健康・ヘルスケア
2019.10.16

合わないコンタクトが頭痛や吐き気、ドライアイを引き起こす!?【女医に訊く#79】

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使い捨てソフトコンタクトレンズが発売されてから28年。日本眼科学会によると、現在、コンタクトレンズ装用人口は全国で1,500万~1,800万人ともいわれ、国民の10人に1人がコンタクトレンズを装用していると推測されています。コンタクトレンズの正しい選び方と使い方について、眼科医の井上佐智子先生に教えていただきました。

コンタクトレンズを買うとき、眼科の検査を受けないとダメ?

目が疲れる、かすむなど、目の不調の原因は、スマホだけではありません。度数の合っていないコンタクトレンズの使用も問題だと眼科医の井上佐智子先生は言います。

「今、コンタクトレンズをネットで買う方が多いんです。定期的に検査しないで、ずっと同じ度数のレンズを買ってしまうから、実際の度数とは異なったレンズをつけることも多い。それが原因でドライアイになったり、眼精疲労を訴えたりする方も多いですね」(井上先生)

自分の目に合わないコンタクトレンズを使い続けると、目の「水晶体」(カメラのレンズに相当)を吊り下げている「毛様体筋」の調整力がさらに弱まり、ますますピントを合わせる力が弱まってしまうだけでなく、頭痛や吐き気といった体の不調へと繋がってしまうこともあります。自覚症状がなくても、定期的な眼科検査はきちんと受けましょう。

コンタクトレンズにはどんな種類があるの?

コンタクトレンズには、大きく分けてソフトレンズとハードレンズがあります。ソフトコンタクトレンズは黒目よりも大きく、水分を含んだ柔らかい材質のため外れにくく、装着しても違和感が少ないといわれています。一方、ハードコンタクトレンズは黒目よりも一回り小さいサイズ。ソフトコンタクトレンズと比べると硬いため、慣れるまで少し時間がかかりますが、取扱いが比較的簡単で乱視の矯正に優れています。

ソフトレンズには、ハードレンズと同じようにレンズケアを行いながら長期間使用するタイプのほか、1日使い捨てタイプ、2週間頻回交換タイプ、1か月定期交換タイプがあります。1日使い捨てタイプはレンズケアの必要はありませんが、2週間頻回交換タイプと1か月定期交換タイプは、目から外したあと毎回レンズケアを行う必要があり、使用期間がくれば新しいレンズと交換します。

「近年、使い捨てコンタクトレンズが人気ですが、ソフトレンズが原因のドライアイが多く見受けられます。気になる方は眼科で涙液の状態を診察してもらい、レンズの素材や時間などを考慮した使用方法を提案してもらいましょう」(井上先生)。

“1日使い捨て”以外のソフトレンズは、結膜炎に注意!

1日使い捨てレンズに比べて、2週間頻回交換レンズや1か月定期交換レンズは安価で人気ですが、使用している人のなかには、「ドライアイのほか、ひどい結膜炎を併発している人も多い」と井上先生は警鐘を鳴らします。

「原因はタンパク質や埃など、レンズケアでは落としきれない汚れ。そのまま次の日も装着することになると、それがアレルギーの原因になる。毎日毎日、アレルゲンを目の中に入れているようなものなのです」(井上先生)

コンタクトレンズには、いろいろな汚れや菌が付着するため、これらが残ったまま装着し続けると、目の病気を引き起こしてしまいます。できれば1日使い捨てソフトレンズを使うことをおすすめしますが、それが難しい場合は、レンズケアを毎日しっかり行い、レンズの交換時期は必ず守りましょう。

 

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眼科医
井上佐智子先生
羽根木の森アイクリニック 院長。慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤助教。日本眼科学会専門医。日本抗加齢医学会専門医。藤田保健衛生大学医学部卒業後、 慶應義塾大学病院など複数の臨床病院勤務を経て、2014年、東京・世田谷区にサロンのような癒し空間を演出した羽根木の森アイクリニックを開業。眼科を専門としつつもエイジング外来に力を入れている。■羽根木の森アイクリニック

文/清瀧流美 撮影/田中麻以(小学館)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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