お悩み別ケア
2024.8.5

ビタミンC類やナイアシンアミドetc.…マルチに働く「オールラウンダー成分」って何があるの?【2024最新スキンケア成分図鑑】

長い目で自分の肌を育てたいとき、やっぱり成分をきちんと理解し、スキンケアを納得して選択したい。成分のプロフィールから、配合スキンケア名品まで、網羅します。スキンケア・サイエンスコミュニケーター博士(工学)次田哲也さんに教えて頂きました。

スキンケア・ サイエンス コミュニケーター 博士(工学)

次田哲也さん

マルチに働く! オールラウンダー成分

複数の効果・機能をもち、攻めて良し、守って良しの万能成分。総合的に美肌へとアプローチができ、肌がゆらぎがちなときに使いやすいのも特徴。

美容成分は自分に合うアイテム選びのヒント
近年、美容成分への関心度が非常に高まり、「成分名でコスメを選ぶ」という人も増えています。では、美容成分に詳しくなるメリットとは? 「自分の肌に直接つける化粧品がどういうものでできているかがわかることや、今の自分に必要なものや合うものを取り入れ、逆に合わないものを避けられることだと思います」と、肌科学者の次田哲也さん。

ただし、注意点も。

「頭でっかちに成分名だけで選ぶのではなくトータルで考えること。心地よい香りやテクスチャー、パッケージ、世界観など、感覚的な面も大切に。良いといわれていたり話題・人気の成分であっても、実際自分の肌に合うのかはサンプルなどで試し、違和感がなければしばらく継続して使用し、変化をしっかり見極めましょう」(次田さん)

ビタミンC類【美白】【抗酸化】【ニキビケア】【毛穴ケア】

表示名:アスコルビン酸★アスコルビン酸ナトリウム★、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)など

多角的に美肌にアプローチする王道成分
ビタミンC(アスコルビン酸)は高い抗酸化作用をもち、紫外線による酸化ストレス抑制による抗炎症作用や還元作用によってメラニン産生過程を抑制する美白成分として古くから多くの化粧品に用いられてきた。ただし無加工のアスコルビン酸(ピュアビタミンC)は酸化しやすく非常に不安定なので安定化や浸透性、機能性を高めるために誘導体の形で配合されることが多い。高濃度である程機能が高まるとされるが、刺激感が強くなる場合も。

この名品に配合!

高浸透ビタミンC(APPS)と高浸透持続型ビタミンC(VCエチル)をWで配合。速攻で届く&肌に留まる処方を採用。
ドクターシーラボ VC100エッセンスローションEX 150ml ¥5,170

VC100エッセンスローションEXの詳細はこちら


即効性に優れた「ピュアビタミンC」を高濃度配合。ビタミンEと組み合わせることで肌悩みに全方位でアプローチ。
ロート製薬 オバジ オバジC25セラム NEO 12ml ¥11,000

C25セラム ネオの詳細はこちら


3種類のビタミンC誘導体が時間差で浸透。さらに生カプセル化したビタミンA・C・Eも配合。
シロク N organic Basic コンディショニング VCエッセンス 30ml ¥8,580(9月2日発売)

「誘導体」ってどんな働きをするの?
ビタミンCを化粧水や美容液といった水溶液中での安定性や浸透性を高めるためのもの。例えば「APPS」は両りょう親しん媒ばい性せいで高浸透型のビタミンC誘導体。その他、水溶性、油溶性/酸性~アルカリ性/安定型、持続型など多種。有効成分として認められているものは全5種。

アスタキサンチン【シミ予防】【ターンオーバー促進】【コラーゲン合成】【抗酸化】

表示名:アスタキサンチン、ヘマトコッカスプルビアリス油、アスタキサンチン液など

抗酸化力に優れた自然由来の赤い色素成分
サケ、エビ、カニ、オキアミなどの海洋生物に含まれる赤色の天然色素(カロチノイド)。カロチノイドの中には抗酸化作用が強い成分が多くあるが、特にアスタキサンチンは抗酸化力に優れた成分。活性酸素の発生を防ぎ、炎症を予防する効果はβ-カロテンやビタミンEよりも高いため、エイジングケアや肌あれ防止、透明感ケアなどの目的で配合されることが多い。油溶性で、配合するとテクスチャーも赤くなるのも特徴。

この名品に配合!

アスタキサンチンなどを含むクリームを透明ジェルで包んだユニークな形状。
COCOCHI AG スリーピングパックN 3.5g×5回分 ¥4,950


独自の「ナノアスタキサンチン」に「ヒト型セラミド」や「アルブチン」などを組み合わせ、美白、ハリ、潤いケアが同時に。
富士フイルム アスタリフト ホワイト ジェリー アクアリスタ [医薬部外品] 40g ¥11,000

ホワイト ジェリー アクアリスタ[医薬部外品]の詳細はこちら

サケは元々白身魚! パワーの源は「赤」
分類上は白身魚とされるサケの身が赤いのは餌えさのオキアミが豊富にもつアスタキサンチンを体に蓄えるから。サケは一般的な魚とは異なり、産卵時に川を遡上するという性質が。遡上(=有酸素運動)により受ける筋肉ダメージを防ぐのがアスタキサンチンの抗酸化作用なのです。

CICA【肌あれ改善】【ニキビケア】

表示名:ツボクサエキス、ツボクサエキス葉、ツボクサエキス葉/茎エキスなど

肌トラブルを鎮め、コンディションを整える
セリ科植物ツボクサの葉及び茎より抽出されたエキス。抗菌活性作用がある疎水性の成分「テルペノイド」「メソイノシトール」などを含んでいる。鎮静効果や静菌作用があり、ニキビや肌あれなどを防ぎ、肌のトラブルが起きにくい肌の維持を目的とした化粧品に配合されることが多い。エキスとしては珍しい油溶性の成分。CICAはツボクサ由来の化粧品原料全般を指す。根や茎、葉、花など抽出部位の違いによって成分名も異なる。

この名品に配合!

40年以上前からツボクサエキスを採用し、高濃度で配合。マイクロバイオームのバランスも整え健やかな肌へ。
シスレー エコロジカル コムパウンド アドバンスト 125ml ¥38,500

エコロジカル コムパウンド アドバンストの詳細・購入はこちら


CICA成分をはじめパンテノールB5など肌コンディションを整える成分を配合し、刺激から肌を守る。
ラ ロッシュ ポゼ シカプラスト リペアクリーム B5+ 40ml ¥2,970

シカプラスト リペアクリーム B5+の詳細はこちら

CICAと「虎」の関係って?
CICAコスメに虎モチーフが多いのは、ツボクサは日本やインドでも古くから傷や火傷やけどの治療に用いられてきた薬草で、虎も傷ついた体を癒したとの逸話から。そのため「タイガーハーブ」と呼ばれるように。ちなみに学名は「センテラアジアティカ」。

トラネキサム酸類【美白】【抗炎症】

表示名:トラネキサム酸★、トラネキサム酸セチル塩酸塩★など

炎症を抑えながら透明感も。刺激も少なく安全性◎
肌あれ防止と美白の有効成分。美白成分としては、紫外線によって肌が炎症を起こしたときに発生する「プロスタグランジン」というメラニン色素生成誘導因子の発生を抑制することで美白効果を発揮。抗炎症成分としては、肌あれを誘発する「プラスミン」というたんぱく分解酵素の生成を抑制し、肌を健康に保つ働きがある。「t-AMCHA」の愛称で呼ばれることも。美白成分としては「m(=メラニン)-トラネキサム酸」と呼ばれることも。

この名品に配合!

m-トラネキサム酸と、4MSK、2種の美白有効成分を配合。
資生堂 HAKU メラノフォーカス EV[医薬部外品] 45g ¥11,000

メラノフォーカスEV[医薬部外品]の詳細はこちら


トラネキサム酸と共にグリチルリチン酸2Kを配合し抗炎症機能を強化。
第一三共ヘルスケア トランシーノ薬用メラノシグナルエッセンス[医薬部外品] 30g ¥4,950(編集部調べ)

薬用メラノシグナルエッセンス[医薬部外品]の詳細はこちら


TXC(トラネキサム酸セチル塩酸塩)にビタミンEとアラントインを配合。明るくなめらかな肌へと導く。
シャネル ル ブラン セラム HLCS[医薬部外品] 30ml ¥19,910

ル ブラン セラム HLCS[医薬部外品]の詳細はこちら

ナイアシンアミド【美白】【シワ改善】【肌あれ防止】

表示名:ナイアシンアミド★、ニコチン酸アミド★など

美白、シワ改善、肌あれケアとまさにマルチな美肌成分
ビタミンB群の一種で、白色の結晶または結晶性の粉末成分。メラニンが表皮細胞に受け渡されるのを抑制することで、メラニンの表面化を防ぐ機能があり、美白効果が認められた有効成分。消炎や代謝活性効果もあるため肌あれ改善の有効成分としても用いられる。さらに2018年からは抗酸化作用とコラーゲン合成作用からシワ改善の有効成分としても認められる。マルチな機能をもち、安全性も高いため多くの化粧品に採用されている。

この名品に配合!

ナイアシンアミドとグリチルリチン酸ジカリウムを配合。炎症を抑えながらシミ&シワを改善。
プレミアアンチエイジング デュオ ザ 薬用美白リンクルセラム[医薬部外品] 30ml ¥7,040

ザ 薬用美白リンクルセラム[医薬部外品]の詳細はこちら


整肌成分ナイアシンアミドとPCA亜鉛を高濃度で配合。皮脂の詰まりを抑えなめらかな肌へ。
オーディナリー N10+Z1フェイスセラム 30ml ¥1,100

同じ成分なのにいろいろな名前があるのはなぜ?
かつて成分名が許可制であった時代、化粧品成分と医薬部外品成分に区別はなかった。しかし、’01年の自由化で、現在[化粧品]は業界団体、[医薬部外品]は厚生労働省が規格や名称を決めているため、同じ成分でも異なる名前がつくように…!

次田博士の美容成分こぼれ話

  • 「医薬部外品」は 日本だけにある 独自の分類です

医薬部外品とは日本の薬機法で定められたもので、医薬品と化粧品の中間的な存在。厚生労働省が承認した有効成分が配合され、主に「予防」を目的としています。

★は医薬部外品有効成分

『美的』2024年9月号掲載
イラスト/いしやま暁子(chovon) 構成/村花杏子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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