乳首の白いカスを放置するとイヤな臭いがするってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“バストトップのトラブル”について。乳首の白いカスを放置するとイヤな臭いがするって…ウソ? ホント? ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長・島田 菜穂子先生にお答えいただきます。
Q:乳首の白いカスを放置するとイヤな臭いがするってホント?
バストにまつわるウワサは数多くありますが、乳首の先端に付着している白いカスを放置すると、異臭が放たれる…というウワサが。本当なのでしょうか。さっそく、この疑問を島田先生にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ホント
「女性ホルモンの働きにより、乳房内で自然に水分が溜まることがあります(乳腺嚢胞)。乳房内で溜まった水分は、乳管を通り、乳頭へ出ていきます。ポタポタ垂れ落ちるような分泌の量はありませんが、ごく少量の分泌物が出る場合があり、ほとんどの場合は気づきません。しかし、たまに分泌物が乾燥した場合に、乳頭に白いカスのように付着することがあります。そのまま白いカスを放置しておくと、かゆみの原因になることもあります。さらに、分泌物には、栄養に富んだたんぱく質も含まれているので、ばい菌にとってはよい餌となるわけです。すると、細菌が感染することでイヤな臭いを引き起こすことがあるのです」(島田先生・以下「」内同)
- 白いカスの正体は、乳房に溜まった水分
- 乳管を通り、乳頭へごく少量の分泌物として出る場合がある
- 分泌物が乾燥すると、乳頭に白いカスとして付着する
- 分泌物には、ばい菌の餌となる栄養に富んだたんぱく質が含まれている
- 細菌感染すると、イヤな臭いを引き起こす
セルフでできるケア方法はある?
「神経質に洗いすぎてしまうと、かえって皮膚トラブルを招いてしまう恐れがあります。ベストなのは、お風呂上りで皮膚が柔らかくなったタイミング。綿棒にベビーオイルを湿らせ、やさしく拭うようにするときれいに取れますし、乳頭の保湿やスキンケアもできるので一石二鳥ですね」
細菌に感染すると、どのような症状が起きるの?
「軽いものだと乳頭の皮膚のかゆみや乾燥などが起こります。また乳頭には、じょうろの口のように15~16本の小さな穴があいており、乳頭~乳腺に繋がる乳管と呼ばれる通路があります。ここに炎症が起きると、中にばい菌が入り、乳腺炎になったりするのです。乳腺炎は授乳中になるものというイメージが強いかもしれませんが、そうではありません。
陥没乳頭の場合は、老廃物が溜まったままになりやすく、そこに感染を起こして炎症を起こす可能性が高いです。また、因果関係ははっきりしていませんが、喫煙している女性は感染を繰り返しやすく、乳輪の下に膿が溜まってしまう“乳輪下膿瘍”を起こしやすいといわれています。
皮膚表面のトラブルなら皮膚科でOKですが、バスト全体が痛いとなると、乳腺科にかかってもらう必要があります。早い段階で来てもらえれば、消炎剤や抗生物質で治ります。タイミングが遅れてしまうと、針で抜いたり、切開したりして、膿を出さなければなりません。ほとんどの場合は日帰りで治療できますが、治るまでには長く日数がかかることもよくあります。赤くなった、痛みがでてきた、いつもと違うと感じたら、早めに乳腺科を受診してくださいね」
Point
・軽いものでは、乳頭の皮膚の痒みや乾燥がある・乳管に炎症が起きると、乳腺炎を引き起こすこともある
・因果関係ははっきりしていないが、喫煙している女性は乳輪下膿瘍のリスクが高い
・早い段階で受診すれば、消炎剤や抗生物質で治る
・タイミングが遅れてしまうと、針や切開をして膿を出さなければならない
・いつもと違うと感じたら、早めに乳腺科を受診する
文/木土さや
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長
認定NPO法人 乳房健康研究会 副理事長
1986年筑波大学医学専門学群卒業後、筑波記念病院およびつくばメディカルセンター放射線科を経て1991年東京逓信病院乳腺外来開設、米国ワシントン大学メディカルセンターブレストヘルスセンター留学後、2000年NPO法人乳房健康研究会を立ち上げ日本でピンクリボン活動を始動。2008年ピンクリボンブレストケアクリニック表参道開設。患者ひとりひとりの心に優しく寄り添う診療の傍ら、乳がんに関する正しい情報の発信と、死亡率低下に貢献するためのピンクリボン活動も展開している。乳がん撲滅への願いを込めて東京2020聖火ランナーを務める
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道