片頭痛は治らないってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「片頭痛」について。片頭痛は治らないって…ホント? 東京頭痛クリニックの丹羽潔先生にお話を伺いました。
Q:片頭痛は治らないってホント?
ストレスや気圧の変化、遺伝性など様々な要因で起こる片頭痛。薬で痛みを抑えたり生活習慣を見直すといった治療を行っても、完治することはないのでしょうか? さっそく、この疑問を丹羽先生にぶつけてみました。
A:ウソ
頭痛持ちとは…
「頭痛持ちとは、月に1回以上頭が痛くなる人のこと。痛みが完全になくならないにせよ、発作の頻度が減る、痛みの波が小さくなるといった変化で頭痛の存在を忘れられたら、その状態を“治った”と表現しても良いかと思います」(丹羽先生・以下「」内同)
片頭痛の原因は?
「片頭痛は遺伝性疾患であると同時にあらゆる環境要因が絡みます。一概に治るとは言い切れませんが、生活の中でセルフコントロールすることで完治に近くはなるはずです」
片頭痛を治すには?
「片頭痛で日常に支障をきたすほどの症状が出るならば、市販薬ではなく当院のような頭痛専門の医療機関を頼っていただきたいですね。トリプタンをはじめとする片頭痛の鎮痛剤は日本には5種類あり、専門外来ならば多角的に捉えた診察のもと適切な薬を処方することができます。
痛みを感じてすぐに医者にかかることは難しいと思うので、痛みの状況を把握するためにクリニックでは頭痛日記をつけてもらうことも。これによってより明確に頭痛の傾向を知ることができるので、地方から時間をかけて通院してくださる人もいらっしゃいますよ」
日常生活で気をつけるべきポイントは?
「一番大切なのは、片頭痛が起きるきっかけになり得るものを可能な限り避けることです。寝過ぎて頭が痛くなるなら休日にダラダラ寝ない、外が眩しいときはサングラスをかける、騒音が気になるならヘッドホンなどで好きな音楽を聞く…など。なかなか完全にシャットアウトすることはできないかもしれませんが、片頭痛と上手くお付き合いするサイクルを作っていきましょう。
片頭痛は血管が拡張することで起きるため、適度に交感神経を刺激して血管を収縮させてあげるのも良いですね。リラックスして副交感神経が働きすぎるとセロトニンの分泌が減り、片頭痛を誘発する原因となります。そのため、セロトニンを増やすことは治療に対してとても効果的なのです。セロトニンを増やす近道は、
- 毎日リズミカルな運動を5分程度行う(ウォーキングや足踏みでOK)
- どんなに眠くても一度ベッドから出て朝日を浴びる(メラトニンをセロトニンに変化させる)
- 寝る前にリラックスできる時間を設けて睡眠の質を高める
これだけです。あとは欲しいものを手に入れた時でもセロトニンは分泌されるので、思い切ってご褒美買いするのも良いと思います」
“愛情ホルモン”の活性化が緩和につながる
「アメリカではオキシトシンも効果的とされ、治療薬としても用いられています。セロトニンが“幸せホルモン”と呼ばれるのに対し、オキシトシンは“愛情ホルモン”と呼ばれています。ペットと触れ合ったり、気の置けない友人との会話や恋人とのハグなど、自分が癒されると感じる対象との接触によってたくさん分泌されるのがオキシトシンです。
今はコロナ禍ということもあって物理的な接触が難しいこともありますが、可能な範囲で大切な人との時間を増やすと片頭痛の緩和につながるのではないかと思いますね」
文/井上ハナエ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
東京頭痛クリニック理事長。東海大学医学部を卒業後、ドイツ、アメリカへ留学。大学病院で頭痛や脳卒中を中心に脳神経内科診療・研究に携わり、2005年に日本で開業医としての道を歩み始める。自身も片頭痛や群発頭痛といった頭痛症状と戦いながら頭痛外来の開設を果たし、国内外より好評を受けて2015年に「東京頭痛クリニック」を開院。頭痛のエキスパートとして講演会やメディア出演も多数。著書に『めまいを治す63のワザ+α』(保険同人社)、『神経救急・集中治療ハンドブック 第2版』(医学書院)などがある。
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