ワキガはセルフチェックできるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“体臭”について。ワキガはセルフチェックできるって…ウソ? ホント? 小杉町クリニックの稲澤美奈子先生にお答えいただきます。
Q:ワキガはセルフチェックできるってホント?
蒸し暑いこの時期といえば、気になるのが体臭ですよね。とくに、ワキガなどデリケートな問題は、他人からは指摘しづらいもの。実は、自分では気づかないうちにワキガ臭を放っていたなんてことも…。そこで活用したいのが、ニオイのセルフチェック。自分自身でワキガかどうか、確認できる方法があるのだとか。本当なのでしょうか。
さっそく、この疑問を稲澤先生にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ホント
「正確な診断には医師のチェックが必要ですが、自分でもできる簡単なチェック方法があります」
ワキガの原因は?
「汗を分泌するための汗腺には、全身に分布するエクリン汗腺と、脇、耳、乳輪、へそ、外陰部などに分泌するアポクリン腺の2種類があります。アポクリン腺から分泌される汗自体は無臭なものの、粘着度があり、たんぱく質を多く含んでいます。そこへ皮膚の常在細菌により分解されることで脂肪酸が生じて、ワキガ特有のニオイの原因になります。また、ワキガは遺伝による影響も大きく、アポクリン線が発達しているとワキガになりやすいといわれています。
基本的にワキガが発症するのは、アポクリン腺が発達する10代~20歳くらいまでが多いです。ただし、20歳を超えて一人暮らしを始めたなどで、生活が不規則になると、体内のバランスが乱れたり、ストレスを感じやすくなることもあります。すると、これまで抑えられていたニオイがでてきて、初めてワキガだと明らかになるケースもあります」(稲澤先生・以下「」内同)
ワキガのセルフチェック法は?
「ワキガのセルフチェック法として有名なのが、耳垢が湿っている(軟耳垢)かどうか。耳垢とワキガには密接な関係があり、ワキガの97%の人の耳垢が湿っているといわれています。軟耳垢は優性遺伝するため、ニオイが気になり、なおかつ両親や自分の耳垢が湿っている場合は、ワキガの可能性が高いでしょう。ごく希に、耳垢が乾いているのにニオイが気になるというケースもあるようですが、大半の場合は耳垢が乾いていれば、まずワキガの心配はないでしょう。
そのほかにも、ガーゼテストというものがあります。ガーゼを脇に数分間挟み、軽い運動をした後でガーゼのニオイを嗅ぐというものです。このときにツーンとした刺激臭やスパイス臭など、独特のニオイがしたら、ワキガの可能性があります。しかし、このガーゼテストは主観も入ってしまうため、より確実な診断を求めるのなら、挟んだガーゼを持っていき、医師の診察を受けることをオススメします」
- 自分自身の耳垢が湿っているか?
- 両親の耳垢は湿っているか?
- ガーゼを脇に数分間挟み、軽い運動をした後でガーゼのニオイを嗅ぐとツーンとした刺激臭やスパイス臭など、独特のニオイがあるか?
治療法は?
「軽症の場合はワキ脱毛を行ったり、動物性脂肪の多い食生活をしていないかなど、生活スタイルを見直すことで多少は改善する可能性があります。しかし、重度のワキガの場合は自分で治すというのは難しいでしょう。
一般的な治療法では、汗そのものを抑える治療法がふたつあります。まずひとつめが、約2週間、毎日ワキに塗ることで、汗の出口にフタをして発汗を止め、ニオイを抑えることができる“塩化アルミニウム製剤”です。保険外ですが、クリニックで処方することができます。また、この塩化アルミニウム製剤と類似したもので、通販などで市販されているのものもあります。どちらも汗を止めてニオイを抑えるものなので、ワキガの根本的治療にはなりません。
ふたつめは、ボトックスです。いちど注入すれば、約半年間は汗の分泌を抑制することができます。
さらにステップアップすると、形成外科にて手術という方法があります。これは保険適用があり、医師が脇を切開して、目視でアポクリン腺を除去していくというものです。しかし、脇に傷が残ってしまうというデメリットもあります。ですが、ニオイは確実に減らすことができますよ。
ほかには、マイクロ波をあてることで切らずに汗腺を破壊、除去するというミラドライという治療法もあります。こちらは、自費診療となるため、費用が約30~40万円と高額になってきます」
Point
【軽度】…ワキ脱毛や食生活の改善【軽度~中度】…塩化アルミニウム製剤(塗り薬)やボトックス
【中度~重度】…形成外科にて手術やミラドライ(照射)
文/木土さや
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
金沢大学医学部卒。東京医科歯科大学皮膚科学教室で助教および外来医長を務める。専門は毛髪疾患や発汗異常、フットケア。2020年9月より現職勤務。一般皮膚科、美容皮膚科だけでなく、形成外科専門医(院長)も常勤のため、下肢静脈瘤や眼瞼下垂、外傷など幅広い診療が可能。
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