健康・ヘルスケア
2021.10.20

漢方薬はどこへ行けば手に入る? 美的世代に多い不調とは?【女医に訊く#170】

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不調を感じ、漢方薬を飲んでみたいと思ったときは、どこへ行けば手に入るのでしょう? 美的世代の女子に多い不調とは何でしょうか? 慶應義塾大学漢方医学センター医局長の堀場裕子先生にお話をうかがいました。

漢方はどこへ行けば手に入る?

「漢方薬の入手方法は主に3つあります。まずは、病院やクリニックで医師に処方してもらう方法です。どの医師でも漢方薬を処方することは可能です。次に、漢方薬局でも手に入れることができます。漢方に通じた薬剤師さんが豊富な種類の漢方薬から悩みに合う薬を選んでくれます。医師の処方箋は必要ありませんが、保険がきかないことがあります。3つ目は、一般的な薬局での購入です。最も気軽に購入できるので、風邪の初期症状に効果がある『葛根湯』などを購入された経験がある方は多いのではないでしょうか」と話すのは、日本東洋医学会漢方専門医の堀場裕子先生。

「まずはかかりつけ医に『漢方薬を試してみたい』と相談してみるのがいいですね。最初は抵抗があるかもしれませんが、医師の約9割が漢方薬を処方した経験がある、というデータもありますから、思い切って伝えてみてください」(堀場先生)

漢方について詳しく話を聞きたい場合は、漢方専門医のいる外来を受診するのがおすすめです。日本東洋医学のホームページで近くの漢方専門医を検索してみましょう。

美的世代に多い不調とは?

漢方医として、また婦人科医として、日々患者さんに接している堀場先生ですが、美的世代の女性はどんな不調に悩んでいる印象でしょうか?

「いちばん多いのは、冷えですね。慶應の漢方外来で最も多い主訴は冷えというデータがあります。冷え症の女性は、冬に多い印象ですが、夏もオフィスなどの冷房や冷飲水などで冷えるため、一年を通して悩んでいる方がいらっしゃいます」(堀場先生)

堀場先生によると、冷えがある患者さんは冷えがない患者さんよりも愁訴の数が多いとのこと。冷えが頭痛や肩こり、生理痛、便秘、むくみなど、いろいろな症状の原因となったり悪化させたりするようです。

美的世代の“冷え症”の本当の原因は!?

「冷えを訴える若い女性はとても多いですが、彼女たちのなかに”本当の冷え症”はほとんどいないのではないかと思っています」と堀場先生。

堀場先生によると、“本当の冷え症”とは、70代以上のかなりやせた老人、大病後やダイエットで過度にやせてしまった人など、自分で熱を産生できないような状態からくるもの。実際、外来で「すごく冷えます」という若い女性を診察してみると、血流が悪いために手足の末端や下半身など部分的に冷えが起こって、冷えを感じていることがわかるようです。

「身体を温めるだけでは治らない“冷え症”というのはたくさんあります。運動不足などで血流が悪くなって身体が冷えてしまうのが、“現代の冷え症”の特徴かなと思います。そのため冷えを自覚している若い女性は、頭痛、肩こり、月経痛、便秘やむくみなど、たくさんの症状にも悩まれている方が少なくありません。診察して血流が悪いことが冷えの原因と分かったら、身体を積極的に動かすようにお話しして、『桂枝茯苓丸』など血流をよくするような漢方薬を出すことが多いですね」(堀場先生)

これからの時季、身体を温めることはもちろん大事ですが、それだけでは冷え症は改善しません。コロナ禍でジムに行きにくくても、できるだけエスカレーターを使わずに階段を使う、ひと駅分歩くなど、日常生活のなかで身体を動かしてみましょう。血流をよくするように心がけていくと、悩んでいる身体の不調が少しずつ軽くなるかもしれませんね。

 

日本東洋医学会漢方専門医・指導医

堀場 裕子先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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