髪と頭皮を光老化させない!最新UVガードテクニック|美的GRAND
猛暑の季節、頭部に当たる紫外線量は肌の3倍以上!カラーの退色、キューティクルの劣化、頭皮の炎症、抜け毛、白髪…強烈な紫外線が髪と頭皮のエイジングを加速させてしまうからこそ対策は必須。
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(株)ミルボン 研究開発部 基礎研究グループ
安富 諒 さん
毛髪・皮膚の基礎研究に始まり、ヘアケアアイテムの製品開発に従事。現在は、身近な生活環境の変化が髪の毛や肌に及ぼす影響についての研究に取り組んでいる。
髪と頭皮の紫外線対策は本当に必要なの?
体の最上部に位置する頭部は最も紫外線が当たる場所。髪への紫外線の影響はどのくらいあるのでしょうか。
「実は黒髪に含まれるメラニン色素は紫外線に非常に強く、髪や頭皮、そして内側の脳を守っています。ただし一度でもヘアカラーやブリーチなどのケミカル処理をしたら話は別。脱色作用でメラニンを破壊するので、紫外線に対する耐性は一気に弱まります」(岩渕徳郎教授)
カラーやブリーチをすると傷む、ということは知っていても、紫外線に対してそれほど無防備になってしまうことは盲点かもしれません。
「アルカリカラー剤は重なったキューティクル同士の接着剤の役割をしているCMCという部分のたんぱく質を変性させます。すると鎧よろいの役割をしているキューティクルが脆ぜい弱じゃく化。ダメージへの抵抗力が下がり、紫外線ですぐ酸化される状態になってしまいます」(岩渕教授)
酸化した髪は、柔軟性が下がってしなやかさを失い、簡単に切れたり折れたり、また見た目もパサついて艶のないダメージ状態になります。それと同時にせっかくのヘアカラーにも悪影響が。
「強い紫外線は髪内部に入れた染料を破壊し、退色させます。さらには酸化によってキューティクルがもろくなっているので、毛髪内部の成分まで流出しやすくなります」(安富 諒さん)
当たり前にしているヘアカラーですが、美髪を保ち続けるためには、紫外線対策が必須だと肝に銘じておきましょう。
さらに紫外線は頭皮へも影響します。
「髪に隠れている部分はある程度守られるものの、注意したいのはむき出しの分け目。同じ部位に紫外線が当たり続ければ、頭皮に酸化ダメージが起きます。検証を行ったところ、頭皮は頰よりも酸化が起きやすいことがわかりました(下図)。頭皮の皮脂量の影響と思われますが、これは活性酸素の発生量が顔の肌以上に多いことを示します」(岩渕教授)
活性酸素が多いということは、まず考えられるのが白髪への影響なのだそう。
「メラニンを生み出す色素細胞のもとになる色素幹細胞は紫外線の攻撃に対して極めて脆弱です。色素幹細胞が枯渇すれば、黒髪は作られなくなってしまいます。一方、UVの攻撃を受け、再生しようとするときに起こる炎症も問題です。慢性的に炎症性の因子が発生してしまうと、ハリコシのない弱い毛が生まれてしまうと考えられます」(岩渕教授)
「分け目を中心とした肌への酸化ダメージの蓄積は、ヘアサイクルの乱れを引き起こし、立ち上がりの悪い毛や発育の悪い毛を生やし、髪のエイジングを加速させてしまいます」(安富さん)
美髪を保つためには、髪と頭皮のUVケアが必須。さっそく髪と頭皮をスタイリッシュに完全防御できるテクニックを大研究。美しく賢く、大切な髪を光老化から守りましょう。
白髪を引き起こし、薄毛の要因にも。【頭皮の光老化】
紫外線を浴びた頭皮は日焼けして酸化する
元々青白い頭皮も紫外線にさらされ続ければ黄みや赤み、赤黒い色に変化する。こうなると酸化ダメージ状態へと一直線。分け目を変えることもUV対策になる。資料提供/ミルボン
頭皮は顔よりも活性酸素発生量が多い!
頭皮、頰、前腕内側の酸化たんぱく量(CP)を測定すると、頭皮の方が酸化たんぱくが多いとの結果に。これは頰よりも頭皮の方が活性酸素発生量が多いことを示している。資料提供/岩渕徳郎教授
パサつき・色抜けを引き起こす【髪の光老化】
紫外線照射でブリーチ毛はここまで空洞化!
左は毛髪断面の拡大写真。紫外線未照射の髪(左)にはキューティクルの間に白い空洞がないが、紫外線に当たる時間が増える程、白い空洞が増え、もろくなっていくことがわかる。資料提供/岩渕徳郎教授
紫外線によるヘアカラー退色の実態
ヘアカラーした人形の頭部の片側に帽子をかぶせ、真夏の時期に5日間連続で屋外に設置し退色を検証した。帽子ありの方は深く染まったままだが、帽子がなかった方はかなり色あせている。提供/ミルボン
スマートな紫外線対策で髪と頭皮の鉄壁ガードを始めよう!
髪と頭皮のUVケアまとめ
- 髪と頭皮は紫外線で酸化。カラー&ブリーチ毛は要注意
- むき出しの分け目は危険!白髪や薄毛が進行
- 面倒がらずに日焼け止め、帽子、日傘を活用して
『美的GRAND』2024夏号掲載
撮影/当瀬真衣(TRIVAL) ヘア/shuco(3rd) メイク/nagisa(W) スタイリスト/カドワキジュン子 モデル/樋場早紀 構成/伊熊奈美
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
資生堂、海洋バイオテクノロジー研究所、マサチューセッツ総合病院、ハーバード医科大学を経て現職。毛髪科学や皮膚科学の分野を専門として発毛及び育毛剤の特許も取得。