なかなか消えない! ニキビ跡をきれいにする方法とは?【女医に訊く#196】
ニキビの炎症が落ち着いたあとに残ってしまう赤みやシミ、凹凸に悩んではいませんか? ニキビ跡はどうやったら消えるのでしょうか? ニキビ跡のケアについて、形成外科専門医の西嶌順子先生にうかがいました。
ニキビ跡に治療方法はある?
前回、お話したとおり、大人のニキビはUゾーンと呼ばれる顎や口周りなど、乾燥しやすいフェースラインにできやすいのが特徴。多くの場合、なかなか治らず、くり返してしまいます。
ニキビによってひどい炎症が起こったり、同じ場所で何度も炎症がくり返されたり、ニキビを自分で潰してしまったりすると、肌の奥までダメージが与えられ、ニキビ跡として残ってしまうことがあります。
「ニキビ跡はもう治らないと思っている人もいると思いますが、さまざまな治療法がありますから、諦めずに皮膚科や美容クリニックに相談することをおすすめします。なお、治療法によって効果はもちろん、必要な回数や費用、痛みの有無、ダウンタイムも異なります。ニキビ跡は治療期間が長くなることもありますから、疑問や不安なことをしっかりと相談できるクリニックを探しましょう」と話すのは、形成外科専門医の西嶌順子先生。
ニキビ跡にはいくつかの種類があります。それぞれの特徴や治療法についてご紹介します。
「ニキビ跡の赤み」のケア方法は?
ニキビでは毛穴に炎症が起きますが、炎症の程度が強かったり、炎症がくり返し続いたりした場合には、毛細血管が増えてしまい、皮膚の下にある血管が赤く見えるようになります。実はこれが赤みの原因。ニキビ跡の赤みは、ニキビ跡で最も多くみられるともいわれています。
「ニキビ跡の赤みは目立つことから気にする人も多いですが、基本的には自然に消えていきます。個人差はありますが、ニキビの治癒から1か月ほどで赤みが落ち着き始め、早ければ2~3か月で目立たなくなります」と西嶌先生。
ただし、炎症が強い場合や、同じ場所で何度も炎症がくり返されている場合には、長期間赤みが続いてしまったり、色素沈着のシミになったりすることもあります。
ニキビ跡の赤みを消したいときには、拡張した毛細血管を閉塞させる「色素レーザー」を使った治療や、炎症を抑え肌のターンオーバーを促進させる「LED治療」、ビタミンC・E誘導体やトラネキサム酸を肌に浸透させ赤みを鎮静させる「イオン導入」などがおすすめです。
「色素沈着による茶色いシミ」のケア方法は?
炎症を伴う悪化したニキビが治癒したあと、色素沈着による茶色いシミが発生することがあります。
「色素沈着は炎症発生時にメラニン色素が産生されることで起こります。健康な肌であれば、多少のメラニンが産生されてもターンオーバーによって徐々に排出され、早ければ3か月くらいで元の肌に戻っていきますが、炎症が悪化して肌の奥にある真皮までもダメージを受けた場合には、メラニン色素の色が残ってしまうのです」(西嶌先生)
色素沈着は時間の経過で少しずつ改善していきます。肌のターンオーバーが正常であれば、メラニンは徐々に排出されていきますから、まずは肌のバリア機能を回復させ、ターンオーバー周期を整えることが大切です。
「紫外線や摩擦、触るなど、刺激となるようなことは極力控えましょう。ビタミンCの摂取、イオン導入やエレクトロポレーションでのビタミンCの浸透、ハイドロキノンという成分を含んだクリームの使用も早く回復させるのに効果があります。サリチル酸などのケミカルピーリングは、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促し古い角質が除去されるので、ニキビ予防にもなりますよ」(西嶌先生)
「クレータータイプのニキビ跡」のケア方法は?
炎症が繰り返されることで、毛穴の真皮の構造が変化してしまうと、クレーターのような凹凸のあるニキビ跡が残ることがあります。このようなタイプのニキビ跡は、毛穴自体の形が変わってしまうことから、ほかの種類に比べて治すことが難しいといわれています。
「クレータータイプのニキビ跡の治療には、フラクショナルレーザーやダーマペンなど、皮膚のリサーフェシング(レーザーを用いて古い皮膚を取り除き、新しい皮膚に入れ替えること)を図る施術が効果的です」と西嶌先生。
たとえば、炭酸ガスによる「フラクショナルレーザー」は、皮膚にレーザーを照射して、小さな点状の孔を無数に開け、肌の自然治癒力を利用し皮膚の再生を促す治療法。一方、「ダーマペン」は極細針を肌の真皮層まで到達させて微細な穴を開け、皮膚再生を図る治療法です。
「どちらの治療も、これまで困難といわれてきた凸凹としたニキビ跡の改善にも効果を発揮します。ただし、1度だけで効果を実感することは難しく、間隔をあけて治療を重ねることが必要になります」(西嶌先生)
「赤く盛り上がるニキビ跡」のケア方法は?
ニキビによってダメージを受けた皮膚を修復する過程で、コラーゲンやエラスチンなどが必要以上に増殖し、赤く盛り上がることがあります。赤く盛り上がるニキビ跡の発生には、体質(ケロイド体質)などが関係しているため、できやすい人とできにくい人がます。
「赤く盛り上がるニキビ跡の治療には、テープなどによる圧迫療法、ステロイド剤などの外用薬による治療、注射などがあります。保険が使える治療方法もありますから、皮膚科や形成外科に相談してみましょう」(西嶌先生)
文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医療法人道心会 恵比寿形成外科・美容クリニック 院長。助産師、保健師、看護師。聖路加国際大学看護学部看護学科卒業後、新生児特定集中治療室(NICU)、産婦人科などで新生児医療に従事したのち、北里大学医学部医学科に学士編入学。 形成外科医として、がん研有明病院、筑波大学附属病院、新東京病院に勤務したのち現職。 多くの女性が抱える特有の悩みについて、専門医の立場、そして自身の経験に基づく等身大の視点で情報を発信している。2児の母。