「お酒が唯一の楽しみ。やる気がなく集中力がもたなくなった気が…」|“ウツっぽ”診療ルーム カルテ5
コロナ禍でなかなか外出することができず、趣味から遠ざかっていた方も多いのではないでしょうか。今回は、オンライン中心の生活ゆえにお酒が唯一の楽しみ…という『美的』読者のお悩みについて、「VISION PARTNER メンタルクリニック四谷」院長の尾林誉史先生からアドバイスをいただきました。
カルテ5
自炊しながらのお酒が唯一の楽しみ…
Tさん(塾講師/38歳) 夫と二人暮らし
【現在の環境について】
何をやってもやる気が出ません。以前は展覧会や映画に行くことが楽しみだったのですが、劇場や映画館に行けなかった日々が続いたせいか、今はオンライン中心で生活にメリハリがないというのが原因かもしれないです。大好きな外食にもなかなか行けないので、自炊をしながらお酒を飲むことが唯一の楽しみになりつつあります。
【心の不調について】
やる気がなく、集中力がもたなくなった気がします。楽しみがないせいか、食欲もあまりなく、何を食べてもおいしく感じません。気分転換にランチぐらいは外食しようかと思いますが、身支度をするのが面倒になって、一歩も外へ出ない日もあります。夫はお酒が飲めないので、ひとりで飲むのもなんだか寂しいと感じることもあって情緒不安定です。
「適切な睡眠時間を確保できているかが重要です」(尾林先生)
「これらの不調に加えて、いい睡眠がとれていなければ要注意。適切な睡眠時間には個人差がありますが、長く寝すぎないよう心掛けてください。お酒を飲むことが気分転換というのは悪くないのですが、あくまでも適量が大前提。ストレス解消の一環としてその量が増えると、アルコール中毒の危険性も。外出が面倒でしたら、まずは自宅で簡単なヨガやストレッチを始めてみてはいかがでしょう。適度な運動習慣は自律神経を安定させてくれます」
前回までの「“ウツっぽ”診療ルーム」はこちら
カルテ1「コロナで人付き合いが激減。食も楽しめない」
カルテ2「コスメを見てもワクワクしない。自分を卑下して暗い気持ちに…」
カルテ3「物覚えの悪い後輩に対してモヤモヤ。心や体調も不調」
カルテ4「在宅勤務で夫にイライラ。気持ちが落ち込みやすく…」
『美的』2021年1月号掲載
イラスト/松元まり子 構成/宮田典子(HATSU)、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
おばやし たかふみ/東京大学理学部卒業後、「リクルート」に入社。その後、弘前大学医学部学士編入、東京都立松沢病院を経て、東京大学医学部附属病院精神神経科に所属。今年5月にカウンセリングをもっと気軽に受けてほしいとクリニックを開業。