健康・ヘルスケア
2022.9.21

老眼が矯正できるIPCLってどういう治療法?レーシックはどう違うの?【女医に訊く#213】

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前回、老眼を放っておくと老眼が進んでしまうというお話をしました。では、老眼の矯正方法にはどのようなものがあるのでしょうか? 最新の老眼矯正について、眼科専門医の近藤美鈴先生に教えていただきました。

老眼の矯正方法にはどういうものがある?

老眼の主な矯正方法には、いわゆる「老眼鏡」と呼ばれる近用メガネがあります。では、もともと近視の人はどのように矯正したらよいのでしょう?

「近視の方の場合、今使っているメガネやコンタクトレンズの度数を少し下げると、手元が見やすくなります。ただし、近視の度数を下げると遠方は見えにくくなります。遠方も近方もしっかり見たい場合はコンタクトレンズの上から近用眼鏡を装用するか、遠近両用の眼鏡やコンタクトをすすめたりすることもあります」と話すのは、眼科専門医の近藤美鈴先生。

遠近両用メガネとは、1本で2つの見え方ができるメガネのこと。基本的にレンズの上部分では遠くがよく見え、下部分に行くほど近くがよく見える仕組みです。この遠近両用タイプはコンタクトレンズにもあり、1枚のレンズに遠くから近くまでの度数が分布されていることから、遠くから近くまで眼鏡なしで見ることができます。

ICL/IPCLってどういう治療法?

老眼が進行するのは嫌だけど、老眼鏡をかけるのは抵抗があるという方も多いのではないでしょうか? そんな方に注目されている最新の治療法が、ICLImplantable Collamer Lens)という眼内コンタクトレンズ手術です。

ICLとは眼の中に小さなレンズを埋め込んで、近視・遠視・乱視を矯正するインプラント治療。コンタクトのような日々のメンテナンスもなく、朝起きた瞬間から快適に過ごせるうえ、外からは見えないので見た目の影響もありません。

「ただ、今使われているICLのレンズは、近視や遠視、乱視矯正がメインで、老眼用というものがないため、手元を見るには老眼鏡が必要でした。そこで最近出てきたのが、IPCLImplantable Phakic Contact Lens)という眼内コンタクトレンズです」(近藤先生)

IPCLはEyeOL社から2014年に発売開始された新しい後房型の有水晶体眼内レンズ。全世界40か国以上で10万件以上の実績があり、日本では2015年より使用実績があります。IPCLには老眼用として多焦点眼内コンタクトレンズがあり、近視や遠視、乱視の改善はもちろん、老眼も矯正できるようになったのです。

ICL/IPCLとレーシックはどう違う?

では、ICL/IPCLとレーシックはどう違うのでしょう? レーシックは眼の表面にある角膜をレーザーで削り、角膜の形状を変えることによって近視・遠視・乱視を矯正する屈折矯正手術。ICLやIPCLに比べ近視の軽い方に向いており、比較的リーズナブルですが、一度削ってしまったら角膜を元に戻せない、近視が少し戻ることがあるというデメリットがあります。

「また、レーシックは基本的に近視・乱視の矯正で、老眼の治療はできません。そのため術後は近用眼鏡を装用するか、例えば片目は遠くをしっかり矯正して、もう片目を若干手元が見えるように近視を残すなど、左右差をつけることで近くを見せるという対応をすることもありました」(近藤先生)

一方、ICL/IPCLは眼の表面である角膜に非常に小さな切開創を作成し、そこから眼内コンタクトレンズを挿入する手術。レーシック手術のように角膜を削らないので、何かあればレンズを取り外して元に戻せるという特徴があります。眼科医の中でもICLの認定を受けた術者しか手術することはできません。

「視力の長期安定性に優れていて、レーシックのように近視が戻ることがないのもICL/IPCLのメリットですね。それに加えて老眼年齢の方には遠近両用のIPCLという新たな選択肢も登場し注目されています」(近藤先生)

ICL/IPCLが向かない人とは?

ICL/IPCL手術を希望する場合、事前に詳しい検査を行い、目の形状や近視、遠視、乱視の度数、目の状態などを総合的に評価して治療が可能かを専門の医師が診断をします。

「目の構造上、レンズを入れるスペースが狭い方、物理的に入れられない方も稀にいます。また、老眼の治療ができるのは、白内障などの病気がない40代以降の方になります。白内障は加齢に伴い誰しもがなりますから、白内障手術が必要になったときには一度眼内コンタクトレンズを外して、また新たに白内障用の眼内レンズを入れることになります」(近藤先生)

実は、近藤先生も12年前にICL手術を受けたとのこと。次回は、経験者の近藤先生に実際の見え方や手術の様子についてうかがいます!

眼科専門医

近藤美鈴先生

先進会眼科大阪副院長。日本眼科学会認定眼科専門医。フェムトセカンドレーザー LenSx認定医。角膜内リング(ICRS)認定医。フェムトセカンドレーザー iFS認定医。フェムトセカンドレーザー IntraleseFS60認定医。エキシマレーザー Visx認定医。眼瞼けいれんボツリヌス療法認定医。Laser Vitreolysis インフォームドドクター。高知医科大学卒業後、同大学付属病院、渭南病院、早明浦病院、高知県立安芸病院を経て、2010年岡眼科クリニック入職。白内障、緑内障、網膜疾患、小児眼科、円錐角膜、屈折矯正など、多岐にわたって診療を行っている。

文/清瀧流美

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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