「次々と細かいことが気になる」「環境の変化がストレス」…仕事に関する“敏感さん”あるあると対処法とは?
音など五感の刺激が人より気になる、他者の気持ちを敏感に感じとってしまうため気疲れしやすい…それって「HSP(=ひといちばい敏感な人)」かも? 今回は『美的』読者の“敏感さん”から寄せられた、「こんなことに困ってます…」をご紹介!仕事から読み解く「敏感さんあるある」と「対処法」について教えていただきました。
次々と細かいことが気になり、業務時間が長引いてしまう
「メールを1本書くのにもAを添付したほうが親切かな、その前にBの資料を読むべきかな、そのためにはCさんにまず連絡を…といろいろ考えてしまうんです」(営業・28歳) など、“とりあえず進める”が苦手、という声が。「上司に要領が悪いと思われていそうで心配…」(マスコミ・30歳)という不安も。丁寧な仕事ぶりは決して悪いことではないけれど、「効率をもう少し良くしたい!」というお悩みへの対処法は?
→業務のリスト化をし、優先順位をつける練習を。焦らず、丁寧な仕事をしているという見方に転換してみても!
「業務のリスト化をし、緊急度と重要度を基準として優先順位をつけて」(北川清一郎先生)
「優先順位の低いものまでやろうとしてしまいがちなので、意識的にすべては見ないようにすることも大事です」(明橋先生)
「HSPは細かいことまで気づいて準備をするので、始めるまでに時間がかかるのが特性。周囲から何も言われていないなら問題なし。急ぐとかなりの確率で失敗するので、最終的にいい仕事ができているかに焦点を当てて」(佐々木先生)
部署異動、業務変更などによる環境の変化が極端にストレス
自分自身の異動はもちろん、上司の異動などにも敏感に反応。「昔から環境の変化が苦手。直属の上司が変わったら業務の進め方にも変化が出て…しばらく慣れず残業続きでやつれました」(事務・32歳) 、「知らない人相手だと気疲れしてしまうので、毎年異動のシーズンになるとハラハラします」(総務・29歳)など、ストレスを感じてしまいがち。変化や変更の詳細をできるだけ早く知って、心構えしておくことが大事。
→可能な限り事前に情報収集し、心の準備を。変化後は日常のルーティンを維持して調子を取り戻すきっかけ作りに
「周りに理解のある人がいれば『業務内容の急な変化に対応が難しいので、あらかじめわかっていることがあれば教えてほしい』と伝え、サポートをお願いしておくと◎」(北川先生)
「変化によって負荷が減り、元気になることもあると、まず考えましょう。状況が変化して調子をくずしてしまったときは、日常のルーティンを維持するのがおすすめ。朝起きて散歩をするなど、日頃の行動を継続することで、調子を取り戻すことができます」(佐々木先生)
お話を伺ったのは…
真生会富山病院 心療内科医 明橋大二先生
あけはし・だいじ/精神病理学、児童思春期精神医療専門。真生会富山病院心療内科部長を務めるほか、児童相談所嘱託医など子供の問題に多数関わる。HSPの子供版“HSC”の日本における第一人者で、著作も多数。
公式HPはhttp://www.akehashi.com
STトータルセッション 主宰・臨床心理士 佐々木智城先生
ささき・ともしろ/星槎道都大学社会福祉学部准教授。臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士。札幌と帯広にある心理臨床サロン「STトータルセッション」(https://www.st-total-session.jp)にて、トラウマ、HSPを中心に心理療法を提供。オンラインも受付。
心理オフィスK 主宰・臨床心理士 北川清一郎先生
きたがわ・せいいちろう/臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラー、認定心理士ほか多数資格取得。横浜のカウンセリング専門機関「心理オフィスK」(https://s-office-k.com)の代表として、年間約1,200件のカウンセリングと多くの症例に触れている。
『美的』2020年9月号掲載
イラスト/高野 優 構成/加藤絢子(本誌)、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。