健康・ヘルスケア
2022.5.24

【自律神経を学ぶ4】脳と腸は密接な関係。腸内環境が整えば自律神経も整う!

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自分の意思とは関係なく、全身の器官の働きを自動的に調節している自律神経。胃腸の消化活動も然りで、食事と自律神経には密接な関係があります。「食事をすると副交感神経が優位になって消化活動が促され、逆に交感神経が優位な状態だと消化活動は抑制されます。食事のとり方、内容、量などに、自律神経は大きく左右されるのです」と、せたがや内科・神経内科クリニック院長・久手堅司先生。では、自律神経を整えるために有効な食事とは? 久手堅先生に解説していただきました。

食べ方は、規則正しいタイミングで、よく噛んで、腹八分目の量を!

⬜︎ 毎日決まった時間に食べる

食事を毎日同じタイミングでとることは、体内時計のリズムを整えることにつながります。もちろん3食規則正しくが理想ですが、中には2食の方が調子がいいという人もいるため、自分に合うパターンでの規則正しくを心がけましょう。

⬜︎ よく噛んで、ゆっくり食べる

ゆっくりとよく噛んで食べることで副交感神経が優位になって、消化活動が促されます。また、よく噛むことで唾液腺が刺激され、唾液がたくさん分泌されるのもポイント。唾液には、消化酵素や免疫物質が含まれるため、消化吸収がスムースになります。ひと口20回以上は噛む習慣をつけましょう。

⬜︎ おなかいっぱいになるまで食べない

満腹になるほど大量に食べると、血糖値の急上昇や急降下を招き、自律神経に負担がかかります。食後に睡魔が襲い、集中力を欠くだけでなく、体がだるい、イライラする、消化不良を起こすなどの不調につながることも。よく噛まずに急いで食べると、脳が満腹を感じるまでにタイムラグがあって、つい食べ過ぎてしまいます。量よりも質を重視して、ひと口ひと口ゆっくりと味わいながら食べるようにしましょう。

食べる物は、「腸活」「栄養バランス」「セロトニン」がキーワード

⬜︎ 発酵食品や食物繊維を毎日食べて、腸内環境を整える

脳と腸は、自律神経、免疫系、内分泌系を介して連携し合い、体の機能を維持しています。その関係は「脳腸相関」と呼ばれ、双方のコンディションがお互いに影響を及ぼします。脳と腸を介している自律神経においても同様です。例えば、脳が極度に緊張を感じると、自律神経が乱れ、それが腸にも伝わって、腹痛が起きたり、下痢をしたり…。精神的ストレスがたまると便秘がちになるのも脳腸相関のなせるワザです。これは逆に、腸内環境を整えれば、脳にも自律神経にも良い影響を与えることになります。

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腸内には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった腸内細菌が大量に生息しています。整った腸内環境とは、この腸内細菌のバランスが善玉菌優位の状態です。善玉菌を活性化し、優勢状態にするには、発酵食品をとるのがおすすめ。発酵食品とは、ビフィズス菌や乳酸菌など、腸内に良い影響を及ぼす菌の力を借りて発酵熟成を行なった食品です。代表的なのは、ヨーグルト、チーズ、みそ、ぬか漬け、納豆、キムチ、塩こうじ、甘酒など。毎食1品でも、なにかしら発酵食品をとることが腸活に。そのとき、食物繊維を一緒にとるとさらに◎。食物繊維は善玉菌のエサになる上、自律神経を乱す血糖値の急上昇を抑える働きがあります。

⬜︎ ビタミンやミネラルが不足しないよう、栄養バランスの良い食事を心がける

栄養をバランス良くとれている体であれば、ちょっとした自律神経の乱れにも立ち向かうことができます。特に、ビタミンやミネラルには、たんぱく質や脂質、糖質が体内で活躍できるように手助けるする働きがあるため、過不足なくとることが重要です。自律神経の調整に効果的なビタミンは、ビタミンA・C・E・B群(B1・B12。日本人が不足しがちなミネラルは、カルシウム、鉄、亜鉛ビタミンミネラルは体内ではほとんど合成できないので、食べ物で積極的にとることが必要です。

【ビタミン・ミネラルを多く含む食べ物】

ビタミンAレバー、バター、うなぎ、チーズなど

ビタミンC赤・黄ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツなど

ビタミンEナッツ類、青魚など

ビタミンB群豚肉、レバー、魚類、豆類など

カルシウム小魚、海藻類、小松菜など

あさり、レバー、赤身肉など

亜鉛牡蠣、レバー、小麦胚芽、卵など

⬜︎ 「セロトニン」を増やす食事で、自律神経の切り替えをサポート

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定に欠かせない脳内の神経伝達物質のひとつです。自律神経のコントロールにおいても重要な役割を担います。朝起きて、交感神経のスイッチを入れ、脳や体を休息モードから動モードに切り替えるのがセロトニン。セロトニンの分泌が少ないと、目覚めがすっきりしないばかりか、自律神経失調症やうつ病などの起因にもなります。また、セロトニンは、睡眠ホルモン「メラトニン」の原料でもあるため、睡眠の質にも関係するのです。

セロトニンの分泌を増やすには、その原料となる必須アミノ酸のトリプトファンが必要です。トリプトファンは体内では合成できないため、食べ物で定期的にとるしかありません。しかもトリプトファンは、炭水化物ビタミンB6と一緒にとることで合成が促されます。

【トリプトファンの多い食べ物】

バナナ、チーズ、大豆製品、卵、みそ、イワシ、ヨーグルト、牛乳、ナッツ類、ごまなど

【炭水化物の多い食べ物】

玄米、そば、さといも、じゃがいも、さつまいも、バナナなど

【ビタミンB6の多い食べ物】

納豆、鶏ささみ、鮭、にんにく、抹茶、バナナなど

バナナは、セロトニンの合成に必要なトリプトファン、炭水化物、ビタミンB6をすべて含むため、手軽にセロトニンの分泌を促進できます。また、上記の食材を数種類食べ合わせることでも、効率的にセロトニンを増やせます。


\お話を伺ったのは/

せたがや内科・神経内科クリニック院長
久手堅 司 先生%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2022-05-02-11-48-31

くでけん・つかさ/医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。1996年北九州大学法学部法律学科卒業、2003年東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学医療センター大森病院などで臨床経験を経て2013年に開業。「自律神経失調症外来」「肩こり・首こり外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、多くの患者のニーズに応えている。著書に『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『毎日がラクになる! 自律神経が整う本』(宝島社)など。

イラスト/リバー・リー(Softdesign) 構成/つつみゆかり

 

 

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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