健康・ヘルスケア
2019.7.3

産後の肥立ちって?産後のトラブル…産後うつと産後の肥立ちと更年期の関係も【女医に訊く#67】

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今回は、出産後に突然襲われる「産後うつ」やいわゆる「産後の肥立ち」について、産婦人科専門医の吉形玲美先生にうかがいました。

出産してから不安になったり落ち込んだりすることが増えた……なぜ?

女性ホルモンに満ちあふれていた妊娠の時期から、女性ホルモンがドスンと一気に落ちる産後は、更年期と似て不安になったり落ち込んだりしやすい時期。特に初めての出産の場合は、右も左もわからないことだらけでパニックに陥りやすく、「産後うつ」になってしまう人も少なくないのだそう。

特に注意したいのは、産後1カ月を過ぎたあたりから。妊娠中は1~2週間に一度のペースで通院したり、産後1カ月くらいまでは助産師さんが授乳の相談にのってくれたり、産科での診療などと、それまで常に見守られていたのが、産後1カ月検診が終わるとパタリとなくなります。すると、突然放り出されたように感じ、「あとは全部ひとりでやるの?」と絶望的な気持ちになってしまうのです。

「産後1か月は睡眠不足なうえ、体の変化や日々の生活でいっぱいっぱい。望んで妊娠、出産した人でも“こんなはずじゃなかった”と感じてしまう人は少なくありません」(吉形先生)

産後うつとは?心と体の不調をチェックしてみましょう!

産後うつは自分では気づきにくいもの。下記のような不調が1か月以上も続くようなら、適切な治療をおすすめします。

心の不調

  • 憂うつだ
  • イライラする
  • 落ち着かない
  • 集中できない
  • やる気が出ない
  • 何に対しても興味がもてない

体の不調

  • 眠れない
  • 食欲がない
  • 疲れがとれない
  • 体がだるい
  • めまいがする
  • 頭が痛い
  • 肩がこる
  • お腹が張る

「最初から自己判断で精神科を検索しなくても、最初は地域の保健師さん、お産をした産婦人科などに相談するのがいいと思います。お産をした病院なら出産経過もわかりますし、精神科もあるような大きい病院だと医療連携もとりやすいです。妊娠初期の頃はクリニックに通っていたというのであれば、そこに戻って相談されてもいいでしょう」(吉形先生)

産後の肥立ちとは…「産後、無理に動くと更年期がひどくなる」って本当?

出産を終えると、お母さんの体は妊娠前の正常な身体に戻ろうとします。この状態を「産後の肥立ち」と言い、医学的には「産褥期(さんじょくき)」と呼びます。

一般的に出産時のいちばんのダメージは出血。お産のときの出血が多かった人ほど回復に時間がかかります。しかし、現代のお産はほとんどが医療機関で管理されてているため、帝王切開などで多量出血の場合でも必要に応じて輸血などの緊急処置に加え、造血剤投与などを行い、退院前にある程度体を整えてくれます。

「ただし、授乳中は自分の栄養が母乳を作るためにたくさん取られているという認識をもって、鉄分やカルシウムをしっかり摂りましょう。食事に不安がある方はサプリメントを使ってもいいと思います」(吉形先生)

お母さんの間では、「産後、無理に動くと更年期がひどくなる」という噂がまことしやかに流れていますが、これは栄養事情が悪く、医療も発達していなかった戦後間もない時代の話だと吉形先生は言います。

「貧血がまだ回復していないのに無理をすると、心臓に負担がかかったり、腎臓に負担がかかったりするということでしょうね。産道の傷がちゃんと回復していて、特に医師から“あなたは貧血がまだ治っていないから運動を控えてね”と言われていなければ、適度に動いていた方が体力が回復し、産後うつにもなりにく良いと思います。お日さまの光を浴びるだけでも心が元気になりうつ予防になりますから、赤ちゃんと一緒にどんどん外に出てくださいね」(吉形先生)

 

産婦人科専門医
吉形玲美先生
浜松町ハマサイトクリニック 婦人科医。医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性栄養代謝学会幹事。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局、准講師を経て、現在非常勤講師に。2010年7月より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科診療のほか、多施設で女性予防医療研究に従事している。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。 ■浜松町ハマサイトクリニック

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

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