レーシックで視力が回復してもいつか戻るってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「目」について。レーシックで視力が回復してもいつか戻るってホント? 吉祥寺森岡眼科の院長、森岡清史先生にお話を伺いました。
Q:レーシックで視力が回復してもいつか戻るってホント?
近視や遠視、乱視を治療するレーシック。術後はよく見えるようになるものの、時が経つとまた視力が下がってしまうというウワサが。さっそく、この疑問を森岡先生に聞いてみました!
A:ホント
「レーシックというのは角膜の中の実質というところを削り、少しフラットな状態にすることで屈折率を矯正します。ですが、削った実質が戻ってしまったり、削りが足りなかったりすると戻ってしまうことがあります。それから、近視の人はレーシックで矯正する屈折性近視以外の近視が進んでしまえば、また視力が下がるということがあります」(森岡清史先生・以下「」内同)
視力が戻ってしまう原因は?
「人間の体は傷を治したり、修復する作用がはたらきますよね。目にもそれと同じように、削った部分をもとに戻そうとする作用がはたらきます。そうすると、視力が戻ってしまうということが起こります。しかし、近視の戻りが起こる人より、治療後の視力が安定する人のほうが多いというのが事実です。
また、近視の矯正のためにレーシックを受ける人が多いと思いますが、近視だった人は近視が進むような環境で過ごしていることも多いです。そのため、眼軸が伸びることで起きる“軸性近視”になることもあり、そうするとレーシックで矯正した“屈折性近視”とは違う部分が問題になるので、再び視力が低下してしまうことが考えられます」
レーシックの進化系スマイル手術
「今ではレーシックより傷口を小さく済ませるSMILE手術というものがあります。SMはSMALLの略で、小切開を意味していて、小切開でできるレーシック手術と思っていただければ良いと思います。小切開なので、傷口も小さく済ませられるため、安全ですし、さらに回復も早いようです」
老眼も手術で治る?
「老眼も治るというか、手術で矯正することは可能です。レーシックと同じように角膜をめくり、黒いリング状のフィルムを挿入するもので、ピンホール効果によって老眼を治療するというものになります。しかし、これはやっている医院も少なく、主流ではないのかもしれません。最近では眼内コンタクトレンズの遠近両用も出てきていて、それを入れると近視で老眼という人の矯正も可能なので、眼内コンタクトレンズを選ぶという選択肢もありますね」
眼内コンタクトレンズとは?
「近視治療でポピュラーになっているレーシックは近視の戻りというリスクがあります。しかし、ICL(眼内コンタクトレンズ)というのは虹彩と水晶体の隙間に完成度の高いレンズを入れることで視力を矯正します。レンズを毛様溝という溝の部分にはめると、半永久に固定され、1回入れてしまえばズレることはほぼありません。レーシックのように角膜を削ることがないので、見え方の質も高く、視力の戻りのリスクも少ないです。もちろんコンタクトやメガネからも開放されますし、お手入れも要りませんから、画期的なものです。白内障の手術をする場合は眼内レンズをいれるため、取り出す必要がありますが、手術の必要がなければ入れっぱなしで過ごすことができます。費用はレーシックと同じように自由診療になるので両目の治療で相場が70〜80万円ほど。僕の医院だと60万円ほどでやっています。クリニックによって費用は変わってくるので、そちらも確認してみると良いかもしれません」
文/土屋美緒
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浜松医科大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科にて網膜色素上皮細胞の研究に従事し、同大学院を修了。医学博士授与、日本眼科学会眼科専門医認定。都内の眼科に勤務後、吉祥寺森岡眼科を開設。視覚身体障害者指定医・難病指定医でもある。著書は「目は10秒でもっとよくなる!—すぐできる目ヂカラの強化書」(自由国民社)、「見える力がよみがえる 立体 遠近トレーニング」(サンクチュアリ出版)。
吉祥寺森岡眼科