健康・ヘルスケア
2020.5.29

食物繊維をたくさん摂るとむしろ便秘になるってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

A:半分ホント。半分ウソ。便秘になるかどうかは食物繊維の性質によります

「まず、食物繊維は大きく分けて不溶性と水溶性の2種類あります。簡単に説明すると、不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸のぜんどう運動を活発にして便通を促してくれます。一方、水溶性食物繊維は水に溶けると粘度を増して食べ過ぎを防いだり、善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれるはたらききが。

ひどい便秘症の人が不溶性食物繊維ばかりを摂取した場合、出にくくなる可能性はあります。理由はふたつ。ひとつめは、不溶性食物繊維が含まれる食品はよく噛んで食べるものが多く、消化に時間がかかるということ。そしてもうひとつは、腸があまり動いておらず、腸内に硬い便が残っているところに不溶性食物繊維を摂ると便がぎゅっと圧迫されてしまい、より排泄しにくくなってしまうからです。

なかなかお通じがない人は、水溶性食物繊維を含む食品を積極的に摂取し、水分量を増やしてやわらかい状態にすることで排便を促せます。反対に、お腹をくだしやすい人は不溶性食物繊維を多く摂取して便形を保てるようにするなど、状態合わせて食物繊維の摂り方を調整してみましょう」(小林先生・以下「」内同)

食物繊維の適切な摂り入れ方とは?

食物繊維には整腸作用のほかにも、血糖値の急上昇を抑えたり血液中のコレステロール値を下げるなどさまざまな作用が。生活習慣病の予防に役立ち、摂取量が少ないと大腸がん発生のリスクが高まるとも言われ、いまや五大栄養素に次ぐ第六の栄養素と呼ばれるように。便秘症に限らず、日常的に正しく摂取することで健康状態をキープできそうですね。食物繊維を効率的に摂取するポイントを小林先生に教えていただきました。

「腸内に溜まった老廃物や有害物質を体外に排出してくれる不溶性食物繊維と、腸内環境を整えてくれる水溶性食物繊維。どちらか一方に偏るのではなくバランスよく摂取していただくのが大切です。食品もご自身のライフスタイルに合わせて摂取しやすいものを取り入れると良いと思います。

■不溶性食物繊維を多く含む食品

葉物野菜、玄米、いも類、きのこ類、豆類、ナッツ類など

■水溶性食物繊維を多く含む食品

長芋・里芋・オクラ・納豆などネバネバ系の食品、海藻類、果実など

また、最近は食物繊維や難消化性デキストリン入りの機能性食品をコンビニやスーパーでも買えるようになりましたよね。なかなか食事の時間が取れないという人は適度に取り入れても良いかもしれません。ただし、難消化性デキストリンは水溶性食物繊維なので、お腹がゆるい体質の人は大量摂取しないように注意しましょう」

 

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小林メディカルクリニック東京
院長

医療法人社団順幸会『小林メディカルクリニック東京』で理事長・院長。内科や皮膚科、アレルギー科を始め、便秘外来や人間ドッグなど全身の不調に対応した診療をおこなう。女性に多い便秘に対して医学的観点だけでなく食事や運動といった生活習慣からの指導により、便秘を健康的かつ根本的な改善へ導く”健美腸ドクター”としても名高い。著書に「医者が教える最高の美肌術」(アスコム)、「女性の自律神経の乱れは腸で整える」(PHP研究所)など。 ■ 小林メディカルクリニック東京

取材・文/井上ハナエ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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