健康・ヘルスケア
2019.5.15

妊娠線を消す方法はある?できやすい人や場所、予防法は?【女医に訊く#60】

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妊娠すると、膨らんだおなかの皮膚の内側に、ヒビが入ったような線ができることがあります。妊娠線とよばれるこれらのヒビ割れを防ぐことはできるのでしょうか? また、消えるのでしょうか? 妊婦さんの治療経験も豊富な皮膚科専門医の慶田朋子先生に教えていただきました。

妊娠線ができる場所は?おなか以外にもできるって本当?

妊娠線とは肌の内側にヒビが入ったような線ができる「線状皮膚萎縮症」のこと。 幅数ミリ、長さ110cmの線状の皮膚萎縮で、おなか、お尻、太もも、バストなどに、平行的に多発します。

「線状皮膚萎縮症は、体が急速に大きくなることによって起こる真皮の断裂です。特に、妊娠中や思春期など、ホルモンがたくさん出る時期は、断裂が起きやすくなります」と慶田先生。

とはいえ、ホルモン分泌をコントロールすることはできないため、妊娠線を防ぐのは至難の業。低カロリー高タンパク質で、良質な油も欠かさずに、バランスのいい食事を摂るように心がけて、急激に太らないようにすることが大切です。

妊娠線ができやすい人はどんな人?

「一度でも、ある程度皮膚が伸びた経験がある方や、学生時代ポチャッとしていたぐらいの方だと、妊娠線が出ないこともあるんですよ。ただし、ずっとスリムで妊娠して初めて体が大きくなった方や多胎の方は、結構な確率で妊娠線が生じます」

妊娠線の予防は難しい…過剰なダイエットはNG

妊娠線を防ぐには、体重の増加を抑えることが大切です。ただ、妊娠中の過激な体重制限やダイエットは、新生児糖尿病や低出生体重児、未熟児など、赤ちゃんに深刻な影響を与える危険もあるため、注意しなくてはなりません。さらに、最近の研究で、将来赤ちゃんが糖尿病になるリスクを高めてしまうこともわかっています。

「妊娠中に過剰なダイエットをしてママが栄養不足になると、赤ちゃんは飢餓状態になり、糖を取り入れやすい体になってしまいます。しっかり栄養を与えられた赤ちゃんの方が、丸々とした成熟した状態で生まれてくるため、新生児糖尿病のリスクは低いんです」(慶田先生)

妊娠線は初めは赤黒くてびっくりするかもしれませんが、しだいに白くなり、目立たなくなってきます。妊娠線を心配し過ぎてダイエットをすることで、大事な赤ちゃんの一生を左右してしまわぬようにしましょう。

妊娠線を消す方法…レーザー照射でキレイになる?

妊娠線の予防は難しいとのことですが、できてしまった妊娠線を消すことはできるのでしょうか?

「産後、落ち着いたら、フラクショナルCO2レーザーを照射するのもいいでしょう。フラクショナルCO2レーザーは、お肌をモザイク状にリニューアルさせるレーザー機器。断裂してシワシワしているところを新しく太いコラーゲン線維に置き換えます。ハリがある部分との段差がなくなるので、妊娠線がボヤけますよ」と慶田先生。

妊娠線は放っていおいても白くなりますし、施術後すぐに第二子を妊娠することもあります。産み終わったタイミングでよく考えて、どうしても気になるようでしたら、皮膚科専門医に相談してみましょう。

皮膚科専門医
慶田朋子先生
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、東京女子医科大学病院、聖母会聖母病院などを経て、2006年、有楽町西武ケイスキンクリニック開設。2011年、西武有楽町店閉店に伴い、銀座ケイスキンクリニックとしてリニューアルオープン。最新マシンと高い注射注入技術で叶える、切らないリバースエイジングに好評を博している。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)など。
■銀座ケイスキンクリニック

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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