性欲って、ないとダメ?アラサー女性の性欲が低下している5つの原因
ふと気が付けば、ドキドキムラムラな気持ちがすっかり消えている…何か異常なサイン?また取り戻せる?性欲が低下する主な原因と理由について、専門家に聞いてみました。
性欲の低下の主な原因はこの5つ!
【1】疲れてまったくそんな気になれない…多忙・疲れ
「仕事が忙しくて、とてもそんな気になれないという声をよく聞きます。性機能が興奮系に働くホルモンはノルエピネフリンやドーパミンですが、疲労やストレスなどでそれらの分泌が抑制されることが原因のひとつと言われています」(片桐由起子先生)
【2】付き合いが長いほど、性欲は薄れていく…パートナーへの興味の低下
「付き合って半年ぐらいは“ハネムーン効果”で性交渉が頻繁に行われがちですが、それ以降は減少するのが普通。性交渉の頻度は同居年数にも比例して下がるので、もし自然妊娠を望むなら早めに行動するのがおすすめです」(坂口菊恵先生)
【3】性欲のなさに困っていない人も増加中
性欲以外の『欲』の分散化
「インターネットやSNSの普及で情報やモノがあふれている時代。自己承認欲求や物欲など、性欲以外の『欲』を手軽に満たすことができるためか、性欲がない状態が続いていても気づかない&困っていないという人も増えている気がします」(片桐先生)
【4】理想の「夫婦」&「母親」像が逆に足かせに!?社会的ストレス
「日本は一夫一妻の意識が強く、例えパートナーへの興味がなくなっても一緒に居続けなければならず、浮気もダメ。さらに女性は過剰な母性を期待されがち…。そういった環境や既成概念、社会制度なども、性欲低下の一因かもしれません」(坂口先生)
【5】結婚・出産を先送りにするうちに性欲も…お金や将来への不安
「女性の高学歴化や働く女性の増加に伴い、結婚・出産年齢も上昇。パートナーがいて、子供が欲しい。だけど教育費や将来への不安などから結婚・出産を先送りにし、無意識のうちにセックスレスという避妊法を選択する方々もいる印象を受けています」(片桐先生)
\読者からの質問に答えていただきました/
先生、こんなときはどうすればいいですか?
Q.「性欲はないけれど子供は欲しい…どうすれば?」
(メーカー勤務・31歳)
A.必ずしも自然妊娠にこだわらなくても良いのでは?
「今は妊娠の方法はいくらでもあります。パートナーにも自分にも性欲がないことが明らかで、かつ妊娠を希望するなら、できるだけ早めに専門医に相談してください」(片桐先生)
Q.パートナーに性欲を感じなくなった。でもまた取り戻せる?
(派遣社員・34歳)
A.それは難しいかもしれません
「食欲がない人に無理矢理食べろと言っても難しいのと同じこと。相手との関係性によっては、『自分にとって最適な相手ではない』と心身が判断しているサインという場合も」(坂口先生)
Q.「性欲って、ないとダメ?体に何か不具合が起きたりしますか?」
(アパレル勤務・29歳)
A.性欲はあってもなくてもOK!
「価値観は多様。卵巣機能の低下によって性欲低下や更年期症状、腟萎縮などが起こる場合もあります。しかし性欲の低下によって卵巣機能(卵巣予備能:妊孕(にんよう)性)が低下することはありません」(片桐先生)
Q.「男性側の性欲も低下していたりするのでしょうか…?」
(商社勤務・27歳)
A.どちらかというと若い男性の性欲低下が問題だと言われています
「最近、若い男性に性交嫌悪症の人が増えているようです。生活面での競争低下、父親不在・母子密着型の家庭環境、性教育の欠落などが原因ではないかと言われています」(坂口先生)
東京大学 初年次教育部門 特任准教授
坂口菊恵先生
さかぐち きくえ/東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。複数の大学で非常勤講師を経て現職。著書に『ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略』がありメディアや講演会で性について語る機会も多数。
『美的』2021年9月号掲載
イラスト/チブカマミ 構成/内田淳子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
かたぎり ゆきこ/東邦大学医学部を卒業後、米国コーネル大学留学などを経て、現職に。専門は不妊治療。同大の男女共同参画推進センター長も務める。生殖医療専門医、臨床遺伝指導医など。