりする運動神経と一緒に、背骨と背骨の間から出ています」と伊東先生。
そのため、ちょっと背骨が歪んだり、スマホ首といわれるストレートネックになったりしてしまうと、自律神経が骨に圧迫されてバランスが乱れてしまい、血流が悪くなって冷えやすくなってしまうのです。
背骨の歪みを正すには?
背骨の歪みはX線検査やMRI検査を行えば、どこがどれだけ圧迫されているのかがわかります。ただし、背骨の歪みの治療は簡単ではないと伊東先生は言います。
「背骨の歪みは運動や指圧、マッサージだけでは治りません。歪んでいる骨の問題を治さないと、真っ直ぐにならないのです。骨盤や腰の歪みは整骨院へ行けば、ある程度治してくれる先生がいると思いますが、自律神経に直結している頚椎の歪みを治すのは簡単ではありません。もし深刻に悩んでいる場合は、評判のいい先生のもとで治療に専念するのをおすすめします」
冷えを取るために、一生懸命運動をしている人も注意が必要です。
「背骨が歪んだまま運動をすると、そのままの筋肉が強化されて、神経の圧迫も骨の歪みも余計に強化されてしまいます。すると、自律神経のバランスがさらに乱れやすくなったり、腕や脚が痺れやすくなったりしてしまうリスクが高まります」
服装や食生活を改善したり、湯船に浸かったり、運動をしたりしても冷え性が一向に改善しない……という人は、一度、背骨の歪みをチェックしてみて。歪んでいる場合は、きちんと治してから運動するようにしましょう。
文/清瀧流美
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
エミーナジョイクリニック銀座院長。日本内科学会認定総合内科専門医。日本医師会認定健康スポーツドクター。日本医師会認定産業医。日本温泉気候物理医学会認定温泉療法医。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学内分泌内科勤務。2002年、米国ヴァージニア大学留学。2004年に帰国後、2007年、富士河口湖に 統合自然医療センター「富士エミーナクリニック」開設。2010年、東京・銀座に「エミーナジョイクリニック銀座」を開設 (河口湖は同年閉設)。個人差に即応した根本治療と予防により、生涯を通じてのライフパートナー・クリニックとして、役割を果たすことを目指している。著書に『根本治療で「本当の健康」を手に入れる本』(カナリアコミュニケーションズ)がある。