うがいやマスクよりマイタケ!? 医師が解説…正しいインフルエンザ対策
寒くなってくると、周囲で風邪やインフルエンザの話題も増えてきますよね。例年、インフルエンザは秋から徐々に患者が増え、1〜2月に流行のピークを迎えるそうです。
ところが今年は、早くも9月に患者の報告があったのだとか……。9月15日の厚生労働省の発表によると、9月4日から10日までの1週間で小・中・高校や幼稚園、保育所より報告されたインフルエンザ患者は137人に上ったそうです。これは昨年の同じ時期に比べ、なんと5.7倍! このままだと、本格的にインフルエンザの流行がスタートする時期も前倒しになるかもしれません。きちんと予防することが大切ですね。
そこで今回は、『おおたけ消化器内科クリニック』院長で総合内科専門医の大竹真一郎先生に伺ったインフルエンザ対策についてご紹介します。
インフルエンザ対策…正しいのはどれ?
「実は、インフルエンザウイルスに感染しても症状が出なかったり、2〜3日の軽い症状で治ってしまったりするもケースも珍しくありません。しかしながら、命に関わることもある病気なので、正しく対策をすることが重要です」(大竹先生・以下「」内同)
それでは、どのような対策をとるのが正しいのでしょうか? 対策としてよく挙げられる以下の3つについて、先生のご意見を伺いましょう。
ワクチン接種
「インフルエンザウイルスのワクチン接種は、すべきものだと考えています。ワクチン接種は100%の効果を保証するわけではありませんが、リスクを軽減することや、周囲の方への感染を防ぐ意味では大きな意味があります。例えるなら、“車のシートベルト”のようなものです。シートベルトは、交通事故自体は防げませんが、事故にあったとき、当人はもちろん、同じ車に乗っていた人の被害を少なくすることができますよね。それと同じです」
ワクチン=シートベルトとは、とても納得のいくわかりやすい例えですね。
マスク
冬になるとマスクを着ける人が増えますが、対策としてはどうなのでしょうか?
「実は、マスクの予防効果はさほど期待できません。インフルエンザウイルスは非常に小さく、マスクの繊維の目を簡単にくぐり抜けるためです。強いて言えば、マスクをすることで、インフルエンザに感染した人のくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことを防ぐことはできます。
ただし、インフルエンザウイルスは目からも感染します。その点を考えると、マスクだけでインフルエンザを予防できるとはいえないことになります。
しかしながら、インフルエンザに感染した人が、周囲の人にうつさないために、マスクをすることは有効でしょう。くしゃみや咳に伴う、唾液や鼻水に含まれたウイルスはブロックできるからです」
うがい
手洗いと同時に推奨される“うがい”についてはどうでしょう。
「最新の研究では、うがいもインフルエンザの予防効果は期待できないとされています。うがいは、口やのどの粘膜に付着した細菌やウイルスを洗い流す役割がありますが、極めて短時間に細胞内に侵入するインフルエンザウイルスを予防する方法としては、効果が期待できないといわれています」
これが有効!3大インフルエンザ対策
インフルエンザ予防策について、意外な事実がわかったところで、実際に先生が有効と考える対策について伺いました。
「“手洗い”については、予防効果が高いといわれています。手を洗って清潔にする前に、顔に触れないようにすることも重要です。インフルエンザに感染した方がくしゃみや咳でまき散らしたウイルスが手に着き、鼻や目、口などを無意識のうちに触れることによって感染してしまうためです。
また、睡眠や運動もインフルエンザ感染リスクを低くできることがわかっています」
インフルエンザ予防の3大対策は、“手洗い”、“睡眠”、“運動”なのですね。
「マイタケ」が効く!? 独自成分による治療効果に期待
最近ダイエット効果もあると話題の“マイタケ”。大竹先生によると、その独自成分に、インフルエンザの治療効果が期待できるとか!
「富山大学と株式会社雪国まいたけの共同データによると、マウスを使った実験では、マイタケの“マイタケα-グルカン”という成分に、インフルエンザ治療薬タミフルに抵抗してしまうインフルエンザウイルスを抑える効果が確認されています。また、マイタケには食物繊維も多く、特に多くの女性の方が悩むお通じの問題にも 良い効果が期待できます。お通じが改善されれば、腸内環境が整い、体の抵抗力が高まる可能性が大いにあります。
マイタケは、年間を通じて入手しやすい上に、食べやすい味の食材です。毎日の食生活に、マイタケを取り入れてみてください」
内科専門医からみた正しいインフルエンザ予防策や、オススメの食材をご紹介しました。本格的な流行を迎える前の今の時期から、インフルエンザに負けないための対策を取れ入れてみてはいかがでしょう。
【取材協力】
※ 大竹真一郎・・・ 『おおたけ消化器内科クリニック』院長。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医。高校中退後に大学入学資格検定(現、高等学校卒業程度認定試験)に合格し、神戸大学医学部医学科を卒業。愛仁会高槻病院でスーパーローテート研修(多科研修)を行った後、消化器専門医として『けいゆう病院』、『辻仲病院柏の葉』、『平塚胃腸病院附属クリニック』などで通算1万例以上の内視鏡検査を実施。
初出:美レンジャー ライター:美レンジャー編集部
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。