健康・ヘルスケア
2022.3.23

子宮筋腫ってどんな病気? 手術をしないと治らないの?【女医に訊く#190】

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婦人科検診で子宮筋腫があると診断され、驚いたことはありませんか? 30歳以上の女性の20〜30%にみられるという子宮筋腫について、産婦人科専門医の吉形玲美先生に教えていただきました。

子宮筋腫ってどんな病気?

子宮筋腫は子宮の壁の中やその周辺にできる良性の腫瘍のこと。特に目立った自覚症状がないことも多く、健康診断で偶然発見されることもあります。

「子宮は赤ちゃんを育てるための筋肉でできた袋状の臓器です。その袋の壁の中や壁の外、袋の内側など、いろいろな場所に発育してしまう筋肉のこぶを子宮筋腫とよんでいます」と話すのは、産婦人科専門医の吉形玲美先生。

子宮筋腫は通常、内診と経腟超音波(エコー)検査で診断します。特に、大きな筋腫や手術を考える場合には、医師の判断によりMRI検査をすることもあります。

子宮筋腫はどうしてできるの?

「子宮筋腫は、一般的には女性ホルモンがたくさん出ている若い世代の間に育ち、閉経すると縮むため、女性ホルモンが関係しているということはわかっています。ただ、筋腫ができる人とできない人がいるということの要因はわかっていないため、逆にいえば誰でもなる可能はあるといえます」と吉形先生。

子宮筋腫の発育には、女性ホルモン(エストロゲン)が影響しています。女性ホルモンは、授乳中は分泌が抑制され、閉経後は分泌がほぼゼロになりますが、現代女性は昔に比べて出産回数が少なく授乳の期間が短いうえ、初潮が早くなっているため、人生の中で月経を経験する回数が増えています。つまり、わたしたちは筋腫が発育しやすい環境にさらされているのです。

「また、子宮筋腫は母親や姉妹に続いて見つかるケースも多くみられます。家族に罹患者がいる方は、少し気にしておいた方がいいでしょう」(吉形先生)

子宮筋腫はできる場所によって症状が違う?

子宮筋腫は基本的に良性であるため、例えば小さいものは一生持っていても何のデメリットもないことがほとんどですが、できる場所や大きさ、数によっては、過多月経とそれによる貧血や腫瘍の圧迫による頻尿、便秘、さらには不妊、流産などの原因となる場合もあります。

子宮筋腫の発生場所と種類

筋層内筋腫
子宮の壁=子宮筋層の中にできる筋腫。子宮筋腫の70%を占める。

漿膜下(しょうまくか)筋腫
子宮の外側にできる筋腫。大きくなると下腹部に腫瘍をふれやすい。

粘膜下筋腫
 子宮の内側にできる筋腫。小さくても月経量が増え、貧血になりやすい。

「筋層内筋腫や漿膜下筋腫は、筋腫が大きくなってくると、子宮の前にある膀胱を圧迫したり、子宮の後ろにある尿管を圧迫したりして、腎臓が腫れる(水腎症)など、尿路系のトラブルを引き起こすことがあります。一方、粘膜下筋腫は経血が多くなるのが特徴。月経中の大出血により貧血になる方も多くみられます」(吉形先生)

吉形先生によると、会社などの健康診断で貧血を指摘され、婦人科へ行ってみたら子宮筋腫が見つかることは、よくあるとのこと。過多月経や貧血が気になる人は、一度、婦人科に相談してみましょう。

子宮筋腫は薬で治療する?

子宮筋腫が見つかっても、すべての人がすぐに治療をはじめるわけではありません。

「筋腫が小さく、発生場所も悪くなく、経血もそれほど多くないし貧血もない…という人は、経過観察になります。もし、貧血があれば貧血の治療だけ薬ですることもあります」と吉形先生。

子宮筋腫の治療は、筋腫の場所や大きさ、数、症状、年齢、妊娠・出産を希望するかどうかなどを総合的に考えて、経過観察にするか、薬物療法や手術療法を行うかが検討されます。

「薬物療法に使うのは、薬と注射の2種類。どちらも偽閉経療法といって、排卵をお休みさせて女性ホルモンを低下させることで筋腫を縮小し、月経を止めることで子宮筋腫にともなう過多月経などの症状を軽減します」(吉形先生)

ただし、薬物療法が行えるのは半年おき。女性ホルモンが低下すると骨密度が減ってしまうため、半年間投薬したら、半年間休んで骨密度を回復させ、必要に応じて、また半年間治療を行います。

「子宮筋腫の状況を診たうえで手術をしたくない方などは、この偽閉経療法を繰り返して、そのまま閉経を待つこともあります」(吉形先生)

子宮筋腫の手術療法とは?

手術療法には、子宮筋腫だけを取る「筋腫核出術」と、子宮を全部摘出する「子宮全摘術」のふたつがあります。

筋腫核出術は、近年は腹腔鏡を使うことが増えましたが、肉種(子宮筋腫が悪性化したもの)かもしれないとき、あるいは臍(へそ)を超えるほど大きいなど、腹腔鏡での手術が難しい場合は、開腹手術を行うことも。一方、子宮の内側に顔を出す筋腫(粘膜下筋腫)は、4cm未満なら子宮鏡というカメラを腟から入れて削り取る手術を選択することもできます。

「子宮筋腫は粘膜下腫瘍で過多月経がひどいなどでは、2cmでも取ることもありますし、筋層内筋腫や漿膜下筋腫のように外側にできるものは、5cmでも治療しないこともあります。ただし、10cmを超えるような大きな筋腫の中には、稀に悪性の肉腫に変わるものもあるため、あまりにも大きい筋腫や薬物療法に反応しないような筋腫は、手術で取ることをおすすめしています」と吉形先生。

なお、子宮を温存する筋腫核出術をした場合は、妊娠し子宮が大きくなると、陣痛の刺激で子宮破裂のリスクがあるため、必ず帝王切開で出産をしなければなりません。筋腫によっては持ったまま妊娠した方がいいという判断もありますから、赤ちゃんが欲しい人は医師としっかり話し合いましょう。

産婦人科専門医

吉形玲美先生

浜松町ハマサイトクリニック 婦人科医。医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性医学学会専門医ほか。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局、准講師を経て、現在非常勤講師に。2010年7月より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科診療のほか、多施設で女性予防医療研究に従事している。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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