ダイエットにカロリー制限は意味がないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「ダイエット」について。ダイエットにカロリー制限は意味がないってホント? 「食べるダイエット」を基本とし、食事コンサルティングも行っているパーソナル管理栄養士の三城円さんにお話を伺いました。
Q:ダイエットにカロリー制限は意味がないってホント?
ダイエットと言えば、まず思い浮かぶのはカロリー制限ではありませんか?しかし、いろいろなダイエット法がある中、カロリーだけを制限するダイエットはあまり意味がないというウワサが…。そこで、ダイエットにカロリー制限は意味がないってホント? について三城さんに聞いてみました。
A:ホント
「摂取カロリー量が少なければ体重は減っていくのは当たり前。なので、意味がないとまでは言えません。しかし、ダイエット中も適正なカロリー量を摂取する必要がありますし、むやみやたらにカロリー制限をする必要はないので、ホントになります」(三城円さん・以下「」内同)
適正な摂取カロリーとは?
「ダイエットと言うと、何か食べちゃいけないとか、カロリーも摂ってはいけないというイメージが強いと思います。しかし、ダイエット中とはいえ、適正な量のカロリーを摂取する必要があります。では、その“適正な量”とはどのくらい?ということですが、通常は体重1kg×30〜40kcalで計算した数字が目安です。例えば体重50kgの人であれば30 kcalをかけると1500 kcal、同じように40 kcalをかけると2000 kcalになります。そのため、体重50kgの人であれば1日、大体1500〜2000 kcalくらいを摂るということになります。この30 kcalと40 kcalの違いは、生活の活動量に応じて計算してもらうと良いです。在宅が中心で、活動量が少ない人は体重×30 kcal。出勤なども含めて、外で活動するような人は体重×40 kcalという具合で、活動量によってかける数字を変えていきます。
しかし、あくまでこれは目安。なので、1日2000 kcalが目安の人2100 kcal摂ってしまったからダメということではありません。だいたい、1週間平均で帳尻を合わせられていれば大丈夫です。
あとは、自分で体重などを測っていただいて、体重を維持できるようにカロリーコントロールを図っていくようにするといいでしょう」
摂取カロリーのバランスも大事なポイント
「適正な摂取カロリー量の計算ができたら、次は摂取カロリーの比率について。摂取カロリーが分かったからと言って、ただその分のカロリーを摂ればいいということではありません。カロリーの内訳も大事になってきます。
いわゆるPFC比、つまり三大栄養素といわれるタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の総カロリーに対する構成比率です。健康に良いとされる摂取バランスとして、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、総エネルギー摂取量に対して炭水化物は全体の50〜65%、タンパク質は13〜20%くらい、脂質が残りの20〜30%とされています。
そのため、カロリー源の中心は炭水化物(糖質)で摂っていただくのが良く、食事の50%強を主食から摂ることを意識すればいいでしょう。タンパク質もカロリー源に含みますが、タンパク質は体の細胞に使うのが理想です」
カロリー制限を続けると起きるデメリット
「ダイエットだからと、1日1000 kcal程度、基礎代謝くらいしか摂取しないという人もいるのですが、それは危険です。例えば、1日に摂りたいカロリー量が2000kcalだとすると、そのうちだいたい60%が基礎代謝になります。そうすると1200kcalが基礎代謝です。基礎代謝というのは、生きるために必要な最低限のエネルギー量のこと。それだけしかカロリーを摂らなければもちろん痩せますが、カロリー不足に陥ってしまいます。そして、入って来るカロリーの総合量が少ないと、その量で生きられるように体は適応していきます。そして、少しのカロリーで生きられる代謝に体が変わった頃にダイエットをやめて、普通の食事をはじめてしまうと、すぐに太ってしまいます。これが食事制限でリバウンドが起きる仕組みです」
極度のカロリー制限はメンタル面にも問題を起こす?
「ここからは私の体験談も含みますが、カロリーを極端に制限するとメンタルが不安定になってしまいます。イライラする人もいますし、イライラと落ち込みの感情の振れ幅が大きくなることもあります。しかも、その精神状態が続くとひとりの問題ではなく、仕事や家族へも影響を及ぼしてしまうことになります。行き過ぎると摂食障害などの病気に繋がってしまう可能性があるという点でも、注意が必要です」
体組成計の上手な使い方
「最近では適正なカロリー量を計算するのに、除脂肪量というものも目安にされています。除脂肪量とは、体重から脂肪の重さを除いた、脂肪以外の筋肉・水分・骨などの重さのこと。除脂肪量を出すためには体脂肪率を測るということが必要になってきますが、家庭用の体組成計で計算される体脂肪率は、誤差があるので真の値とは言えません。そのため、現段階では体重あたり30〜40kcalで1日のカロリー摂取量の目安を計算していただくほうがシンプルです。
また体組成計に乗ったとき、体脂肪率を気にしている人も多くいると思いますが、測るタイミングや体内水分の状態などによって、数字にばらつきが出やすいので、基本は変動を追っていただく程度で問題ありません。体重に関しても、前日・前夜の食事などによっても変わるため、朝、体重を測って100g前日より増えていたからと言って落ち込む必要はありません。全体の変動を見て、なんとなく右肩下がりになっていればOK!というように、体重計や体組成計を活用してもらえるといいと思います」
Point
家庭用体組成計の体脂肪率は、パーセンテージそのものでなく、変動チェックに使うべし。※「カロリー制限」は正確には「エネルギー制限」という表現をしますが、本文ではわかりやすくするために「カロリー」「エネルギー」という言葉で説明しています。
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
大学卒業後、病院勤務に従事。その後、筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。自身のダイエット・摂食障害の経験から、食べる恐怖や罪悪感を持ち、苦しんでいる人のサポートをするため、2011年にパーソナル管理栄養士として独立。食べるダイエットを基本とし、ダイエットや摂食障害、アスリートなど、一人ひとりの目的に沿った食事コンサルティングを行っている。「健康なときこそ、食の相談は管理栄養士にするのが当たり前な社会づくり」を目指し、さまざまな活動にも取り組んでいる。著書は『一週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法』(サンマーク出版)。
■HER-SELF女性の健康プロジェクト
HER-SELF女性の健康プロジェクトとは、女性自身がいきいきと活躍できる世の中を作りたいという思いから生まれたプロジェクト。女性自身、そして女性を取り巻く社会や企業、パートナー、家族や友人のパートナーシップで女性の健康を実現します。