ヘアのお悩み
2023.7.4

白髪はケア次第で減らせるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「白髪と頭皮」について。白髪はケアで減らせるってホント? 日華化学株式会社 デミ コスメティクスの藤井義宣さんにお話を伺いました。

Q:白髪はケア次第で減らせるってホント?

遺伝や加齢はもちろんですが、現代人はストレスや生活習慣によって白髪の発生率が高まっているのだとか。ということは、しっかりケアをすれば白髪を減らすことはできるのでしょうか。さっそく、この疑問を日華化学株式会社 デミ コスメティクスの藤井義宣さんに聞いてみました。

A:ホント

「基本的には一度白髪が生えてきた毛根からは次も白髪が生えてきます。しかし、メラノサイトが機能するようになれば黒髪が生えてくる可能性はあります」(藤井さん・以下「」内同)

黒髪ができるには?

「白髪は白と書きますし、白く見えますが実は透明です。下の画像を見てみて下さい。

黒い髪も、もとは透明でメラニンの作用によって黒くなっています。髪は数年ごとに生え変わりますが、メラノサイトも一緒に抜け変わります。そして髪の色を語るうえでポイントとなるのは髪の毛と色素は別々の細胞から作られているということ。毛髪は毛母細胞、黒い色素はメラノサイトで作られています。メラノサイトで作られたメラニンが、毛母細胞に送られることで黒い髪が生えてくるというのが黒髪の仕組みです」

白髪のメカニズム

「本来透明な髪の毛にメラニンが作られなくなったり、取り込まれなくなることが原因で白髪が発生します。原因としてはメラノサイトの素となる細胞が供給されなくなることがひとつ。メラノサイトはメラニンを作る工場なので、このメラノサイトの素となる細胞が供給されなければ、メラニンを作ることができませんよね。

ふたつ目はメラノサイトの工場は稼働しているものの、原料と労働力不足で稼働率が悪い状態です。チロシンというアミノ酸からメラニンを合成しますが、原料だけでなく“働く人”がいなければ工場はうまく稼働しません。その労働力となるのがチロシナーゼという酵素です。“原料”と“働く人”がしっかり揃わないとメラニンを作ることができません。さらにチロシナーゼを活性化させるMITF遺伝子という“工場長”のような役割をする遺伝子がありますが、その遺伝子も加齢により発現量が低下するため、工場の稼働率が悪くなり、白髪の原因に。

3つ目は作られたメラニンが毛母細胞に受け渡されないことで起こる白髪です。メラノサイトには樹状突起という木の枝のように分岐した複数の突起があります。作られたメラニンはこの樹状突起から付近の毛母細胞へと受け渡されます。しかし、この樹状突起が短い、またはない状態のメラノサイトではメラニンを毛母細胞に受け渡すことができません。

これを応用して美白化粧品などでは樹状突起を伸ばさないようにする成分が採用されていることも。これらの問題は生活習慣や頭皮ケアなどによっても改善されることがあるため、一度白髪が生えてきた毛根からも黒髪が生えてくる可能性はあります」

【白髪ができる原因】

  1. メラノサイトの素となる細胞が供給されない
  2. メラニンを作る工場の稼働率が悪い
  3. メラニンが毛母細胞に受け渡されない

髪のメラニンはシミを作るメラニンと同じ?

「黒髪を作るメラニンも日焼けしたときに肌が黒くなる防御反応で作られるメラニンも同じです。しかし、髪や体毛は防御反応ではなく自然とメラニンを取り込み、黒くなる仕組みになっています。一説によれば、頭には大事な脳があり、それを守るために髪があり、UVからも守るために髪が黒くなったと言われています。赤道に近い地域ほど黒髪の人種が多いことからも、納得できる話だったりします」

日華化学株式会社 デミコスメティクス
化粧品研究部グループリーダー

藤井義宣

文/土屋美緒

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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