赤ちゃんにも日焼け止めは必要? 紫外線はまったく浴びない方がいい?【女医に訊く#162】
美肌にとって紫外線は百害あって一利なし! お子さんのお散歩や外遊びに付き添う際、ママの紫外線対策は欠かせません。では、子どもたちの紫外線対策はどこまですればよいのでしょうか? 小児の肌に詳しい皮膚科専門医の村田奈緒子先生に、子どもの紫外線対策について教えていただきました。
赤ちゃんに日焼け止めを使ってもいいの?
子どもの肌にとっても紫外線は天敵! 紫外線をたくさん浴びすぎると、シワやシミなどの皮膚老化を早めるだけでなく、将来、皮膚ガンを起こしやすくなったり、目の病気(白内障、翼状片、網膜のメラノーマというガンなど)を起こしやすくなったりするということがわかっています。
とはいえ、赤ちゃんの肌は薄くてデリケート。ママと同じように日焼け止めを塗っても大丈夫なのでしょうか?
「6か月までのお子さんは肌も弱いので、露出している部分の肌をお洋服などで覆うなどして、直射日光が当たらないようにした方がいいと思います」と話すのは、皮膚科専門医の村田奈緒子先生。
「子どもに日焼け止めを使う場合は、日常使いでしたら、SPF10〜20、PA+〜++程度のもので充分。あまり刺激が強いものではなく、紫外線吸収剤が入っていない反射剤のみのものがいいかと思います。また、できればお湯で落とせるものを選んであげましょう」(村田先生)
紫外線をまったく浴びない方がいい?
くる病(骨軟化症)はビタミンD不足によって起こる病気です。ビタミンDは日光を浴びることで体内産生されることから、完全に紫外線を止めることも問題です。近年のビタミンD不足は、完全母乳栄養の普及、アレルギー対策としての食事制限や偏食、極端な紫外線対策などが考えられています。
「確かに、極度に紫外線を避けることで、ビタミンD不足に陥る可能性があります。しかし、ビタミンDはキノコ類や魚介類など、食事から摂ることもできます」と村田先生。
特に、母乳は人工ミルクに比べてビタミンD濃度がかなり少ないことがわかっています。完全母乳の場合はキノコ類や魚介類を含んだ離乳食メニューなどを取り入れるなどして、ビタミンD不足を解消しましょう。
※1日に必要な日光の量は、季節や住んでいる地域によって異なります。公的機関が目安を出していますので参考にしてみてください。
日焼け止めを塗ったときは保湿はいらない?
以前、保湿は朝と夜の1日2回行うのが理想的とお話しました。日焼け止めを塗るときは、保湿はしなくてもいいのでしょうか?
「日焼けすると表皮が傷になってしまいますから、保湿剤を塗って肌を保護してから日焼け止めを塗った方がいいですね。子どもの場合、何度も同じところを日焼けして表皮に炎症が起きると、湿疹になりやすいので、注意しましょう」(村田先生)
日焼け止めを塗ったときは、帰宅後、お湯や洗浄料でしっかり落としてから保湿をして。日焼けをしてしまったときは、冷やして肌のほてりを抑えてから、たっぷりと保湿してあげましょう。赤みや痛みが消えないときは、皮膚科の受診をおすすめします。
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池上コスモス皮膚科院長。皮膚科専門医。日本アレルギー学会、日本美容皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本レーザー医学会所属。奈良県立医科大学医学部を卒業後、横浜市立大学附属病院、相模原病院などを経て、2020年、池上コスモス皮膚科を開院。自身の育児経験を生かし、親子の気持ちに寄り添った診療で地域医療を支えている。