健康・ヘルスケア
2018.11.28

女医に訊く#39|インフルエンザの治療法と予防法とは?

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インフルエンザを防ぐにはどんなことに気をつければよいのでしょう? また、かかってしまったときは、どうすればよいのでしょう? 日本感染症学会専門医の源河いくみ先生に教えていただきました。

予防接種はできれば11月中、遅くても年内までに!

「インフルエンザも予防としては、手洗い、マスク、ワクチンですね。インフルエンザはアルコール消毒が有効なので、手を洗えないときのために、携帯用のアルコールジェルを持ち歩くのもいいと思います。手を洗うときは指先や指の間も忘れずにしっかりと洗って下さい」と源河先生。

インフルエンザの予防策としてもっとも重要なのがワクチン接種です。ただし、ワクチンを接種してから抗体ができるまで約2週間かかります。ワクチンの効果が持続するのは約5カ月間ですから、11月中旬までに接種をするのが理想的。遅くとも年内には予防接種を受けましょう。

「インフルエンザワクチンに関しては、感染を完全に防ぐものではなく、かかっても肺炎や脳症などの合併症を防いだり、重症化するのを防いだりするものです。そのため、手洗い・マスクとの併用が大事。アナフィラキシーなどの重篤な副作用は報告されていますが非常に稀ですし、それよりも予防のメリットのほうが大きいと思いますよ」(源河先生)

インフルエンザに使用できる解熱剤はアセトアミノフェン

では、インフルエンザにかかったとき、薬の服用以外にどのような対処をすればよいのでしょう?

「体を温めるか冷やすかは、ご自分が楽な方でいいと思います。発熱も免疫反応なので、辛くなければそのままでいいですし、ぐったりして辛いようでしたら、体を冷やして解熱剤を飲みましょう。ただし、インフルエンザのときは、アセトアミノフェン以外の解熱剤は飲まないようにして下さい。市販薬にもいろんなタイプがあるので、必ず成分をチェックしましょう」と源河先生。

換気や加湿、水分補給も忘れずに。食事は無理をせず、体調に合わせて摂ります。

「体力の消耗が激しいですから、体は休めるようにしてください。発症後5日間、解熱後2日間はウイルスが出ているので、自宅待機をして他人への感染を防ぎましょう。神様がくれた休日だと思って休んでください」(源河先生)

薬の服用の有無にかかわらず異常行動に注意して

みなさんのなかには、タミフルなど抗インフルエンザ薬に不安を覚える人も多いのではないでしょうか? 平成19年、タミフルを服用した中学生の転落死が数例報道されたことにより、タミフルの10代患者の原則使用差し控え措置が実施されました。

しかし、今年8月、厚生労働省はタミフル服用のみに異常行動と明確な因果関係があるとは言えないことが確認されたとして、その措置を解除。インフルエンザにかかると、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無または種類にかかわらず、異常行動があらわれることがあると報告しています。

「インフルエンザウイルスの感染により脳炎などの合併症を引き起こすと、けいれんや意識障害、異常行動などの神経症状が出る可能性があるので、抗インフルエンザ薬との因果関係は不明です。未成年者がインフルエンザにかかったときは、薬の服用とは関係なく、意識状態は大丈夫か、異常行動をおこさないかを注意してみておく必要があります。抗インフルエンザ薬の服用は、大人も子どもも医師の指示に従ってください」(源河先生)

教えてくれたのは・・・

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日本感染症学会専門医
源河いくみ先生
東京ミッドタウンクリニック トラベル外来医師。医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本感染症学会日本感染症学会専門医。国際旅行医学学会認定医。日本大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターでの感染症科・渡航者外来勤務を経て2007年より現職。渡航前後の健康診断から予防接種、予防薬の処方などの渡航者の健康管理をサポートしている。
■東京ミッドタウンクリニック www.tokyomidtown-mc.jp

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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