健康・ヘルスケア
2022.2.9

女性の薄毛・抜け毛の原因は?コロナ禍で抜け毛が増えるって本当?【女医に訊く#185】

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リモート会議中、自分の髪の分け目やボリュームの薄さが気になったことはありませんか? いつまでも健康的で丈夫な髪の毛をキープするには、どうしたらいいのでしょうか? 今回は、女性の抜け毛や薄毛の原因について、発毛診療医・美容皮膚科医の高橋栄里先生に教えていただきました。

1日100本抜けても薄毛にならない?

ブラシに絡まった抜け毛や風呂場の排水口に溜まった抜け毛の量を見て、薄毛にならないかと不安になったことはありませんか?

「わたしたちの毛髪は、1日に50〜80本が自然と抜け落ちます。多いと感じる方でも、100本程度までなら心配いりません」と話すのは、発毛診療医・美容皮膚科医の高橋栄里先生。

毛髪には一本一本に異なる「毛周期(ヘアサイクル)」があり、毛がつくられて伸びる「成長期」、髪が成長しなくなる「退行期」、脱毛と新しい髪の毛の製造準備が始まる「休止期」の3つを1クールとして、髪の生え変わりを繰り返しています。

なかでも長いのは、女性で約4~6年間続くといわれる「成長期」。毛髪全体の85~90%は、この成長期にあるといわれているため、たとえ毎日100本抜けてしまっても、およそ10万本あるといわれる頭髪の本数を保つことができるのです。

女性の薄毛・抜け毛の原因は?

とはいえ、ペタンコ髪や薄毛に悩む女性は少なくありません。では、女性の薄毛・抜け毛の原因はどこにあるのでしょう。

高橋先生によると、「女性の抜け毛は、びまん性脱毛症や円形脱毛症、産後の抜け毛、更年期障害、貧血、極端なダイエットなど多岐に渡る」とのこと。

不規則な生活、急激なダイエット、ストレスは、自律神経やホルモンのバランスを崩します。それにより、髪の毛の成長が鈍くなり、薄毛・抜け毛の原因になることも。さらに、ストレスで血流の悪化が引き起こされると、髪をつくるのに必要なタンパク質やミネラルの合成が悪くなり、健康的な髪を育てにくくなってしまうのです。

「貧血や極端なダイエットからくる抜け毛の対策としては、規則正しい生活習慣をこころがけましょう。生活習慣を見直しても改善しない場合は、クリニックを受診してください」(高橋先生)

びまん性脱毛症と円形脱毛症の違いとは?

びまん性脱毛症とは、全体的に髪の密度が低下する脱毛症の総称のこと。髪のボリュームが減った、分け目が薄くなった、地肌が透けて見えてきた…などと感じやすくなるのが特徴で、「FAGA(女性男性型脱毛症)」や「慢性びまん性休止期脱毛」もびまん性脱毛症に含まれます。

「びまん性脱毛症は更年期以降の女性に多く、原因もストレスや産前産後のホルモンバランスの変化、加齢によるホルモンバランスの変化などさまざまです」(高橋先生)

一方、円形脱毛症は頭の一部が円形に近い形で脱毛するのが特徴。患者の約1/4は15歳以下で始まるともいわれており、どの年代でも円形脱毛症になる可能性があります。

「円形脱毛症の原因にはさまざまな説がありますが、自己免疫異常を原因とする説が有力です。免疫機能異常の要因としては、ストレスや感染症や体質的な素因があります。大半は自然に治りますが、まれに難治性のものもあります。保険適用の治療薬も多く出ています」(高橋先生)

新型コロナウイルス感染症から回復する過程や後遺症で髪の毛が抜けることがある?

新型コロナウイルス感染症から回復する過程や後遺症で髪の毛が抜ける…という噂を聞いたことはありませんか? 高橋先生によると、「残念ながら現段階ではそのメカニズムはしっかりと解明されていないため、今後の研究が注目されている」とのことですが、コロナ禍で髪に関する相談は増えているようです。

「ストレス等が引き金となり抜け毛が増えた…などのご相談や、リモート会議が増えたことで客観的にご自身を見た際にヘアのボリュームが気になった…などのご相談は増えています。近年、エイジングケアとしてヘアケアの関心が年々高まっていることも関係しているかもしれませんね」(高橋先生)

発毛診療医/美容皮膚科医

高橋栄里先生

文/清瀧流美

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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