20~30代が最も多い「子宮頸がん」罹患率・死亡率が増えているのは先進国で日本だけ! その理由は?
子宮頸がんは美的世代の20~30代に最も多いと言われ、年々増加しています。詳しいお話をよしの女性診療所院長の吉野一枝先生に伺いました。
罹患率、死亡率が増えているのは先進国で日本だけ!
美的世代に多いといわれている子宮頸がんは、年々増加しています。
「子宮頸がんは20~30代に多く40代まで罹患率が高くなります。40代がピークで、その後は減少傾向です。20~30代が最も気をつけなければいけないがんは、まずは子宮頸がんなのです。罹患率も死亡率も、20~40代までが増加しています。世界では、今や子宮頸がんの死亡率だけではなく、罹患率も下がりつつあります。いまだに子宮頸がんの死亡率も罹患率も両方が増加しているのは、先進国で日本だけ、ともいわれています」と吉野先生。
子宮頸がんはどの年代より20~30代に多発しています
子宮頸がんは、近年、20~30代女性に急増していて、どの年代より最も多い。がんというと、若い世代には関係ないと思いがちだが、そうではない。一方、子宮体がんは、更年期以降の閉経後がピークでホルモンバランスの異常などが危険因子になるがん。
*「国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計」より、2014年の罹患率
早期発見可能で治りやすいがん
毎年約1万人もの女性が新たに子宮頸がんにかかり、また、子宮頸がんで亡くなる女性は毎年約2700人もいるのです。
「子宮頸がんは、子宮の入り口付近に起こるので、普通の婦人科の診察で発見されやすいがんです。早期に発見すれば、子宮を残すことも可能で治りやすいがんです。しかし、子宮頸がんは、初期は症状がほとんどありません。そのため、検診を受けることが重要ながんなのです」(吉野先生)
原因はセックスで感染するHPVです
子宮頸がんの原因は、ウイルスです。
「子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因。性交渉で感染しますが、HPVはごくありふれたウイルスのため、感染そのものはまれではなく、感染しても多くの場合、自然に排除されます。しかし、なんらかの原因で感染が続くと、子宮頸がんが発生します。喫煙も、子宮頸がん発生の危険因子といわれています。けれども、子宮頸がんは、正しい知識を知っていれば怖いがんではありません。早期発見だけでなく、予防も可能ながんなのです」(吉野先生)
子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります!
子宮頸がんは、子宮入り口である頸部にできるがん。原因はセックスによるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染。早期は無症状ながら、進行すると不正出血や性交時出血などが見られることも。一方、子宮体部の子宮内膜にできるのが子宮体がん。こちらは閉経後、ホルモンバランスの異常などが原因。症状は、不正出血、おりもの、排尿痛、性交時痛など。特に閉経後の少量ずつ続く出血は要注意。このように子宮頸がんと子宮体がんは、かかりやすい年代も原因も違うので、正しく知ることが重要。
*国立がん研究センター地域がん登録全国推計値2013年(上皮内がんを除く)データ。
お話を伺ったのは…
よしの女性診療所院長 吉野一枝先生
産婦人科医。帝京大学医学部卒業。 東京大学医学部附属病院産婦人科で研修医、東京大学医学部産科婦人科学教室に入局。母子愛育会愛育病院、長野赤十字病院、藤枝市立総合病院などの産婦人科を経て’03年より現職。臨床心理士資格取得。日本産科婦人科学会認定医。
『美的』1月号掲載
イラスト/きくちりえ(Softdesign) 編成/増田美加(女性医療ジャーナリスト)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。