ドロドロした汗をかくとデトックス効果があるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“体臭”について。ドロドロした汗をかくと、デトックス効果があるって…ウソ? ホント? 小杉町クリニックの稲澤美奈子先生にお答えいただきます。
Q:ドロドロした汗をかくと、デトックス効果があるってホント?
サウナやスパなどで発汗を促し、ドロドロした汗をかくと、老廃物が排出されてデトックス効果があるというウワサ、耳にしたことがある人も多いのでは? 本当なのでしょうか。
さっそく、この疑問を稲澤先生にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ウソ
「ドロドロと粘り気がある汗をかいたからといって、デトックス効果があった、とはいえません。そもそもドロドロ汗とさらっとした汗は、出る汗腺が違うのです。汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類があって、ドロドロ汗はアポクリン汗腺から出る汗。脂質やたんぱく質などニオイのもととなる成分を多く含んでいるので、その汗をかくと、体内からクサイものが出た、よってカラダの中がキレイになったというイメージがあるかもしれませんが、違います」(稲澤先生・以下「」内同)
- 汗腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類がある
- アポクリン汗腺から出る汗は、脂質やたんぱく質などニオイのもととなる成分を多く含んでいて、ドロドロ汗になりやすい
汗にはよい・悪いの種類がある?
「エクリン汗腺から出る汗の場合、汗腺機能が正常であれば、小粒で水のようにサラサラしていて、蒸発しやすく、無味無臭です。これが一般的に、“よい汗”と呼ばれるものです。ですが、冷房などの環境に慣れてしまって汗腺機能が衰えていると、ミネラルの再吸収がうまくいかず、大粒でベタベタとした、“悪い汗”をかいてしまうことがあります。アポクリン汗腺から出るドロドロ汗が脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を多く含んでいるのに対し、エクリン汗腺からの悪い汗は、体に必要なミネラルを奪ってしまうため、夏バテや熱中症の原因となることもあるのです」
なかなか汗をかけない場合は?
「個人の汗腺の量は、2歳までに決定するといわれています。しかし、大人になってから汗をかきにくくなった…という場合は、運動不足や冷房に慣れた生活環境によって発汗機能が衰え、低下してしまう休眠汗腺が考えられます。よい汗をかくためには、休眠汗腺を目覚めさせることが必要不可欠です」
サラサラ汗の“よい汗”をかくためには?
「衰えてしまった汗腺を鍛え、発汗機能を高めることが大切です。そこでオススメなのが、“発汗トレーニング”。熱めのお湯に手足をつけて温める手足高温浴や、ぬるめのお湯でゆっくり半身浴をするとよいでしょう。体の内側からじんわり汗をかくことがポイントです。また、1日20~30分程度の有酸素運動やウォーキングも効果的ですよ」
Point
・1日20~30分程度の有酸素運動やウォーキングを行う・手足高温浴や長めの半身浴をして、発汗を促す
・汗をかくための生活習慣を身に付ける
文/木土さや
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
金沢大学医学部卒。東京医科歯科大学皮膚科学教室で助教および外来医長を務める。専門は毛髪疾患や発汗異常、フットケア。2020年9月より現職勤務。一般皮膚科、美容皮膚科だけでなく、形成外科専門医(院長)も常勤のため、下肢静脈瘤や眼瞼下垂、外傷など幅広い診察が可能。
小杉町クリニック