膀胱炎ってどんな病気?おしっこを我慢すると膀胱炎になる?【女医に訊く#207】
トイレに頻繁に行きたくなる、排尿時に痛みを感じる、赤い尿が出るなどの症状に悩んだことはありませんか? それらの症状が続くようなら、膀胱炎かもしれません。泌尿器科専門医の藤﨑章子先生に、膀胱炎について教えていただきました。
膀胱炎ってどんな病気?
膀胱炎とは、膀胱内の尿で菌が繁殖してしまい、炎症が起きる病気。頻尿や残尿感のほか、排尿痛などの症状があり、炎症がひどいときには血尿も出ます。
「膀胱炎は、お腹に違和感を感じたり、尿を出すときに痛みを感じたりして気づく方が多いですね」と話すのは、泌尿器科専門医の藤﨑章子先生。
「おかしいなと思ったら、近くに泌尿器科がなければ、まずはかかりつけの内科医や婦人科医に相談してみてもいいですね。それでもスッキリしないときや血尿が出た場合は、泌尿器科を受診してください」(藤﨑先生)
おしっこを我慢すると膀胱炎になる?
幼い頃、おしっこを我慢していると「膀胱炎になるよ!」と注意されたことはありませんか? 実はこれ、まったくの迷信。排尿を我慢することで膀胱炎になることは、まずありません。
「膀胱炎の原因のほとんどは、細菌感染です。風邪と同じように、旅行で疲れたときなど免疫力が下がった状態で細菌が膀胱に侵入すると、膀胱炎を引き起こしやすくなるといわれています」(藤﨑先生)
膀胱炎は、年齢に関係なく起こり得る病気であり、女性の約6割が罹患するといわれています。なぜ、女性は膀胱炎になりやすいのでしょう?
「女性は尿道が約4cmと短く、男性と比べて出口は腟や肛門に近いため、性交時などに肛門周辺の菌が膀胱に入りやすい状態になっています。そのため女性でも特に、性交頻度が高い20代〜30代や免疫力が落ちる60代以上の高齢者は膀胱炎になりやすいのです」(藤﨑先生)
間質性膀胱炎とは?
「一般的な膀胱炎は、薬をしっかり飲めば治りますし、少し症状が出ていても、水をがぶがぶ飲んで痛み止めを飲んでいたら自然に治るという人もいます」と藤﨑先生。
ただし、尿検査で異常がないと言われたのにスッキリしない場合は、間質性膀胱炎や腟炎の可能性があります。
「間質性膀胱炎とは、菌が関係しない膀胱炎。検査をしても菌が検出されないため、なかには原因がわからず大きな問題なしと、そのまま帰されて苦しんでしまう人もいます」(藤﨑先生)
間質性膀胱炎の症状は、膀胱痛と頻尿ですが、改善と悪化をくり返し、膀胱が萎縮することもあります。気になる方は、泌尿器科医師に相談してみましょう。
膀胱炎を予防するには?
膀胱炎を防ぐには、まずは菌の侵入を防ぐことが大切です。
「性行為のあとは尿道に菌が入っている可能性もありますから、行為のあとにトイレに行きましょう」(藤﨑先生)
とはいえ、膀胱炎を繰り返すからという理由で、陰部を洗い過ぎるのも注意が必要です。
「洗うことがきっかけで菌が入ってしまう可能性があります。例えば、ビデは腟の月経血の汚れなどに使うためのものであって、本来、尿道を洗うものではありません。ビデの水はそんなにきれいなものではありませんから、シャワートイレでガシガシ洗うのもやめてほしいですね」
感染を防ぐには、免疫力を下げないことも大切といわれています。なかなか難しいかもしれませんが、仕事や育児などで疲れたら、ストレスは溜め過ぎず、無理はしないでしっかり休むように心がけましょう。
文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医学博士。日本泌尿器科学会専門医。日本性機能学会専門医。日本排尿機能学会排尿機能専門医。日本東洋医学会漢方専門医。福島県立医科大学卒業後、虎の門病院、聖路加国際病院、長野市民病院を経て、2013年、四谷メディカルキューブ女性泌尿器科入職。泌尿器科の悩みを持つ女性がより豊かな生活を送れるように支援している。