「プロテインを摂ると太る」ってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“運動”と“老化”の関係について。プロテインを摂ると太るって…ウソ? ホント? 立命館大学 スポーツ健康科学部 藤田聡教授にお答えいただきます。
Q:「プロテインを摂ると太る」ってホント?
女性向けのプロテインも数多く発売され、毎日取り入れているという人も多いかもしれません。その一方で、根強く囁かれるのが「プロテインを摂ると太る」というウワサ。これって本当なのでしょうか。さっそく、この疑問を藤田教授にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ウソ
「市販のプロテインは、大きくふたつに分けられます。ひとつが牛乳から抽出した“ホエイプロテイン”で、もうひとつが大豆たんぱく質から抽出した“ソイプロテイン”です。
ホエイプロテインは、抽出する過程で脂肪や炭水化物が抜けていくため、基本的に成分のほとんどがたんぱく質となります。加工し、糖質などを足していない限りは、余分なエネルギーもありませんから太りにくいです。また、アミノ酸のロイシンが豊富に含まれるので、筋肉をつくるスイッチが入りやすくなるというメリットも大きいです。
一方、ソイプロテインは、含まれるたんぱく質は、ホエイプロテインより少ないのですが、脂肪を分解するホルモンの分泌を助けてくれる“アルギニン”というアミノ酸が含まれています。例えばホエイとソイをそれぞれ飲んだあと運動をしたときに、どちらのほうが運動中に脂肪を使うか?という実験をしたところ、ソイのほうが優勢でした。つまり、ホエイはたんぱく質以外の余分なカロリーはありませんし、ソイはそれよりも太らない成分ということになります。プロテインだから太るというのではなく、過剰にエネルギーを摂っているのが原因だと考えられます。
また、気を付けて欲しいのが“プロテインを食事に置き換えて摂取している”というケース。たんぱく質しか摂っていないことになるので、栄養バランスが崩れてしまいます」(藤田教授以下「」内同)
Point
ホエイはたんぱく質以外の余分なカロリーはない、ソイはそれよりも太らない成分。つまり、プロテインだから太るというのではなく、プロテインを摂って太ると感じるときには過剰にエネルギーを摂っているのが原因。プロテイン摂取のメリットとは?
「お菓子やジュース類は、過剰に摂取すると脂質になってしまいます。一方で、たんぱく質は脂肪へ変換するのに、かなりのエネルギーを必要とするため、効率が悪く太りにくいというわけです。さらに、満腹中枢を刺激するので、食後の満腹感を高め、腹持ちもアップしてくれるというメリットも。たまには、いつものおやつをケーキからプロテインバーをセレクトしてみる、というのもよいかもしれません」
理想的なプロテインの摂り方は?
「まず、食事でどれくらいのたんぱく質を摂っているか、というのが大事。食事摂取基準では、1日50~60gが理想です。3回の食事でまんべんなく摂取したいので、1食あたりのたんぱく質の必要量は20g。
ところが…多くの人の場合は、朝食のたんぱく質の摂取量は約12gといわれています。朝食で足りないたんぱく質を補うためにプロテインを摂取するのが理想ですが、注意したいのがタイミング。朝食前にプロテインを飲むと、腹持ちがよいために、お腹がいっぱいになって朝食が食べられないということも…。プロテインは、朝食後に摂取するようにしましょう。
筋肉をつくることを目的とせず、足りないたんぱく質を補いたいという場合には、ホエイでもソイでも、どちらをセレクトしてもOK。好みや味で、自分に合う商品を見つけてみて」
Point
「朝食を摂ったあと、食事で足りないたんぱく質をプロテインで補う」というのがベター。- 理想的なたんぱく質の必要量は、1食あたり約20g
- プロテインを摂取するタイミングは、朝食後
- 足りないたんぱく質を補う場合、ホエイ、ソイどちらでもOK
文/木土さや
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
・2002年南カリフォルニア大学大学院博士課程修了
・博士(運動生理学)
・専門は運動生理学、特に運動や栄養摂取による筋肉の代謝応答
藤田研究室twitter