めまいってどんな状態? めまいにはどんなタイプがあるの?【女医に訊く#203】
寝返りを打ったときに景色がグルグル回ったり、急に立ち上がった瞬間に目の前が真っ暗になったりしたことはありませんか? ある日突然、何の前触れもなく起こる「めまい」について、耳鼻咽喉科専門医の岩崎朱見先生に教えていただきました。
めまいってどんな状態?
めまいとは、景色がグルグル回る、体がふらつく、頭がクラクラする、意識を失いそうになるなどの感覚がある症状のこと。めまいの症状には個人差があり、原因も人によって大きく異なります。
「わたしたちは耳と身体の中心と目から入ってきた感覚を、脳で受け取って整理し、自分の姿勢や動作のバランスを保っています」と話すのは、耳鼻咽喉科専門医の岩崎朱見先生。
「この耳・身体の中心・目のうち、どれかが具合が悪くなると、実際に起きていることと脳が感じていることにズレが生じてしまいます。これがめまいなのです」(岩崎先生)
めまいにはどんなタイプがあるの?
めまいには大きく分けて3つのタイプがあります。自分が経験しためまいがどれに当たるか、チェックしてみましょう。
(1)グルグルと目が回る「回転性のめまい」
自分や周囲の景色がぐるぐる回っているように感じるめまいの場合、脳梗塞や脳出血など脳から生じることもありますが、多くの場合は耳から生じます。
「グルグルと目が回るめまいを想像するとしたら、昔遊園地にあったびっくりハウスのような感じ。目をつぶっていても、回っているのがはっきりわかるんです。どこが正面かもわからなくなりますから、このめまいが起きたら、まずはしゃがんでください」(岩崎先生)
(2)フワフワとふらつく「浮動性のめまい」
足が地についていない感じがする非回転性のめまい。身体がフワフワと漂っているように感じたり、フラフラと揺れたり、まっすぐに歩くことができなかったりします。
「フワフワとふらつくめまいは、耳から生じることも、脳から生じることもあるほか、貧血や睡眠不足、自律神経失調症などから起こることもあります」(岩崎先生)
(3)クラッっとする「立ちくらみを伴うめまい」
急に立ち上がったり起き上がったりしたときに、目の前が暗くなって気が遠くなる感じがしたり、あるいは実際に気を失ってしまったりするめまい。起立性低血圧や起立性調節障害ともよばれています。
「いわゆる朝礼で倒れる人ですね。立ちくらみは脳の血流が一時的に不足するために起こることから、もともと低血圧気味の人がなりやすいのですが、血圧が正常な人でも、寝不足などで横になっている(頭と心臓が同じ位置にある)ときと立ち上がった(頭が心臓より高くなった)ときの調節が効かない場合は、立ちくらみが起こることもあります」(岩崎先生)
めまいと同時にどんな症状があったかもチェック!
「めまいの症状で受診した場合、上記のタイプに加え、歩けるか、頭は痛いか痛くないか、吐き気はするか、朝に起こるのか、夕方に起こるのか、頭を動かさなくても起こるのか、頭を動かすときに起こるのかなど、どんな症状があったかをうかがいます」と岩崎先生。
例えば、グルグルと目が回るめまいと同時に、ものが二重に見える、ろれつが回らない、麻痺やしびれがあるなどの症状があった場合は、脳梗塞や脳出血の危険性があり、命に関わることも。緊急の対応が必要になります。
「めまいと同時に金槌で殴られたぐらい頭が痛い場合は、脳から生じている可能性もありますが、血流が悪くて頭が痛くなる人もいますし、美的世代には片頭痛関連めまい(前庭片頭痛)の人も多くいます。心配な方は医療機関を受診して問題がないか確かめておくといいでしょう」(岩崎先生)
自分のめまいのタイプについて知っておくと、病気の予防や性格な診断に役立ちます。めまいが起こったときは、発作のタイプに加え、どんな症状があったか覚えておくようにしましょう。
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ(本誌)
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人形町耳鼻咽喉科めまいクリニック院長。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医。めまい平衡学会認定めまい相談医。日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医。厚生労働省認定補聴器適合判定医。身体障害者福祉法第15条指定医。耳鼻咽喉科難病指定医。東京医科歯科大学医学部卒業後、同大学医学部付属病院耳鼻咽喉科、中野総合病院、JCHO東京高輪病院、東京医科歯科大学、都立駒込病院などを経て現職に。地域の方の役に立てるようなクリニックであると同時に、めまいで悩む方の役に立てる診療を目指している。