【医師に訊く】大人ニキビ、場所別「原因」と種類別「診断」
大人のニキビの原因は皮脂が過剰なことより「皮脂が詰まること」に問題があった!睡眠不足やストレスなどで肌のターンオーバーが乱れると、皮脂がつまりやすくなる傾向に…。また、できる場所によって原因が異なることも。複雑な大人ニキビの原因と、ニキビの種類を知って、正しい対策を!
大人ニキビの多発ゾーンはここ
薬剤師・美容家
花田真理さん
薬剤師として調剤薬局、化粧品会社勤務を経て、独立。医師と薬剤師の共同開発ブランドを立ち上げ、化粧品の商品開発を行う傍ら、コラム執筆や美容記事の監修など、美容家としても活躍。
肌の代謝やホルモンバランスが乱れてフェースラインやあご周りにもニキビができる。最近はマスクに覆われた部分の蒸れやこすれでできたニキビも急増。髪の生え際は洗顔料などのすすぎ残しが原因。
\面疔(めんちょう)に注意/
膿んで痛い鼻の頭にできるニキビに似た吹き出物
鼻の頭にできることが多く、膿(うみ)をもって痛い。毛穴に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して炎症に。稀に髄膜炎になることも。医師でも見分けが難しい。迷ったら即、病院へ。
大人ニキビができる7つの原因
【1】皮脂が過剰なことより皮脂が詰まることが問題
「皮脂の過剰な分泌がニキビの原因と思われがちですが、実はそれ以上に皮脂の毛穴詰まりが原因。」(小林先生)
【2】肌のターンオーバーが乱れによる角質の詰まり
アヴェーニュー表参道クリニック 皮膚科医
太田 理会医師
藤田医科大学医学部卒、藤田医科大学ばんたね病院、福井県済生会病院にて研鑽を積む。皮膚科医、美容皮膚科が専門。丁寧なカウンセリングを通じて患者様のお悩みに正面から向き合いたいと思っています。どんなことでもお気兼ねなくご相談ください。
「大人ニキビは年齢とともに肌のターンオーバーが乱れるために、角質が詰まりやすくなり、それがニキビを招く要因になります。一方、思春期ニキビは、男性ホルモンの分泌量が増えることが大きな要因のひとつ」(太田医師・以下「」内同)
【3】皮脂に住んでいる常在菌や細菌が増えてしまう
「皮脂線の活動が活発になり、皮脂の量が増え、さらに細菌増殖が起こりやすくなることで、ニキビができやすくなってしまいます」
【4】黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響
「女性の場合、月経周期に伴い特に黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で月経前にニキビが悪化するひとも多いです」
【5】環境の変化などから起こるホルモンバランスの乱れ
「食事やストレス、睡眠不足、環境の変化などから起こるホルモンバランスの乱れも影響してきます」
【6】化粧品を変えたことなどの外的因子
「さらに多いのが、化粧品を変えたことなどの外的因子によるもの。この場合は、まずは原因となるものを取り除くことが最優先です」
【7】マスク生活
皮膚科専門医
慶田 朋子先生
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、東京女子医科大学病院、聖母会聖母病院などを経て、2006年、有楽町西武ケイスキンクリニック開設。2011年、西武有楽町店閉店に伴い、銀座ケイスキンクリニックとしてリニューアルオープン。最新マシンと高い注射注入技術で叶える、切らないリバースエイジングに好評を博している。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。
「マスク蒸れで皮脂の分泌量が増えると、ニキビができたり脂漏性皮膚炎になったりすることもありますから注意しましょう」(慶田先生)
【場所別】ニキビができる原因
【おでこ】ニキビの主な原因
皮脂や前髪など
皮脂分泌の過多によりできやすいTゾーン。前髪の整髪料やシャンプーの洗い残しなど、前髪で覆われて不潔な環境になりできる場合も。
【頬】ニキビの主な原因
乾燥やメイク詰まりなど
皮脂分泌が少なく乾燥によりできやすいパーツ。またファンデーションが詰まったり、メイクブラシなどの摩擦などでもできやすくなります。
【小鼻】ニキビの主な原因
皮脂や角質詰まりなど
皮脂分泌が多く、皮脂や角質のたまりが主な原因に。メイクや汚れがたまりやすいパーツで、毛穴に詰まってニキビになることも。
【口元、あご】ニキビの主な原因
摩擦、胃腸の弱りなど
ほかと比べザラつきがあり汚れや角質がたまりやすいパーツ。またストレス性で胃腸が弱っている場合、ニキビとして肌に影響が出ることも。
【背中】ニキビの主な原因
東京イセアクリニック 渋谷院院長 日本皮膚科学会会員 日本美容皮膚科学会会員 日本抗加齢医学会会員
大山希里子先生
「患者さまとのコミュニケーションを大切にして真摯に向き合うこと」を理念に、日々の診療を行う。
皮膚科医として知識のグレードアップを怠らず、美容医療はもちろん化粧品などの知識も豊富。
「背中ニキビができる原因として考えられるのは、髪の毛を洗った際のシャンプーやコンディショナー、トリートメントなどの洗い残しの影響や、髪の毛との接触による整髪料汚れなど。これらの汚れの蓄積が毛穴を詰まらせる原因となり、炎症を起こしやすくなります。
その日の汚れを都度きちんと落とすことがニキビ予防に有効です。
夜ではなく朝に入浴する習慣も、背中ニキビができやすくなるでしょう。毎日のメイク落としはしていても、背中まで気が回らない人も多いはず。意識的に背中を洗う習慣をつけるようにしましょう」(大山先生)
ニキビの種類を診断
白ニキビ
皮脂の詰まりが原因でできる 白くザラつくプツプツ
ニキビ初期段階の白く小さい吹き出物。ターンオーバーの乱れなどで角質層が厚くなって毛穴の出口が塞がり、皮脂が詰まって盛り上がったもの。放置するとアクネ菌が増殖。
黒ニキビ
白ニキビが進行すると…黒ニキビに
毛穴に詰まった皮脂が黒く酸化した状態。白ニキビが進行したものだが、炎症はない。
赤ニキビ
アクネ菌が増殖し赤く化膿して目立つ
初期段階のニキビが赤く化膿したもので、白ニキビより大きめ。毛穴に詰まった皮脂をエサにアクネ菌が増殖し、それを阻止しようと白血球が集まって活性酸素が発生。この活性酸素が皮膚組織を壊し、炎症を起こす。
黄ニキビ
赤ニキビが進行すると…黄ニキビに
黄白色の膿をもった状態。赤ニキビから数日で進行することも。黄色ブドウ球菌も増殖。
ニキビの最終形…硬結
「痛くて硬いしこりニキビは、白ニキビから赤ニキビ、黄ニキビを経て、炎症が進行してしまったことが原因によるニキビの最終形。この硬く、しこりのように盛り上がってしまった状態を硬結(こうけつ)といいます」(太田医師・以下「」内同)
【種類別】5つの「ニキビ対策」
【1】ピーリング石鹸やスクラブ洗顔料を使用(白・黒ニキビ)
「毛穴詰まり予防、解消のためのピーリング石鹸やスクラブ洗顔料を使用するのはよいでしょう。ただし、そういった洗顔料は毎日使用すると肌が乾燥してしまうので、気になるときにだけ使用するようにして。また敏感肌、乾燥肌の人はちょっとしたことで刺激を受けやすいため、逆効果になることも。使用の際には注意が必要になります」
【2】ニキビができたら専用の基礎化粧品を使うのがベスト(赤ニキビ)
「お肌のことを考えると、ニキビができてしまったときは、ニキビ専用の基礎化粧品を使用するのがベスト。選ぶ基礎化粧品はニキビができる原因や肌の状態によって変わってきます。例えば、脂っぽい肌でニキビの炎症が酷いときには、殺菌作用や皮脂量をコントロールしてくれるタイプがよいでしょう。一方で乾燥している場合には、ニキビの炎症を抑えながらも低刺激で、肌に潤いを与えてくれるタイプがおすすめです」
【3】抗炎症コスメでトラブルを鎮静(赤ニキビ)
ニキビ=炎症トラブル。朝夕使うコスメを、鎮静成分入りのものに切り替えて炎症を鎮めましょう。炎症を繰り返さないためには、バリア機能の強化が不可欠。ニキビ肌対応のアイテムで、たっぷりと潤いを与えてください。
ニキビ部分を摩擦しないように、手のひらで包み込むようにコスメをなじませましょう。コスメは、抗炎症成分入りで、ニキビを誘発させない「ノンコメドジェニックテスト済み」の保湿アイテムを選ぶと安心です。
【4】基本は塗り薬を!プラスで内服の抗菌薬(赤・黄ニキビ)
「できてしまった赤ニキビには、ダラシンTゲルやダラシンTローション、アクアチムクリームやアクアチムローションなどの抗菌薬の塗り薬を使用します。さらに最近は、新しい抗菌薬“ゼビアックスローション”が登場し、従来の塗り薬があまり効かなかったという人に多く処方されるようになってきました。
炎症が強い人や赤ニキビが長く続いている人は、塗り薬にプラスして内服の抗菌薬が加わります。ルリッド、ミノマイシン、ヒブラマイシンなどがよく処方されますね」(太田医師)
【5】早めに皮膚科を受診しよう(硬結)
「硬結になってしまった場合、早めに皮膚科を受診し治療をしましょう。自分でできるセルフケアはありません。そればかりか、早く治療をしないと、ケロイドや瘢痕、クレーター肌と呼ばれる状態になってしまうことも。」(太田医師)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医学博士。同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター研究員。豊橋の山本皮フ科ほかで診療を行う。健康と食を医学的な立場で発信するサイト『ドクターレシピ』を監修。