健康・ヘルスケア
2021.6.23

赤ちゃんのあせもやオムツかぶれ、虫刺されを防ぐにはどうしたらいい? ステロイドを使っても大丈夫?【女医に訊く#163】

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気温も湿度も高まると増えてくるのが、赤ちゃんのあせも、オムツかぶれ、虫刺されなどの肌トラブル。これらを防ぐ方法やケアする方法について、小児の肌に詳しい皮膚科専門医の村田奈緒子先生に教えていただきました。

汗をかいたら、こまめに着替えるか洗い流して

夏は汗に要注意! 汗をかくことは決して悪いことではありませんが、かいた汗を放置すると、あせもになったりかぶれたりしてしまいます。

「あせもができると、かゆくて引っ掻いた傷から細菌が入り込み、感染してとびひ(伝染性膿痂疹)になることもありますから、そうなる前に皮膚科に相談していただきたいですね」と話すのは、皮膚科専門医の村田奈緒子先生。

汗をかいたときは、こまめに着替えるか、シャワーで汗を洗い流して。服の着せ過ぎであせもになるケースも多いため、外出時はロンパースなど脱ぎ着しにくい服装は避け、上下分かれた着脱しやすい服や、汗を吸いやすい肌着を着せてあげましょう。

「汗腺は3〜4歳までにある程度、発達するといわれています。赤ちゃんは汗腺が未熟で体に熱がこもりがち。特に、寝ている間は体温が上がって背中に汗をかきやすいので、汗取りパッドなどを挟むようにしてあげてください。また、エアコンも上手に活用してあげるといいですね」(村田先生)

ただし、エアコンの風が赤ちゃんに直接当たらないように工夫を。室温は外の気温マイナス5℃、湿度は50〜60%をキープすると、快適に過ごせます。

オムツはこまめに替えてお尻を清潔に保って

オムツかぶれ(オムツ皮膚炎)とは、オムツで覆われている部位にブツブツした赤みや皮むけ、傷ができる症状のこと。その原因は「摩擦」と「蒸れ」にあります。

オムツをつけていると、肌とオムツが擦れて肌の表面にある角質層がダメージを受けることも。また、オムツの中は高温多湿になりがち。蒸れによって肌がふやけ、バリア機能が低下したところに、尿や便、汗などの刺激物がつくと、炎症が起こりやすくなるのです。

「オムツかぶれでなかなかよくならないときは、カンジダという真菌(カビ)が原因の可能性があります(カンジダ皮膚炎)。カンジダ菌がいるかどうかは、見た目ではわからないと思いますので、赤ちゃんのおしりが赤くなったら皮膚科を受診してみてください」と村田先生。

村田先生によると、オムツかぶれを防ぐには、オムツをこまめに替えて、座浴やシャワーでお尻をきれいにしてあげるといいそう。

「外出先などでシャワーが難しいときは、ペットボトルのシャワーやスプレーでの簡易洗浄もおすすめです。お尻をきれいにしたら、プロペトやワセリン、クリームで肌を保護してから、新しいオムツをはかせてあげましょう」(村田先生)

肌をこすりつけてくるのは「かゆい」というサイン

6月は蚊やブヨに刺されたり、草でかぶれたりする子どもが急増する時季。子どもは虫に刺されると、腫れたり熱を持って痛くなったりすることも。流水で洗って冷やしても赤みや痛みが引かないようなら、皮膚科を受診しましょう。

「外で遊ぶときは、虫よけスプレーを使用してください。虫よけスプレーは、子ども用や敏感肌用を選んでもらった方が、肌あれを防げると思います。また、発汗量の多い子どもは、2時間ほどしたらつけ直すと効果的といわれています」(村田先生)

赤ちゃんの場合、あせもやかぶれ、虫刺されで肌がかゆくなっても、言葉で訴えることができません。保湿ケアの際、明るい場所で肌をよく観察することも大切ですが、ほかにも見逃してはいけないサインがあると村田先生は言います。

「例えば、抱っこしたときにお母さんの胸元に頬をこすりつけたり、寝ているときにマットに頬をこすりつけたりしているのは、頬がかゆいというサイン。赤みがあるようなら、皮膚科を受診していただいた方がいいと思います」(村田先生)

赤ちゃんにステロイド剤を使っても大丈夫?

皮膚科に行くと処方されるステロイド外用薬。医師の指示どおりに使っていますか? 「ステロイドを使うと肌が黒くなる」「一度使うとやめられなくなる」など、間違った情報を鵜呑みにして、自己判断で使用を中止したり、自分に処方されたステロイドを子どもに塗ったりしてはいないでしょうか?

「ステロイドを使ったら、日光に当たってはいけないとか、色素沈着になると思っているお母さんが多いのですが、ステロイドで色素沈着になるわけではなく、湿疹などの炎症が治まり、その結果として色素沈着になるのです」と村田先生。

「赤ちゃんにステロイドを塗ることを心配されるかもしれませんが、症状に応じた短期的な使用であれば、それほど心配する必要はありません。皮膚科医は患者さんの年齢や使う部位、炎症の程度によって、ステロイドの強さや使用期間を使い分けて処方しています。正しくお使いいただければ、ステロイドを使った方が、早くきれいに治りますよ」(村田先生)

皮膚科専門医

村田 奈緒子先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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