健康・ヘルスケア
2021.6.18

あなたは大丈夫? 顔や足、股間にカビ!? 人体に悪さをするカビって?

温度や湿度が高く、じめじめする環境は、カビにとって絶好の棲み家。増殖力が高く、やっかいな存在です。さらに、実は肌や体に棲みつくことも…!?今のプチ不調の原因かもしれません…!

実は体のあちこちでも見えないフワフワ、ベトベトが繁殖中!?

1個1個は見えないカビも増殖するとトラブルのもと!

私たちが通常「カビ」として目にするのは、住まいや衣類などにくっついて取れない黒っぽい汚れ。あるいは腐敗した食品に生えたフワフワの白や青の菌。でも、空気中にはそれより遥かに多い見えないカビが漂い、また皮膚の常在菌にもミクロのカビがたくさんいます。つまり人の体は、常にカビの脅威に晒されている状態です。

「空気と一緒に吸い込んだカビの胞子が気管支や肺で根を張って増殖すると、感染症やアレルギー疾患を引き起こすことがあります」と真菌の研究と臨床に携わる亀井克彦先生。皮膚科医の関東裕美先生も、「皮膚に常在するカビも、好みの温湿度環境で異常に増殖すると、炎症やかゆみなどの皮膚トラブルに」と注意を促します。じめじめが続くこれからの季節、住まいだけでなく、体のカビ予防&退治も徹底して!

空中に浮遊するアスペルギルス、クロカビ、クリプトコッカスなどが気管支や肺に入り込んで定着すると、感染症やアレルギー症状の原因に。皮膚に常在する白癬菌、マラセチア菌、カンジダ菌も、過剰に増えると炎症やかゆみを引き起こす。

 

住まいのカビは水や汚れの多い場所でゾッとする程増殖!

洗濯槽の裏
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エアコン
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写真提供/ピクスタ

エアコンや洗濯槽の裏など、湿った場所で繁殖し、放っておくとどんどん増えるカビ。一度根づくと簡単には落とせない。同様に温度・湿度の条件がそろうと似た現象が肌や体にも!?

 

人体に悪さをする カビ を解明!!

カビは、感染症をもたらす微生物の一種、真菌の主役

ウイルス
ほかの生物の体に侵入し、その細胞を利用して増殖する。サイズは0.02~0.1μmと非常に小さい。ヘルペスからコロナまでさまざまな感染症を起こす。

細菌
細胞分裂で自己増殖しながら、人の細胞に侵入して病気を起こす。一方、納豆菌など人に有用な細菌、ビフィズス菌など人と共生する細菌も。サイズは0.5〜5μm。

カビ
カビは、きのこや酵母同様、真菌の仲間。胞子と菌糸で構成される。胞子が人の細胞に定着して菌糸を伸ばし、細胞分裂しながら成長、増殖。サイズは約5μm。

原虫
寄生虫のひとつ。直接人に寄生したり、動物を媒介して寄生。相手の生物の組織を食べたり、血を吸って成長し、結果、相手の体にトラブルを起こす。1~20μm。

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※1μm(マイクロメートル)=0.001mm

 

体の表面も内側も、カビの異常繁殖でトラブルに!

「白癬菌、マラセチア菌、カンジダ菌などは皮膚に元々いる常在菌。バランスがくずれて、温度や湿度、皮脂量などがカビ好みの環境になると、増殖が進んで感染症を引き起こします」(関東先生)

「空中に浮遊するカビの中で、人体に入り込んで悪影響を与えるのは、アスペルギルス、クリプトコッカス、クロカビなど。体内は温湿度も栄養もそろっているため、いったんカビの巣ができると、活発に増殖します」(亀井先生)

カビは温か&じめじめ環境が大好き!

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「カビが好む温度は25~30℃、湿度は65%以上。そこにたんぱく質や皮脂、ホコリや汚れなどエサになる有機物と酸素(空気)があれば、カビは活発に増殖します」(亀井先生)

 

千葉大学真菌医学 研究センター 教授

亀井克彦先生

東邦大学医療セン ター 大森病院 皮膚科 臨床教授

関東裕美先生

 

『美的』2021年7月号掲載
イラスト/白ふくろう舎 構成/つつみゆかり、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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